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守護神/異世界乙女ゲー転生=Re:mix.100  作者: ペイントロイド
序章: ま い は み ん な を 笑 わ せ る 道 化
4/22

プロローグ:#2

(神様がウチの彼氏だったらいいのにね)

『…告白』

(うん。ダメだった『ダメじゃない!!!』か…)


 食い付くなぁ~こいつ。

顔も何も見えないが、神様がウチに食い入るように近づき。

「本当か?本当か?」と問いただした。


思ったことであるが、なんだかめんどくさくなってきた。ウチは「うん。本当だよ」と脳内で断言すると、顔を赤らめてもじもじとしながら慎ましくする。

…こいつ、本当に男か?

反応がいちいち乙女にも見えるんだよ…


脳内のキャラクターだし、矛盾があってもいいのか、な?

彼はその乙女な仕草でウチの肩に寄り添うように問いかけてくる。


『えっと…もし彼女になるなら… 一生俺だけと付き合うって約束して……』

(えー?うーん…)

『…約束しろよ』


肩になんて重みはないが。今にも殺しにきそうな目に重みを感じる…見えないけど。


(まあ。妄想の中だしなぁ…)


ウチは妄想の住人になんてことを言わせているのだろうと、少し罪悪感を感じたが。悪い気分でもないし、個人的に彼氏だったらどんなに良かっただろうと思ったのも実は事実である。

歪んだ、とち狂った話だが。


(わかった。約束する)

『よしっっ!絶対だぞ?』


(うんっ)

『絶対絶対絶対…嘘をついたら分かってるな? 約束は絶対なんだからな?指切りしようか。

神の前で嘘はついてはいけないよ?その言葉と気持ちに嘘偽りはないんだろうなぁ?』

(わかってるって!神様以上にイイ人…神か。良い神様いないから他なんて眼中にないよっ)


『眼中にない、かぁー!あはははっ!

今日は豪勢に食べようねっ、俺はケーキが食べたいなぁ~あはははははっ!クククククッ…!』

(ハイテンションすぎだよぉ~きもいヨォ~ でも、ケーキは食べたいなぁケーキ買おうかな~)


身体の半分くらいに疲れによる体重がかかった感覚と、温かさを感じながら家路へ向かった。

少し気分悪かったが、彼がいるだけで、気持ちが楽になるのを感じる。


ウチの空想の人物だけれど―――


……

………。


 そうこうしている内に、やっと家に着く。

玄関の鍵は開いていたので家に誰かがいるのはわかった。ウチは「ただいまー」の声をかけても、帰ってくる声は脳内の彼だけだった…


『ただいまー…みいの奴。まただんまりかっ』


玄関は暗いが、家の中は明るくライトが光っているし人の気配もある。なのに相変わらず返事を返してくれない…何故ならウチの二つ年下の妹「心乙みお」は絶賛反抗期中だからである。


心乙は、部活動をしているのだがこのごろ帰りが早い…

その事が原因か。とてもイライラしていることが多く、ずっと買ったばかりのスマフォに向き合って、家族とろくに会話しなくなったのだ。


乱雑した心乙の制服を片付け、テレビを見てもつまらないニュースばかりを伝え、ウチは少し「この時間はいいのやってなかったかぁ」と諦めた。


<昨日、○○の歩道で通り魔事件が多発。女子高生のスカートに切られた跡が…

<●●党の不信、高まる…!

<またも切り倒される。136年ものの御神木が深夜、何者かに倒され住人に怒りの声が…

<消費税が高くなる一方、主婦に欠かせないあの食材がー…


うん…。ツマラナイな。

しかも暗い日本の話ばかりで、もう少しで大人になり、働かざる負えない自分としては知りたくない話ばかり…日本よ。明るくなれよ…


「ごはん!」


ついつい最後までニュースを見てしまってたウチは、妹の一声で我に返り振り返る。

ソファーで寝そべる妹は、白のシュミーズ(シャツ)と薄ピンクのレースパンツの下着姿だったが、まるで威厳があるようにウチに睨みを利かせ、ごはんを要求してきた。


「あっ…あいよ!何食べたい?」

「キムチ鍋」

「…キムチ鍋の元ないしー」

「じゃあ買ってきて」

「今からかい?」

「…はぁ?何」


黒髪ストレートでかっこいい+かわいい見た目なのだが、何分見た目だけで。

態度がでかく口が悪い妹なのだ…彼女と喧嘩しようものなら口喧嘩でも肉弾戦でも絶対に勝てない…


…仕方ない。

どうせ決まってもないし、妹に何が食べたいかを聞いたのはウチだ。

買い物くらいどうってことないよ☆彡


『ついでにケーキを買おうかっ』

(ねっ!)


父と母の三姉妹家族なのだが。父が変な会社に騙され、借金をすることになってから母も夜遅くまで仕事をするようになり、姉も「高校生になったからバイトする」と言って帰りが遅くなっている。

ウチは高校生になったばっかりだし、中学生の妹をほっとくことが出来ず家事全般、ウチが自然とひとりでやるとこになった…


(愛子ちゃんが帰ってくるまであと2時間か…

鍋は皆でつつきたいけど、心乙が待ってくれるかどうか…いや、待たんなこいつ。

とりあえず鍋はもう作っといて、家に着いたら三人分の具材を足していこう)


「あっ、ねぇ。麺いれる?」

「うん、ラーメンの麺で」『いる!当然だなっ』

「ちぢれ麺かにゃぁああああ~?」

「キモ、死ねよ」

「太いのにすりゅぅ~?」

「だからキモいってその言い方…ちぢれでっ」


「うぃ!あと、ケーキ買うけど…」

「ケーキはいらない!あんたの分だけ買えば!?いちいちつかかってきてうるさいだけど!

本当に死んで!あんたの声聞いてると気持ち悪くなるんだよ!

ぶっ殺すぞっデブ!死ねよ!死ねっ!」

「りょ…」


ウチはそそくさと逃げるように買い物の支度をすると、妹は怒りで舌打ちしながら部屋へと逃げて行った。その手にはまだスマフォを持ったまま、見ながらいじっている。

反抗期というのはとてもめんどくさい生き物に変えるらしい…


『今の流行りかわからんが、「死ね」だの「殺す」だの。乱立させすぎだろ…』

(多分漫画とかアニメの影響だと思うよ)


と。漫画やアニメを正当化しているが。よく漫画・アニメを批判する分析家たちのマネをして語ってみる。…まあ漫画とかアニメ以外の問題なのは、普通に考えればわかるものなのにね。


『…みいはまいのパニック障害を理解しなさすぎだろ…いや、世間一般の人間共もだっ。

言葉を理解せず、年だけとって、傲慢に育っている…』


(こらこら。大丈夫だよ?もうウチはそんな言葉で取り乱さなくなってきたから、大丈夫だよ)

『でも…それは…』


(ありがとうね神様。神様だけがウチを心配してくれるんだ、それがどれだけ幸せで助かってるか…

だからそうカッカしなくていいよ。ありがとうっ!)

『…ああ』


ウチは学校で履いてた靴と、学生鞄で出発した。

まだ学生服だったし、鞄にはそのまま財布が入っていたからそのままで出るのが好都合だ。

なんとなくそれを選びたくなった、横着者なのだが、別にいいでしょ?


『できれば着替えたほうがよかったが…まあ、いい。ゆっくりでいいから行こうか』

(ゆっくりはできないよ。心乙が待ってるもん)


『…ゆっくりでいいんだよ。

みいは何だかんだ言ってスマフォのメールばかり眺めて、すぐに食いやしない。

しかもながら食いで肉ばかり食べては、嫌いな野菜を食べない。

ダイエットって言いながら、最近だとスナック菓子食べてたのを見た…』


(スナック食べてたの!?

あっ、そういやポテチの消費の減りが…まあ言いたいことはわかる。

でも早いに越したことないだろう?)

『まあな』


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 スーパーは少し歩いた場所にあり、10分くらいの短い距離だ。

玄関に出ると空は小さくキラキラした星が謙虚に現れていた、家の光が逆にまぶしい…

虫も少しづつ出てき始めているから、家のライト目指して飛んでくるだろう。


『そろそろ夏が近づいてきたね』

(うん)

『また熱中症で苦しまないようにスポーツ飲料も買っといたほうがいいんじゃないか?

今なら安くなっているし、買い貯めておかないか?』

(そうしますか)


ひとりなんだけど。二人で楽しく会話すると、スーパーは明るい光に包まれ、チラホラと買い物にしに来た年配者の姿が見えた。


ウチも皆様と同じように買い物かごを持って、店内に入ると。

にこやかに野菜を見ている顔見知りの人物を発見してしまった…


片目に眼帯を付けたテニスのコーチの「はやみん」こと速水はやみ りょう先生だ。


先生はとてもすらっとしてて、モデル体型のとてもカッコイイ人で。

女子はだいたい先生目当てでこの高校に入っていると聞いた時は「はぁ?」っと飽きれたことがあった。

(その話をしてたのがつむぎちゃんなんだけど。)

確かにかっこいいのだがどうもピンとこないし、はやみんはウチに対してどこか距離をとりたがっている淵があるから、こうしたスーパーで出会うなんて、相手も嫌なものだろう…


プライベートの時に会うのはとても気まずいので、ウチは見られないように相手の視界に入らないであろう場所に隠れ、彼がその場から離れるのを見計らった。


『…さっさと消えてくれないだろうか』

(こう待っている時が一番長くて、なかなか行ってくれないもんなんだよなぁ~、どうしよぉ…)


しかし、はやみんが真ん丸のキャベツを持った時、赤毛の…いや、どちらかと言うとラズベリー色した身近なツインテールに、左のところだけちょろり、と異様に長く伸ばして緑色に染めた髪の毛がぱっと見、目立つ女の子がはやみんに近づいてきた。ウチと同じ制服の生徒だが、見たことがない。


亜麻色の姫愛鈴ちゃんも、学園ではとても目立っていた。

何故なら“学園全体が黒髪の人ばかり”だったし、雫は金髪に染めている不良だが、それでも地毛が黒髪だからそんなに目立って見えない。姫愛鈴ちゃんのように地毛で明るい髪の子がいるのなら、他人の顔を覚えられないウチでも眼帯をした女の子を覚えていないわけがないのだが…


「ダークネス。時がきたっ」

『ダークネス?』


「赤い満月の日、この世界に終焉が訪れる…

ダークネス。今こそ貴様の力を使うときではないのか?何故異国の者に染まり、牙を隠すのか。

貴様に眠る闇の異能を使わずして、何が平和か!心まで軟弱になるなどと我が令呪で…!」


(令呪!?何々なにぃ!!)ワクワクっ!


「こ、こらっ!! すみませんっ、なんでもないので…」


 女の子が難しい言葉をベラベラと喋る途中に、はやみんが、ばっ!っと口を手で覆い恥ずかしそうにその場から逃げて行った…お年寄りたちは不思議そうに見ていたが、少女を連れて行ってもなおその視線からは逃げられないようで、とうとうはやみんは何も買わずに店を出るしかなかった。


「…なんだったんだ?あれ?」

『……。まあ、この隙に買い物を済ませようか』

「だね…」


見たことない女の子に若干興味があるが、はやみんが戻ってくるのが嫌なので、手早く白菜と麺とキムチ鍋の元。そして安かったネギとお目当ての…


(シフォンケーキぃ~~~!!とぉおおおおおおお~~~~?)

『シュークリーム!?』


を買い物かごに詰めて、早歩きでレジに向かった。


『シュークリームまでは買いすぎじゃないか…?』

(しかし。さっきの子…何だか異世界からきた子っぽかったね)

『無視か。そう、だったかな?』


(うんっ何となくなんだけど。別の世界からきたみたいな…そんなイメージを持った子だった!)


レジ打ちのピッ!という音を聞きながら雑念に入る。

金額を払い、鞄の中に入っているエコバッグを広げて商品をつめていく。


(ウチの学校のクラスの男子も、みんな髪の毛がカラフルなんだけどさ、

ちょっと特徴的と言うか…独特なふいんき―――)

『雰囲気』 

(雰囲気もってて、漫画とかライトノベルとかで出てくるキャラみたいでさっ!

ジャンルでは異世界ものね!

彼女は主人公を現実から異世界へといざない、壮大な冒険へ連れて行くサポートキャラなヒロインで!

共に敵を倒していく感じだよっ!)

『好きだねぇー異世界もの』


(だってぇ~!現実世界よりもファンタジーのほうが夢あって楽しいじゃん!


パラレルワールドみたいに、転生して勇者になっちゃって、最強になって、チートになってぇ!


バカスカとストレスゼロで戦い、可愛い女の子に囲まれてウッホウッホホしてさ!


すっごく馬鹿みたいだけど、ワクワクするよねっ!


超常現象とか、異能バトルとかもさっ!

ウチもそんな体験してみたいなぁ~異世界行って、冒険して、英雄になりてぇ~!!)


『…そんな人生。生きてるとはとても言えない…っ』


 ウチは次第に妄想が沸々と溢れてでて、創作意欲を掻き立てられた。

お店に出て、早速家に帰って作品に出も気持ちをぶつけようと急ぐ。


今も昔も。そうゆう不思議なことが起きないものかと探してしまう…でも、そうゆうのは現実にはないものだとしっかり理解しているし、本当に漫画やライトノベルの世界しかないから、妥協して、大人として生きていかないといけないこともわかっている…


それでも、もしかしたら―――

ココじゃない別の世界が存在してて、ウチじゃない別の誰かが代わりに経験しているかもと想像すると。


ワクワクだって、ドキドキだってする!

夢も希望も、持ってしまったっておかしくないと思う!


―――だからウチは、脳内で見えない住人を作っては、神様と会話しているのかもしれない。


夢ばかりを見ているから、脳内で空想の見えない人物を作りだし。

彼を「神様」と呼んで喜んでいるんだ。

自分の精神年齢はとても幼いなぁ…とウチはウチの心理を分析してみる…


 神様は、とてもあきれた様子でため息をした後。心配した顔でウチの前に出てきた…


『まい。まいの世界は現実世界だけだ。

冒険したいと考える気持ちは悪いとは言わないが、好奇心だけで危険なところに首を突っ込むのはいけないよ…?まいは自分が思っているほど、自分の力を加算しすぎている。

そのせいで、まいだけが苦しむのは、見たくない…』


目を潤ませ、美しい顔を向けてくれる…


まるで恋人に向ける情であった。


そう解るのは、ただの雰囲気と今感じる頬の温もりくらい。

温もり…なんて自分の妄想ながらとても甘いシチュエーションを思いつくものだ…

それでもウチにそんなふうに心配してくれる人なんて、きっと妄想の中だけだろうね。


(ありがとう神様。…大好きだよっ)

『うん。俺も…愛しているよ、まい』


本当に自分は愚かで、劣悪で、救いようのない女だ。


仮想の住人に仮想の愛を呟くなんて…それでも、つい何かを語らせたくなる。

欲求不満というのかもしれない。心乙に「現実をみなよ」と言われたばかりなのに―――


『そんなことは言われたことはない』

(えっ)

『まいは覚え違いをしている。みいはそんなことを言っていない』

(そうか…そうだったね。なんか言ったような気がして~)


『…人間の記憶はとても曖昧だからな。

何かのアニメのワンシーンをみて、そう言われたような気がしたんだろう』

(そっかー。ところで神様、心乙をみいと言うけど、みお。だよ?)


こうやってどうでもいい…何かが始まることも、終わることもない。

なにも生まれない妄想ものがたりを考えて、すまし顔をするのは毎日いつものこと。


誰かにばれなければ少なくても、自分はこの人生に絶望せず済むのだから…




……

…………。


 ウチの一日はこれで終わり。


ウチは帰ってきた姉と父母と一緒にご飯を食べて、お米を炊いたりして。

また明日と同じ暮らしを繰り返す…



そう考えてた翌朝。

ウチの近所の家が、まるで戦った後のように破壊されているのを見かける…

……

………。


↑は時間経過


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


↑は場面切り替えで分けております。



2018/1/28:修正しました。


以前あったプロローグの内容を省略・修正・追加もしまして、

「第1ノ界:剣と魔法の…乙女ゲームな世界?」が消えました!;

(「プロローグ#3」に「第1ノ界:剣と魔法の…乙女ゲームな世界?」の話が映っています)


よろしくお願いいたします。

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