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守護神/異世界乙女ゲー転生=Re:mix.100  作者: ペイントロイド
第一章:守 護 神 は 悪 魔 に 変 わ る
20/22

2ノ界:#7

 何度も何度も。

息を吹き入れ、心臓マッサージをしても。マチルダが目を開かない。確かに知識を持っているが、このような行動は初めてな試みで、自分で自問自答しそうになる。

俺は温泉で温まっていたはずが、全身が凍えるように寒くなっていく…焦りや自分の無力さに近いものが襲いながらも、それでもリズムまでは崩さないよう進めるしかない。


「マチルダっ、マチルダっ!」


呼び声に答えないと、本当に“死”が決定してしまう。

自分のやり方は正しいと信じ続けるしか、俺には他にやり方がない。一人を死なせてしまうのは…誰かが死ぬのは…!


「マスター、彼女は…」

「静かにしろっ!!」

「っ!」びくっ

「マチルダ!起きろっ!マチルダ!」


剣の少女に対して思わず怒鳴った言い方をする…

出てしまった言葉も態度も引っ込める事ができず、マチルダに声を掛け続けていると彼女は「げほっ!こほっ、こほっ!」と激しくせきこみ、俺に返事を返してくれた!

両手ですくうほどの水が口から溢れると。それを見て思わずヒヤッとした感覚が襲った後に、マチルダの意識が次第に戻ってきたことで安堵がやってくる。


「マチルダ、大丈夫か?

今回は俺も気を回さなかった点もあるが、もう鎧を着て風呂に入ってくるんじゃないぞ?……良かった。無事で…」

「…きっ」

「ん?…き?どうした?」


マチルダの声が小さかったもので、思わず顔を聞かづけて聞き取ろうとした…きっとそれが悪かったんだ。

マチルダの顔がみるみる真っ赤に変わり、左側から大きな鉄の棒がぶんっ! と音と共に罵声が飛ぶ!


「裸で近寄るなぁあああ変態男ぉおお~~~~~~っ!!!」

「ぅんぐぅ!!?」


強烈な痛みを与えたマチルダはギャアギャアと、壊れたオモチャのように騒ぎだし、目線が下に泳いだりと忙しく動き回り、ゆでだこの如く顔を赤らめたまま泣き叫んで俺の脇に攻撃を仕掛けてきやがった!


あれだけ顔色も青ざめ、静かになっていたというのに…

そんな面影もなくマチルダはお礼も一つも返さない。


「こ、このハレンチ!ハレンチ男っ!おとこ…っ!ばかっ…!!わ、わた、わわわわたしの。

き、キスするなんて…初 め て な の にぃ ~~…!

ううっ!!お前なんて、認めんからなぁああああああ!!!うわああああああああああああああんっ!」


あれだけ暴挙に及んでおいて謝罪もなく、マチルダは泣きながら露天風呂を猛ダッシュで出ていってしまった。俺はじくじくと痛む脇腹を撫でることもできず、動くことも出来ず。

ぐっ と痛みを耐えるしかなかった。


「………マスター、大丈夫ですか?」

「…水。氷水でもっ作ってはくれないか?」

「yes。はい、わかりました。」


また剣の少女の名を口にしたかったが出ない。

ラノベ体質のこの環境も、彼女の名前を口に出来なかったのも…もどかし…

=======--- ピコォン! ---===================

▶ 「マチルダ」とのフラグか成立しました。

 攻略対象です。デート・パーティーメンバー・パートナーとして

 選択することが出来ます!

====================================


「はぁあ!?―――んぐぅうっ…あっ。いたっ…!」

「マスター、氷水です」


「マチルダのフラグいらねぇええ!!」と嘆きたくなった。くそ…っ!

気にするつもりもなかったが、寝室を燃やしたとあって眠っていた怒りが沸々と湧き上がってきていた。

そこで―――“俺はあることを決意する”。







……

………。


 ―――やっと朝を無事に迎えた。


あれから風呂に浸かる気分にもならず、まっすぐ自分の寝室まで向かうと、結局アリスの寝室で寝る事になり「いーいっ?もし変なことしたら消し炭のローストビーフに…っ!」とか、ツンデレお決まりのセリフが飛んだ時に、どれだけ自意識過剰なのだと激しきイラッとした気持ちで拳が飛びそうになったが、俺は「嫌ならテントをよこせ。その方が安全で良く眠れるっ!」と突っ返してやったが。

どうゆうわけか…(いや。出してくれない理由なんて、想像できてしまうのだが)テントは出すことが出来ないと、先生方に言われ。野宿するのは可哀想とか要らん気遣いにより、アリスの寝室に寝るハメに…。


アリスの寝室は本当にあっさりとしたもので、必要な机と椅子と、ベッドだけがあった。

ゴチャゴチャとぬいぐるみやアクセサリーとかで、趣味まるだしの物で埋まってなかったことに少し以外であった。悪く言えば女の子の部屋っぽくはなかったのだ。


「へや、広いな…」


後は目を覚まして天井と、床を見入る。

アリスと剣の少女をベットに寝かせ、俺は床に眠ったのだ。


床で寝たのは正解だったと思う。

カーテンの隙間から漏れ出す光は、まだ太陽が顔を覗かせたばかりで、やわい光が俺の手の甲を当たり、俺はそれだけで爽やかな朝を迎えたと思わせる。


(青い光が漏れてる…少しひんやりして寒いな…)

「………おはよう…まい…」


俺は決まりごとのように微笑んで、自分の腕の中でピッタリとくっつく、愛おしい存在を抱きしめ頬ずりする…ぬくいな…

愛おしい子は俺の心境を知らずか「ん~…」と間抜けな声をもらして、また眠ろうとする。


「まだお眠むか…?」


憂い奴に思わず口移しして、抱きしめた。

優しくて温かい唇は変わらなかったが、少しの間でかなり華奢になったな…………


―――と。

思った後で、俺はやっと目が覚めた!!!



ガバッ! と起き上がり、今まで抱いていた人物を今更見ると、ショートカットで薄い紫色の髪をした美少女がとろんとした顔でまだ眠りについている無防備な姿だった。初めて見る顔に、どう反応すればいいのか解らず固まっていると…彼女がゆっくりと唸るように声を出して目を開ける。

現実世界では見ることのない紫と薄い黄緑が混ざった、小宇宙がそこにあった。


「アリス…ちゃん?あれ…?」


その美少女は瞼をこすって大きなあくびをすると、白シャツ一枚の裸同然の格好がシーツの中からお目見え。朝から刺激的なものを見せられて、背筋がぞわぞわっとした電流が走り。最初にたしか「爽やかな~」と口にしていた気がするが、もう爽やかさなど一気に消滅した…いや。もう最初っから生まれてなかったかもしれない。


「ん~~~…っふぁあー~…ああ。

あっ、新しく入ってきた…えっと、辰也かぁ~…おはよー、ワタシは天音あまね

魔術研究してて、君の魔法。とても興味がある…かな?―――自己紹介してなかった、よね?」


天音…か。

アリスが言っていた「不思議ちゃん」という少女。

後から顔を見ておこうかと思っていたが、不意打ちで出会うとは思わなかった…俺は、またもラッキースケベなお約束を、朝から起きたことにドっ!と疲れがまた襲う…そして…。

自分が触れた唇の体温を思い出し、自分のを触れてみる。

確かに誰かのが重なったものを感じる…夢として流したいっ!しかも、寝ぼけていたとはいえ明らかに自ら犯した過ちに、言い訳がましく流す事が果たして出来るのだろうか…?


「…すまないっ!俺は「ますたぁ~…おはようございましゅ…」


すると奥からゴソゴソと音が聞こえ、アリスと剣の少女も起き始めてきた。天音はサラッと頭から排除したかのようにアリスと剣の少女だけに意識を向け。「アリスちゃんたちおはようー」と今までなかったかのような返事を返していた。


アリスはまだボーっとした様子で、まだ眠気が過ぎ去ってない様子で少々間抜けに見える…(笑)

剣の少女は天音に少しお辞儀で返した後に、俺に抱きなおしてぐりぐりと頭をこすりまくっている。


「…何やってるんだ?」

「臭い付けですっ」


少し力を入れての頬ずりで、痛いと逃げる体の動きを阻止され、俺はただ少女の気がするまでジッとするしかなかった…。やや自分の場所を主張する猫のようだ。

天音がアリスを起こすと、何やら大きな新聞を取り出して大々的に大きく見せているのが見える。


「アリスぅー、みてみてぇ。今日姫神娘ひめみこさまが“ネバーランド”に来てるんだって」

「なに?」

「ええええっ!!ほんとにっ!!」


 ぐったりとしてこうべを垂れていたアリスがグァワバッ! と目を開かせ新聞をぐしゃぐしゃにさせるかと言わんばかりに食い付いて、天音から奪う。新聞には大々的にあの男の満面の笑みが写った写真を一面で飾り、新聞は彼のことで内容が埋まってしまっているくらいにぎっしりと書かれていた。

…俺は、姫神娘ひめみこの言葉で、あの忌々しい()()()()()()()()ど《・》()もの顔を思い出してしまう。ああ…あいつらもいるのか…だとしたら、この世界は―――とやっと地に足がついた思いと共に、憎悪が顔を出そうとする。


「姫神娘って…男なんだけど…?」

「きっと本物は写真には写らず、どっかにいるんだろう」

「なるほど…辰也は頭が良いほう…?かも…「こいつ、変なところで抜けまくってるけど。こうゆうのは頭の回転がいいのねー」


馬鹿にそんなこと言われると心外なんだが?

天音がとろんとした顔に純粋な驚きの表情を見せた後、アリスがピシャリと鼻で笑う。


「馬鹿にそんなこと言われると心外なんだが?」

「このぉおおっ!!」


「天音ちゃん!アリスおきた?」

「んっ、なでこ。おはよう」

「おっはよー、辰也。ご飯できてるから早めにねっ」


アリスのグーパンしようとする腕を振り払い、廊下からひょっこりと顔を出してきた早乙女なでこに気づき、笑顔で返す。

改めて思うと、この学園では今のところなでこが一番友好的であり、和解できる存在だ。

彼女も俺の気持ちに気づいているのかどうかはわからないが、俺の顔をみて笑顔を返してくれた。


「なでこおはよう!ねぇねぇ見たこれ!姫神娘さまがネバーランドに来てるんだって!」

「みたみたっ、でも男だなんて以外よね」

「マスターが言うにはその写真に乗っているのは影武者であり、本物は写してないのでは?とおっしゃってました」

「影武者?そうなの?あー…でもそうか…。確か“信長”も復活したんだっけ…」

「は?信長!?」


信長とは、俺はまた新しい言葉を聞き。

あの織田信長を連想される。

そして…復活とも聞き、以前あの円卓の騎士たちが口にした“魔王の復活”が浮かぶ。


現実世界では織田信長の事を“魔王”と呼ぶ者もいる。

乙女ゲームの世界観が軸に存在しているとするならば、西洋的ファンタジーであるはずのゲーム設定が和風ゲームの設定を足されて、戦国時代の登場人物がいてもおかしくはない。


つまり…つまりだ。

あまりそうゆう設定の話をするのは好きじゃないが、現実世界での偉人がイケメン化された。攻略キャラの一人…魔王こと織田信長のことだろうとすぐにストーリーを認識する。


なでことアリスたちは「そういえば辰也にはこの世界についての知識がなかった」と眉をしかめた俺の顔色を見て交わした後。

アリスはがっしりと俺の腕を掴んで外へ放り出した。


「なんだよ?」

「着替えるからそこで待ってなさい!ご主人様が良いって言うまで動かないの!わかった!」

「…わかりましたよ。ご主人様」

「ごめんね辰也。すぐに出るから」

「いや、気にしなくて…」

「なでこ、こいつに気を使わなくていいからね。アゴで使っていいから!」


バタンと扉が閉まり、中の音がガヤガヤとした音しか聞こえない。「えっ!?天音その格好のままきてなの!!?」「うん。そう…」アリスの大きな声も聞こえるな…

どうやら気づいてなかったらしい。

気付いていたら、ラノベのお約束展開でボコボコなーんて…

(そんなの。朝から勘弁してくれっ)




「あら、おはようございますわ」


 ………またも聞いたことのない声だ。

横から聞こえてきた女性の声に振りかえると、ロングヘアに近いボブヘアがふわふわとウェーブがかかり、銀の十字架と花の髪飾りを付けた少女漫画に出てくる…“悪役令嬢”のような身なりの少女と。

後ろを護衛でもするかのように勇ましい歩いてきたのは、あの時騒動を繰り返したマチルダ。

そしてメイドのような少女がくっついてきていた。


(随分とでかい顔をして人を引き連れているんだな…。

なでこやアリスからは良い評判を聞かないが、見た目があからさまに嫌味っぽい性格そうだ)


「おはようございます…えっと…」

「こちらの方はゲルダ様でございます」

「ありがとうベルベット」

(ベルベット…俺の部屋に家具を送ってくれた子か)


「辰也さま。もしやアリスが出てくるのをお待ちになっておいでかしら?

きっと仕度するのに時間がかかるでしょうからわたくしたちだけで朝食をとりに行きませんこと?

どうしてアリスが貴方を召喚したのか、とても興味がありますし…」


ゲルダはとても上品にニッコリと笑って、手を重ねて首を傾げるポーズはとても手慣れた感じだ。

俺は断る選択も出来るとは思うのだが、マチルダと目と目が合った時、マチルダは昨日のことを根に持っているらしくギリリッ…とした苦虫を嚙み潰したように睨んでいる。


(こいつ…俺が助けなかったらお陀仏だったんだが?)


「お誘いは有難いのですが、俺もアリスからどうして召喚されたかを聞かされてないので、理由がまだわかってないんですよ。それに、右も左もわからない無知な者で、会話してもゲルダさんを退屈されるだけかと思います」


「まあー」

「なっ!貴様、そう言って本当はゲルダ様と会話をしたくないと断っているだけじゃないのか!」

「いや。だとしたらもっと別の言い方をしていた。それに本当に知らないのだから話せないし、俺は話すと言う行為が不得意なんだよ」


「ゲルダ…なんかよう?」


数分たったようだ。アリスたちが学生服を着て部屋から出てきた…あれ?天音も制服を着ているが、天音の制服もアリスのところで置いてきているのか?


アリスの表情は今にも殴りかからんばかりの威圧感が漂っている。俺が知らないだけでこの学園で何かひと悶着あったのだろうか…いや。ホームズが守れなかったと話していたのだから、きっとその時に何かあっても不思議ではない…触らぬ神に祟りなし。

今は空気になって、あまり火に油を注がないことがベストだ。


「おはようございます皆様。仲良くお泊りでもなさってたのですか?」

「ゲルダ。はやく朝食にしよう。お腹空いた…」

「天音さんは相変わらずマイペースだこと。

でもそうですわね、時間を無駄に使うのはいけませんね。では皆様、お先に」


クスクス笑いをしながら、俺を流し目で流しながら食堂へと去っていく。

二人もそれに続いて流れて行ってしまう…も、ベルベットは静かにこちらに会釈を交わして去る。

ベルベットからお礼を言いたかったがアリスから先にその流れも塞がれてしまうのだった…。


「もう!朝からヤな感じっ!いい!さっきみたいに誘ってきても断ることっ!」

「わかった」

「あと…さっきのメイドの子がベルベットね。後で行くわよ。」

「……ああ、でも。そうだな…」

「どうしたの?」

「いや、後で話す。皆にも」

「私達にも?」


 剣の少女も何処か不安そうに首をかしげ、とりあえず食堂へと向かわせた。食堂内は11人の少女たちが俺たちがつくまで待っていてくれた。「おはよう!」「おはようございます」と女の子だけの声を聞くと少し気分が良い、と言うと少し下心がありそうな言い方だが。

なんとなく気持ち的に良かった。


「辰也くん、今日はオムレツにパンケーキにしてみたの。

サラダもあるから好きなドレッシングかけて食べてねっ」


少々年上そうな少女が急に声をかけてきた。もしかして(みどり)…なのだろうか?

彼女は何処か真剣そうな顔をしており、少し自信も垣間見える。


「では…いただきます。」


食べてる最中でも、少女たちは姫神娘の話ばかりで。

相槌や共感しあい「見てみたいね」「会ってみたい」だの他愛のない話で盛り上がる中、俺はその話を聞きながら朝食を食べ進める。


(………。あの時よりかは、まあ、美味いけど…オムレツの生地が時間がたってしまったかってくらい固くなってイマイチ。

ドレッシングはうまいかな…)


「パンは…もっと美味しいの、俺でも作れる…」


バンっ!! と叩く音が聞こえた。

ビクッと体が跳ね、音がした場所を見ると。

ああ…さっき作ったと話していた少女が大口開けて、ワナワナと震えている…!俺は。その時首をかしげて小さな独り言を口にしていたが、相手に丸聞こえになっていたのだと知る。


「……ごめんなさい…」

「私の料理!!そんなに美味しくないの!?他のも!?

確かに昨日のは自分でも有り合わせ過ぎちゃったかな?☆って思ってたけどぉ、何が美味しくなかったの?」

「っ………全体的に…」

「え?!」


黙々と食べていたアリスたちもこちらに目線が集まり、驚きの中に“やっぱり”…と言う顔が出ていた。

もしかして、俺と同じように美味しいとは思ってなかった者もいるのかと期待したが、話の流れにそうとそうでもないと知ってくる…


「ええ!?こんなに美味しいのに!?」

「ちょっと!辰也、なんてこと言うの!

翠さんはパンも全部一人でこしらえてくれてるのよ!」

「はぅうん…ううん、良いのぉ。美味しいの出せなかった私が悪いもの…はぁああ…」

「………………………………ごめん…」

「だと思った。アンタ美味くないって顔に出しすぎなんだもん」

「………………………………そんなに、出ていたか?」

「うん。めちゃくちゃ…。知らない人が見ても眉を下げてガッカリしてたらそりゃあわかるもん。ああ…合わなかったんだって」

「他のお店よりも翠さんの料理が美味しいと思うけどなぁ~…

オムレツとか前よりもお肉多めで味とか工夫されてるよ?」

「翠…美味しいよ?」


 本当に悪いことをした…。

相手の努力にケチを言うなんて、普通はしなかったのだが。

一日中不満ばかり口にしていたので、料理に対しても不満を言うようになってしまったのだろう…

翠はテーブルに突っ伏して、わかりやすいくらい落ち込んでいた。俺は今日行う事をもう話す決意と。頭の整理を付かせた。


「悪かった。本当に…その、俺は今日。地上に降りて探索する予定だから。

その時にお土産を買ってくる…」


「ぇ?」


「「「「ぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!?」」」」


 全員が一斉に驚きと共に、ギャアギャアと騒ぎだしてきた。

アリスなんて俺の首根っこを掴んで今にも飛び掛かりそうな勢いだ。


「どうゆうことよ!地上に降りて探索ってぇ!!」

「今日話そうと思ったんだ。まだ許可は下りてはないが、この天空城には結界が張られているという話じゃないか。なのに魔術師もいなさそうなあの獅子王組がココにきた入ってこれたと言う事は、何か地上に繋がった穴でもあるのだろうと考えた。

だとしたら、さっさと穴を塞いだほうが良いだろうし。


俺は…彼女を、まいを助けに行きたいんだよ。」

「辰也…」


縦ロールの少女が、彼女の話をしだした時。「か、彼女がいらっしゃいますのぉおおおおおおおおおおお!!!?」と高らかな奇声をあげてぶっ倒れた…他の子たちもざわざわとして、頭が追い付かない様子だ。まあ無理はないな。昨日すぐに自分で決めたことだから。


「その話!本当ーーーーーーーーーーー!」

「ん。ねずみっ!」


子が俺の言葉をさも「まってました!」と言わんばかりに天井から落ちて、俺の頭に乗っかってきた。

ぷにっとしたボディーのおかげか、そんなには痛くはない。

子はニコニコしながら俺の肩に乗り直し、こうもオーバーに付け足してきた。


「じゃあホームズ先生のお願いはどうなっちゃうのー!?もしかして、女の子も連れていくつもり?」

「―――!!―――」


女子たちが周りを見回していたのに、ざっ! と洗礼されたタイミングでこちらを見る。

俺は勿論。“女子たちを最初っから連れていくつもりでいた。”

何故なら天空城は確かに安全だ。


しかし、こんなにもたくさんいる女子たちを相手なんて、俺にはできないし…コミュニケーションが追い付かない。それに…俺はどうしても気掛かりな点があったので、彼女たちにどうしても参加してほしいと思っている。


「ああ。連れていく考えだ…」

「ちょっと…。それ本気なの?私たちは―――」


「蘇らない。だな?

俺がいた世界も、死人は生き返らない世界だ。

ちょっとしたケガでも死ぬことが多く、お前たちの世界のような回復魔法なんてものはない」


「回復魔法が…ないっ!?」


「だがな。天空城で社会から離脱してばかりじゃ、本当に社会に戻れなくなるばかりか。

さっきの獅子王組がやってきた時に、自分の身を守れなくなる…!

お前たちがどれだけ死に慎重であり、戦いに無知なのか、この一日で理解した!

だから俺は“5人だけ”。俺と一緒に地上に降りて、俺と共に経験を積んでもらう!


危険はないとは絶対に言わない。

無理に来いとは言わない。


だが、今の生活を変えたいと少しでも思う者がいるのなら俺と一緒にきてくれ!

俺は、お前らを絶対に守れる自信があるっ!」


俺は堂々と思ったことを口にした。

それでどう思われるか心配はないわけではない…それで一人だけ地上に降りるでも別に構わない。

何せ、女の子を危険な道に誘うようなものだ。そう簡単に乗ってくることはないかもしれない…しかし、小さな手が俺の手をきゅっ と握ってくれた。


「マスターが地上に降りると言うのなら、私も…行きます」

「もう!なんて自分勝手なの!こんなバカな淫獣一人行かせるわけにはいかないじゃないっ!」


剣の少女とアリスが答える。


「辰也くん。私も連れて行ってくれないかな?魔法も、戦い方も、何も出来ないかもしれないけど。

戦い方を教えてくれるって言うなら、教わりたいっ!私も連れて行って!」


なでこ。


「ワタシも行きたい。魔法なら私も出来るよ。ほらー…えいっ」


ぼわんっ! と真っ白な煙と共に、出てきたものは―――…いや、出てきてない。

消されたのは。彼女たちの制服だった…!


「「「きゃああああああああああっ!!」」」

「天音っ!なに消してるのよっ!!」

「…あれー、召喚魔法だったんだけど、違った?」

「辰也っ!貴様なに鼻の下を伸ばしているかっ!」ビシッ!

「はぁあ!?ぐふっ!」


天音が勝手に消したのに、マチルダは俺の腹部を目掛けて剣をムチのようにひっぱたいく!


「女子ばかりを集めて本当に守るだと…!信用できないっ!」

「あら。でしたらマチルダも参加して、彼女たちを守りますの?」

「…えっ」


「待って待って待って!今、今決めたっ!私も連れて行ってー!

食材とか新しい料理とか知りたいし、お土産よりもそっちがいいっ!!」

「―――…はっ!辰也さまぁあああ!わたくしめも、わたくしめにも連れて行って下さいましっ!」

「いいね!辰也となら大丈夫そうだし!」「今のセリフ、グッときた!」「行きたい!」


彼女たちは、俺の言葉に誰もが賛同してくれた。俺は、15人の少女たちの中で本当に5人…連れていくことを決めることになった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 地上に降りる方法。それはただ一つ、ホームズたちが作り上げた“転送装置”という機械を使って、ネバーランドへ行くというものだ。勿論、獅子王組が使用した痕跡はなく。

機械を起動するには、俺が持つ携帯がなければ転送できない仕組みになっている。


「どうやって肉体をそっちへ飛ばすんだ?肉体を一度バラバラにして…」

「いやいや!細かいことは気にしたら負けだよっ!俺も一緒に行くよ!

辰也だけじゃ女の子の集団と上手く会話を弾ませられないでしょ?」「黙れっ」


などと茶化されながら、ネバーランドへ転送してくれた。その時でも、ホームズの姿は見せては見せない…とうとう決まった少女たちは未知の恐怖と、好奇心で胸が張り裂けそうになった表情をしていた。

俺は、全体的に彼女たちに声をかける。


「大丈夫だ。怖いこともあるだろうが、絶対に楽しいことのほうが多い。

俺が守るから、安心してくれ」


そして、機械は大きなモーター音と共に俺たちを光に包み込ませ、一瞬にして飛ばしてくれた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ココが…ネバーランドか?」


真っ白だった空間が、次第に木々を映し出し、それが森の中だと知る。

ただの木々だと、天空城かと疑うものだが。

それが違うと知るきっかけは“決まり文句”の如くある幼女2人を取り囲む盗賊たちの姿であった。


「しししししっ!奴隷の分際で良いものを持っているじゃねえか!」

「や、やめてくださいっ!これは大事な方にお渡しするものでございますっ!」


狐の女の子が小汚いおっさんの前で、完全にへっぴり腰となり。

耳まで垂れ下がっていた…。

狐の女の子の半分もある袋をもう一人の女の子がしっかりと持っており、その子は怖がるどころか、盗賊に負けないような気の強い目で睨んでいる。


「子。いるか?」

「ん…あ!辰也!ついた!?」

「……これ。救出フラグじゃないだろうな?」

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