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守護神/異世界乙女ゲー転生=Re:mix.100  作者: ペイントロイド
第一章:守 護 神 は 悪 魔 に 変 わ る
17/22

第2ノ界:#4

やっとのバトルもの。


投稿時間がかかりましたが、かなり敵が下衆どもなので、やり手がグロいと思います。

胸糞注意!!

 突如の事だ。

他の女子たちは新しく入ってきた“辰也”という男子生徒の行方を探すため、二組に分かれて探索していた。

理由はもし彼が自分たちに“攻撃を仕掛けてこないか”を見張る為である。


 彼女たちの過去には一言では語れないことばかりであった。

ある少女は男性に命の危険を感じる毎日を送り。

ある少女は大切な人や物を、自分が関わっていたというだけで破壊・殺害等を受けていた。


“彼女たちは他の国では幸せに生きられない。”


彼女たちの心の叫び、怒り、嘆きは。

この世界のによって常に黙らさせてきた。


だからこそ、男性というだけでこれだけ警戒して、新しく入った彼にそんな態度を示さなければいけない事に、多数の少女たちの心に罪悪感と絶望を感じざる負えなかった…


本当は誰だって安心して手を差し伸べ、笑い合いたい。


きっと話せば彼は優しい人かもしれない。


思春期の少女たちにだって、誰かと恋をしてみたいのだ。


しかし、彼女たちもまた。

“この世界のによって常に縛られている…”


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 大広間で6人の女子たちが集まり「いた?」「いなかった」と会話していた時だ。

突如彼女たちの頭から大きな黒い筒が真っ逆さまに落ちるのを、一人の女子がそれに気づく。

慌てて6人、バラバラに別れ筒を軸にするように逃げたが、筒が地面にカツンっ と音と共に耳を裂くかの如く、大きな火花が彼女らの足を浮かばせ吹き飛ばした!


その音で驚いて集まりだした別の女子生徒たち。

6人が爆発により重症化した姿に青ざめ、すぐに駆け込み手当を施そうとすると。

それを合図かの如く、辰也とは違う別の男性たちが屋根伝いから長く、黒い武器をこちらに向け、派手な火花を乱射させる!


後からきた彼女たちは、彼らの行動に瞬時に対応できず。

無防備な足や腕に彼らが打った弾が当たり、激痛で地面に倒れていく。響き渡る銃声と女性の悲鳴!

そしてやっと彼女らの先生たちが異変の場所に駆けつけた。


「これは!!」

「痛いっ…いたいよぉお…!」「せ、先生…!助けてっ!」


「こんちはー!先生!俺たち“獅子王組”でーすっ!」

「獅子王組っ!!」


先生たちは飄々と挨拶してきた“前髪で目元が見えない、ニヒルな顔で笑う少年”を睨んだ。

ダークエルフのオイコットは手に、禍々しい気を貯め込み怒りを露わにしていた頃、この中で一番“ごく普通の女性教師らしい”人が倒れている女子生徒にヒールをかけ続ける。


痛みで泣きだし、震える女子生徒たちを早くこの場所から離れさせようとすると、別の男子がヒールで傷口が塞がった女子生徒にまたも弾を打ち込んだ!

グシャンっ!

女子生徒たちは唸り声のような悲痛な叫びを出す。

女性教師は「やめてっ!!」と彼女らを抱きしめ一人で盾になるように大きく隠そうとする。それが可笑しかったのか男子たちはその光景にゲラゲラと笑い出した!


「貴様らぁあああああああ!」

「おっとダークエルフ、俺たちと戦うっての?それはやめときな。

獅子王組の強さ、知らないわけないよね?☆俺たちのレベルは“80”。

こんなところでのんびりお茶会している女子らじゃかなわないんじゃない?先生?」


「それよりも俺たちは“神から見捨てられてないアンタら”とやり合うためにきたんじゃないよ」

「何?」

「俺たちは“神から見捨てられた女”から、お前らを自由にするためにきたんだよ…!」


 異常な言い方だ。

…と普通ならばそう考えるだろう。しかし、“スカイブルーの髪色をした優男な”男子の言葉はまるで、自分たちが“正義のために行った行動”だと疑わんばかりの表情で鼻高らかに述べる。

「まあ、この新しい武器の性能を試すためにきたって感じだけどね☆」と別の男子が言うまでは。


「ばっか!それを言うなよっ!」

「ごめーん!☆でもさ、この世に必要ない人間育ててなんの意味があるの?☆

神から加護を受けた者は生き返るものだって、授業でも習ったのに。加護のないこの女子たちは一度殺されたら、死ぬんでしょ?この世界から必要とされてないんでしょ?


死んでも困らないんでしょ?


そんな彼女たちを長々と生かしてむなしくならない?違う?☆」

「何が自由だ試すだだ…彼女たちは必要な命だっ!!勝手な事ばかり並べおってっ!!」


 オイコットはニヤニヤと小馬鹿に笑う男子ハイエナに、禍々しい黒い炎を、右腕で大きく振り上げ、顔面に投げ入れ彼らを燃やし尽くそうとする。


この魔法の名は「ダークフレア」。

普通の炎よりも熱く、そしてどの魔法よりも“強い”全体攻撃の魔法であった。

彼らはなめ腐ったようにヘラヘラと笑い、防御姿勢をとってはいなかった。だからこのダークフレアの攻撃で彼らに軽い火傷ではすまないだろうと踏んでいたが―――!

ダークフレアの火が冷えると、彼らはまるで煙を手で払うかのようにケロリとした表情で佇んでいたのだ。そして…かすり傷も受けなかった!


「あーアチー。こんのババア…俺たちと戦いたいみたいだよ?☆」

「ああ。こいつは危険だ。戦闘防衛でもしましょうか…」


 まだヘラヘラとしている。

しかし、完全に彼らは確実に殺意を上げている!先生たちは本能的にすぐにその場から逃げなければいけないと察した!


「オイコット先生!」

「お前たちは早く学園の中へ!私が相手をするっ!」

「ばかっ!あんな奴らかなうはずが…!」

「いいから行けっ!!私たちは教師だっ!生徒を護るのが私たちの義務だっ!」


「…っ!気を付けて!」


 オイコットを残し、他の先生たちが生徒を助けていくと。またも銃を乱射!

しかしオイコットは生徒に当たる前にダークフレアを地面に大きく広げ、天へ高らかと上げる。自分で考えた“大きな炎の壁”である!

弾は後も残らないほど一瞬で蒸発し、誰一人当たらなかった。

ダークフレアは建物を燃やす炎までも吸い込む勢いで上がっていたが、男子の一人“スカイブルー”がダークフレアの中へ突っ込んでいき、オイコットに重い拳を一発で打ち込んだ!


オイコットは痛みで顔を歪ませ、派手に宙返りをし、頭から地面に落ち、転がっていく。

オイコットは腹を抱え、口元に血を滲ませても尚戦う視線は変えることはなく、移動速度を上げる「ムービングアクセレーション」を唱えた。

効果は約16分!

「体制を整え、集団をまとめて足止めをする。」オイコットは最初っから勝てる相手ではないと踏んでいる。しかし、ここにいる女子たちが安全な場所に逃げれるように、少しでも時間を稼ぎたかった。

だが、彼女の動きは―――彼らには止まっているように見えていたようだ!


「“ヘラクレス”…!!」

「ああっ!!」


 “スカイブルー”の

魔法学を誰よりも知っているダークエルフから聞いても、初めて聞く魔法の名であった。

“スカイブルー”の左腕が、まるで剛腕な腕…岩の如くオイコットに振り上げ、地面を抉るほどの怪力でオイコットを攻撃するっ!


「ストップ!ストップ!! 本当に“死んじゃうよ”☆」

「う…ぐぅ…!」

「あっちゃ~、やりすぎたー!」

「“カミト”やばっ、熱上げすぎ☆」


 オイコットはボロボロになっていた。

情けない、屈辱的だ。


1分とも持たずこの戦いは停止してしまった。“スカイブルーことカミト”と、“目隠れ”の男子だけがオイコットのところに残り、別の男子たちは逃げた女子たちを追いかけていく。

二人はまるでオイコットを嘗め回すように、見下していた。


「なかなかやるねーダークエルフさん☆でももうちょっと賢くなってほしかったな」

「うう…!生徒に、手を出すな…!」

「かっこいー☆ほら先生、立たせてやる、よっ!」


 “目隠れ”が彼女を起こしたと同時に、オイコットの服をビリビリに引き裂いた!


「!!」

「ひぇー!でぇっけーブラ!あははっ!

見た目かっこいいのに、意外とかわいいデザインのブラつけてるんだな!」

「ひゅー!しかも乳首はピンクかよっ!最高にかわいいねぇ!」

「いやっ!やめろっ!」

「「ははははははっ!!」」


 半裸な状態にされ、完全に彼らの玩具にされていた。誰もココにはいない。

助けてくれる人などいない。遠くからまたも守るべき者の悲鳴が聞こえてきた。怒りと羞恥心で顔を歪ましていると、オレンジ色の髪の少女がこちらに飛んでくるのが見えた!


「先生に…!さわるなぁああああああああああ!!」


「くるなぁあああああああああ!」

「あん?」


男子がくるりと少女を目にした途端、少女に「ドレイン」と「スピア」を唱え、学園の壁まで吹き飛ばす!彼女はバラの迷路にいたツインテールの少女であった!

壁と毒と、スピアという風の刺す痛みで威勢を砕かれ、無残にも地面に倒れてしまう。


「あららー☆この子もかわいいよ?☆しししっ☆」

「やめろっ!狙うのは私にだけにっ!」

「おっと、相手するのは俺だけにしなよ」


“目隠れ”はルンルンの気分で、ツインテールの彼女に近づき顔を覗かせる。


「俺はこっちの方が好みかな~。ツインテールなんておいしすぎでしょ?」

「先生に。触らないで…っ!」

「あ、生きてる!でもそっちのほうがいいよね☆生きている方が“楽しめるんだから”」


目が見えないが、まるで“サソリが獲物を刺しかのように”彼女を見る。

見られた彼女は視線に毒でも入っているかと錯覚するほど、不快感が込みあがり、全身に汗が噴き出す。

助けにきたのに、まさかこんな簡単に負けてしまう自分に悔しさと、相手への恐怖が押し寄せる。


―――誰か、私たちを助けて…


常に非力な者は強者に黙らされてきた。

天空城という楽園(逃げ場)を手に入れても尚、その恐怖から逃げられないというのだろうか?

誰かの涙の雫が、流れ落ちそうになったその時っっ!!



 “目隠れ”の横から、|がまっすぐに飛んできて、“目隠れ”が瞬時に逃げる前に、派手にぶつかった!

「ぐごぉ!?」

ツインテールの少女は遠くへ飛んで行った男子に目を丸くし、サッと飛んできた場所に目を向けると。

炎の中から白銀の剣を持ち、敵を黙らせんばかりの怒りに震えた“ある男”がやってきていた!


「誰だてめぇは」

「誰でもいいだろ。てめぇらみたいな品のない下種に、俺の名を教えるほどでもないっ!」


“スカイブルー”が「何っ!」とにらみを聞かせようとした一瞬で、あの男はオイコットの元に立ち、自分のコートを手慣れた様子で掛けてあげる。

“スカイブルー”はいつのまに移動していた男にサッ!と向きなおすも、彼は“スカイブルー”の動きよりも先に 一発! 二発っ! と風を切るかの如く体に拳を打つ!その打撃音は骨まで破壊するほどの強い音で、優男の顔が苦痛で歪む!

「ぶっ!!?」

プロボクサー顔負けの拳によろめきつつも、“スカイブルー”は反撃の動きは止めなかった!


「“ヘラクレスっ!オーバードライブっ!!”」

「“満たせ満たせ満たせ!躰に毒を!スコーピオン”」


 乱雑且つ破壊的な暴力が彼に重くのしかかる!

ヘラクレスの攻撃魔法で地面が派手にエグれ、たちまち拳のえげつない速さにより爆風が生まれていた!


「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオアラオラオアアアオラアアアア!」


その場にいたオイコットは簡単に風で飛ばされ、助けに来た女子生徒に背中を支えられる。

 二人は彼のお陰でこれ以上の傷はなかったが。土埃で姿が見えなくなった彼が、奴らにあれだけの攻撃を受けて無事では済まない事に、二人は成す術もなく身を縮める他なかった。


「先生っ…!このままじゃ…、彼がっ!!」

「くっ…!」



物にぶつかり、痛みで悶えていた“目隠れ”がヨロヨロと鼻を抑えながら“スカイブルー”に近寄った辺りから“スカイブルー”は蒸気を発し、動きを止める。


ゴツゴツになった両腕はズシンと重たい音を鳴らし、幻でも見せたかのように細い腕へと変わった。

奴の顔はとてもシャープなイケメンである。しかし、さっきの拳により頬に青あざが浮かび上がり。彼の額に血管が浮き上がるほどの怒りを味あわされたようだ。

彼は自分の顔をなでながら、砂ぼこりの中で立ち止まる。


「確実にやったか?

くっ…男子がいるとかきいてないけど?」

「やったやった☆っ!

いってぇー…スコーピオンは、確実に奴の背中を刺したよ☆

俺の攻撃は相手に当たるまで止まることを知らない技なんで…あれ?説明してなかったっけ?」


「いや、初めて聞いたわ。てか“何が飛んできたんだ?”」

「あ。見てない…なんか黒いのだった」


「あれは棺桶だ。“お前ら仲間”を殺したら棺桶に代わったんだよ」

「は?」


 二人の目線が反らされていた間に白銀色がまっすぐに円を描き、一瞬で斬り倒す!


「な!なぜだ!!俺の毒は、一瞬で殺せ…ぎゃあああああああああっ!」


“目隠れ”は断末魔を上げ倒れ、棺桶へと変化した!


舞い上がった砂ぼこりを斬り裂き、現れた彼の顔には余裕すら見える。確固たる自信と、敵を薙ぎ払うことにためらいのない、“狂気的な笑み”。

今まで獅子王組という安全地帯で天狗になっていた彼に、化け物が心臓を掴まんばかりに襲い掛かる様子を見て、忘れかけていた恐怖に震えた!

まるで獣でも相手する錯覚に落ちた“スカイブルー”。腕はさっきの刺傷で動けないが、それでも命の危険を感じざる負えない状況に無理やり腕を上げ、新たにヘラクレスを使う!


「オラオラオラオラオラオラオラオラァアアアアア!!」


 今度は確実に相手の急所を狙っての攻撃!

一撃一撃を重く圧し掛かるほどの強い威力で、相手の骨ごとバラバラにしてしまおうと考えた。

ここにやってきたのは、ほんの軽い気持であったが。

これ以上の敵が隠れていたとは知らず、頭を真っ白にして、己も獣の如く本能的に戦わなければ殺されると察したからだ。


獅子王組では“2番目”の位地にいるが、優男な見た目と裏腹に破壊的な怪力を売りにしている。

常に周りの顔色を気にして生きる人生に嫌気がさし、獅子王組に入ったが。それでも“2番目”であることに不満があった。


「俺は強い!俺は強い!俺は強い!俺は強い!俺は強い!俺は強い!俺は強い!俺はつよいんだぁあああああっ!!!ぐぁあああああああああああああっ!!」

「本当に品のない奴らだ。“死ね”」


 すると“スカイブルー”の目に止まったのは、彼の胸には大きな穴が見えたのだ。


そして察する。


これは“スコーピオン”の傷であると!


スコーピオンの攻撃は相手に当たるまで続く、という特性を知らなかったが。

スコーピオンの持つ毒性の威力をいつも見ていた。


牛や馬以外にも、強くて剛腕な肉体を持つ人間でさえも瞬時に殺せるほどの恐ろしさを持っていた。

自分がリーダーである“獅子王”に勝てないが、あいつにも勝てないと知ってしまった瞬間である。

だからこそ“2位”なのだ。


―――そしてココに。

毒にも打撃にも敗北しない“最強の男”に…出会ってしまった。


「くそ…ああ…、俺は負けた…」


「“天照てんしょう はつつき”」


剣を振るうたびに真っ白な花びらに似た魔力が溢れ、地面が真っ白な雪のように彼の足もとから広がり咲き乱れる。


“膨大な魔力の塊。”そのものであった。


全ての光を結集した純粋な魔力の塊が放出され、大きな風もないのに全てを燃やそうと揺らめいていた炎が一瞬にして消し飛んでしまった…!


その場に残ったのは、女子生徒と教師と…彼だけだったが。

三人の取り巻く空間は“初日の月夜”のようにんでいた―――





「“辰也”ーーーーっ!」

「ん?」


 彼は何事もなかったかのように、呼ばれた方へ振り向く。

白銀の剣先には“スカイブルー”だった棺桶が現れ、戦時に見せた鬼の形相をしていた人物とは思えないくらいの、落ち着いた表情であった。


辰也はわずか10人の男子集団を“一人”で襲撃し、勝利を収めたようだ。


だが、早乙女と…―――アリスを前にした途端、落ち着きが焦りに近い、険悪した顔に変わった。

アリスはバタバタと走ってきて、辰也に詰め寄ってきたからだ。


「こんのおバカっ!!何一人であいつら相手に戦ってるの!?あいつらは強いのよ!?」


「ああ、早乙女から聞いた。

冒険者ギルドに務め、数ある凶悪な魔物を狩るが。彼らの活動は強盗・殺人を繰り返す“PKプレイヤーキラー”なんだろ? そいつらが学園で暴れてるって聞いたからさっさと始末を…」


「そおおおおおゆゅぅうううう問題じゃなぁああああああいっ!」ブンっ!


「あぶねっ、おい!殴るんじゃない!」

「死んでしまったらどうするのぉ!?」

「ぇ」


「戦って勝てたからいいけど、無茶しないでよっ!

私の使い魔なんだからそのぐらい賢く生きなさいよぉ!!このばかぁ!!」


 ボロボロとすがるように泣いていたアリスの顔を見て、そういえば自分の肉体は人間になっていたと今更思い出す。


“辰也”になる前までは、まいによく「無茶だけはするな。自分ができる範囲でやれ」と口うるさく言っていたことを思い出す…まいは頭の中だけ返事がよくてもつい一つの事に夢中になっては無茶をして、最後には精神がボロボロになる姿を何度も見てきた。


そのたびに「馬鹿だな」と言っては、内心見下したこともあった。

して、自分がその立場に立つと限界までやってないが…自分の今の見た目からしてボロボロな状態になっている。現に胸部に大穴を開けているし…


「…ああー、そういやぁ。俺は人間になってたっけ…でも、心臓突かれて死んでないな?」


「心臓?…きゃあああああああああああ!穴がぁああああああああ!!

出血!手当!ケアルケアルケアルケアルぅうううう!!!―――きゅうぅ…」


 アリスは今度は涙を流した顔を変えて驚きの表情に変化して、ぐんにゃりと気絶して早乙女に支えられる形になってしまった。

(騒がしいやつ…)と辰也は内心呆れる。


早乙女は、辰也に言いたいことを先に言われてしまったので、無理に語るとしたら辰也が持つ白銀の剣について聞くことにした。


「ところで辰也。それ使って“大丈夫”だった?」

「は?」

「これイワクツキの剣で…魔力を大量に吸い上げるけど、全然威力もない魔剣なんだよ」

「へー…」

「―――すっごく平然としているから、大丈夫なのかもしれなんだけど。

体調とか、気分とか悪くないの?てか、けがは大丈夫?」


…あの時、倉庫の中にあった沢山の武器の中で適当に選んだ物だったので、大丈夫も何も…と考える。

(お前…それほどまでも燃費が悪い魔剣だったか…)

剣を流し目で見つめ、心の中で語りかける。


使ってわかったことだが、この剣は玩具のように軽い。

いや。とても軽すぎるのだ。


通常の剣だと、1.5~3kg。そして日本刀は800~1800g。それでも1kg程度の重さはあるはずが、この剣には1kgもなかった。それに…


「―――辰也」


 ツインテールの少女と、オイコットがゆっくりと辰也に近づく。

早乙女は慌ててボロボロになっていた二人に「無理しないでくださいっ」と口にする。オイコットはなんとか支えられているおかげで動けるが、命に別状はないようだ。


「ありがとう…君のおかげで死なずにすんだ。感謝している」

「いえ、もっと早く来ていればこの薔薇園も守れたはずですし…」

「大丈夫。また植え直せばいいもの…」


他に言い方があったかもしれないが、それでもあれだけ美しく手入れも行き届いていた花園が、無残に荒らされて心を痛めないわけがなかった。

それに、あの投げ飛ばした棺桶の中の人物とその辺をゴロゴロと置いてある棺桶たちなのだが。

奴らは女子生徒を卑劣な行動で怪我を負わせた。

彼女たちの怪我も直してやりたい…


いっぺんにはできないが“何かしてやりたい”と、辰也は強く責任を感じだしていた。


『“マスター”』

(ん?)


 戦時でも聞こえたこの幼い声。

やはり剣から伝わってくる声で、周りには聞こえてないようであった。


『マスターは知ってる。全てを回復させる魔法の名を…』

(それは…)

『?ハズカシイ?』


声だけだが「きょとん」とした表情をしている気がした。

さっきの「天照初ノ月」も天照大神アマテラスオオミカミ様の名っぽくてつい口走ったが、まだ呪文を堂々と唱えることに抵抗を感じている。

しかし、無知よりも知っていて使わない方が悪質と思っているので、恥じている場合じゃない…

自分を役者と思い込みながら、もじもじと剣を頭まで上げていく。


『・・・・・・マスター、怖い』

「すまん!そ、そうだなっ…しっかりやらないとなっ…!」ブツブツ…

「?」


恥を感じると剣まで不安が伝わってしまう。

今度はしっかりと剣を高らかに上げ、突然の行動に周りは自然と目線が集中が自分で頭に上がった言葉をすぐに詠みあげる。


ヒールしのレイン”!


その呪文を高らかに口にすると、剣が一瞬きらりと光りだし。

空は曇ってもいないのにさらさらとした青い光の雨が、刺激の少ないシャワーのように降り出してきた。


「雨?」

「これは…“魔力”だ!魔力が雨のように降りだしている!」


「もしかして、これも辰也が?」

「…うん、まあ、その。少し、だけっ…」


「―――すごい…。そんな呪文は始めて聞いた…!あなたは、一体…」

「見て!!花がっ!」


 雨にうたれた植物は、痛み、しな垂れていたが。

温かい魔力を吸って徐々に生き生きな緑を取り戻し始めていた…!花が回復していく姿を彼女たちのほうがとても喜ばしく感じていたようで。疲れていた表情に、明るさが自然と生まれていた。

彼女たちにとってこの花園は、きっと特別なのだろう。

後からきた少女たちも、花園の回復に自分たちの痛みの回復よりもとてもうれしそうに笑っていた。


「わぁあ…!」

「よかった…!お花が、本当にっ!」


 彼女たちは互いに喜び合い、みんな無事だと知り辰也は静かに微笑んだ。

そして、今まで自分の肩に力が入り過ぎていたと気づき、それでも誰かに見られないように口元を隠す。

しかし、それがどうやら剣だけは気づいたようでまた「きょとん」とした声で聞く。


『マスター、どうして口元を隠すのですか?』

(…めざとく聞くな)

『マスターは……とても純粋』

(は?)

『感じます。魔力は水のように、きれいで…そして…』


そう言葉をつづった時、白銀の剣はより真っ白に輝きだし、それは光となって形を変えだした。


“ヒールレイン”がまだ降り出しているのも相まって、まるで神の降臨とでも言うかのような神々しさ

まで感じる。剣はみるみる幼い少女の姿に変わり、純白のキャミソールワンピースと真っ赤な赤い首輪。

そして絹のように長い銀髪をたなびかせ、辰也の目の前に姿を現した。


幼女は辰也に全て包み込むように優しく抱きしめ、まるで“恋する瞳で”辰也に口づけをする!


「海のよう……」


その光景を辰也以外に他の女子たちも同じように見つめ、目をまん丸くしてどよめき出す。


「け、剣が女の子になった!!」

<ハッ!ハレンチダー!

「もしかしてこれは魂機物グリム!?剣に魂が宿っていて、擬態したのか!」


魂機物グリム?ああ、付喪神つくもがみね―――…え?

なんで、俺に、キスした???」


「やばいっ!辰也混乱してる!」



=======--- ピコォン! ---===================

▶ 「魔剣 無銘」とのフラグか成立しました。

 攻略対象です。デート・パーティーメンバー・パートナーとして

 選択することが出来ます!

====================================



頭の中で、おかしな表示が浮かぶ。フラグ…攻略対象…と―――


「なんてことだぁ…!ここは、ただのクソラノベじゃなくて、ギャルゲーだったのかぁあああああ!?」


辰也は自分だけが見えるステータスバーに恐怖し、豹変する感情に振り回され。

これから来るであろう自分の“苦悩”が、始まりであることを、まだ、知らない…っ!

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