夜の来ない街
西の空に日が落ちる
空に闇が迫ろうとも
この街に夜は来ない
十歩歩けば街灯が道を照らし
道沿いの店の看板は輝く
家からは暖かな光が漏れだし
車のフロントライトは目に刺さる
独りきり
闇に呑まれそうで小さく震えることしかできない自分が
ばからしく思えた
暗闇が怖くて
人間が怖くて
でも
誰よりも何よりも
人のぬくもりが欲しかった
そして
すべてが矛盾した存在を
心の中で
嘲笑った
上を見ると
光が心に刺さるから
小降りの雨の中を
俯きながら駆ける
顔を上げれば
思い出してしまいそうで
ただひたすらに
夜の来ない道を駆ける