69.その一か月①
今回からちょっと主人公視点じゃない話になります。
その日、とっぷり陽が暮れたころ。
勉強もひといきついて部屋で休んでいた坂上詩穂はヨギに呼ばれた。どんな用件か訝しげにしながらも訓練場に向かう。
「……先輩!?」
「……あ、坂上。調子はどうでしょうか。私は元気です」
そこには地べたに座り込む村山貴久がいた。着ている服は真新しく、傍らには服だったと思しき布きれが転がっている。
血の気が引いて顔が青い。憔悴しきってひどく弱った様子だった。口調も変になっている。
詩穂は慌てて近寄った。
「先輩、どうしたんですか!? どこか怪我でも……?」
言いながら体に触れる。
服に血が滲んだ部分はない。裂傷は特にないようだ。ならば打撲か、と考え検査の魔法を使用する。
その結果、
「……ない、ですね」
怪我は見つからなかった。打撲も内臓の損傷も、少なくとも詩穂に分かるようなものはない。疲労が溜まっているだけのようだった。
これほど弱った様子なのに怪我が全くないことがかえって不思議で、一通り魔法で検査したあともあちこち触れて確認をとる。
魔法と言っても完全ではない。仮に完璧な魔法があったとしても使う人間が完璧ではないのだから見落としがあるかもしれない。
結果、やはり外傷は見られなかった。異常があるとすればやけに強く心臓が脈打ってることだけ。
「あの、何があったんですか? ヨギさんもどうしてわたしを呼んだんですか?」
ヨギがわざわざ自分を呼びつけて、そこには弱った様子の人がいた。
貴久が怪我をしたのだと思ったけれど、いくら調べても怪我はない。
訓練場まで自分を呼び寄せた意味が分からずに詩穂は貴久とヨギに質問した。
「さっき、タカヒサと訓練を始めて――」
「ヨギさん」
詩穂に説明しようとするヨギを貴久が止めた。
ヨギはうん、と不思議そうに首をひねった。それから貴久を見て、仕方ないと言いたげに溜め息をついた。
貴久は青い顔のまま端的に告げた。
「……ちょっと、ヨギさんに稽古をつけてもらってたんだよ」
「稽古、ですか」
「そんであたしがはりきり過ぎちゃってね。けっこうキツめの怪我をさせちゃったのよ。あたしの魔法でも治してみたけど、やっぱり専門じゃないから、治癒力最強の勇者様に看てもらおうかなって」
何かをごまかそうとするように言葉が足りない貴久の説明をヨギが補う。
詩穂は妙に言葉少ない貴久と、微妙に棒読みくさい説明をしたヨギに違和感を覚えながらも傍らに置かれていた服の意味を悟った。
回復魔法は体の傷を癒す効果しかない。傷んだ武器や防具を補修する魔法もあるが、回復魔法とはまったく違った系統の魔法だ。回復魔法で破れた服は治らない。
ちらりとぼろきれ同然になっている服だったものを見て、気付いた。
服は見事にバラバラだった。訓練の最中に刃物が当たって服が切れることはあるかもしれない。けれど、何をどうすれば服としての原型を留めないくらい切り刻まれるのか。
「その訓練の内容、詳しく教えてもらえますか」
「い、いや、普通よ? ちょっと剣で打ち合っただけだし」
「本当に?」
「………………」
まったく信じていない詩穂の追及にヨギはぐっと顔を逸らした。
ヨギはあまり隠し事が巧くない。すぐ顔に出るし、誤魔化し方も下手くそだ。
そのことを悟った詩穂はヨギにさらなる追及をしようとするが、
「坂上、大丈夫だ。俺もちょっと錬気を使い過ぎて気分が悪いだけだから。うん、大丈夫。大丈夫」
「先輩……」
あからさまに大丈夫じゃない様子の人に大丈夫だと連呼されても説得力がない。
まして詩穂は治療院で学習していた。患者が大丈夫という回数は大丈夫じゃないほど多くなる。
そこを追及したいところだったが、貴久には傷一つない。自分でもそれは確認した。
貴久は余計な心配をかけないよう詩穂に訓練のことを隠そうとしていたが、その行動によって詩穂に余計な心配をかけることになった。
「……わかりました。ケガもないようなので、わたしは戻りますね」
おそらく詰問したところで先輩は適当な言い訳をするだけ。ヨギさんは嘘が下手そうだけど黙りこくってしまったら何も聞き出せない。
そう考えた詩穂はしぶしぶ、二人を問い詰めるのをやめた。
貴久はそっと、ヨギはふうぅ、と息をつく。安堵していることが手に取るようにわかった。
なので詩穂はしっかり釘を刺すことにした。
「もしまた先輩が怪我をしてもきちんと治しますので、明日の訓練にはわたしも同席します」
二人が固まった。
ふん、と詩穂は鼻を鳴らす。
訓練をするというならその内容をいちいち聞き出す必要はない。実際に自分の目で見ればいい。
どうせ、訓練場を使うなら遅かれ早かれ誰かの目に入る。やがては詩穂の知るところにもなるだろう。
無駄な足掻きはさっさとやめさせるに限る。
「い、いやでも坂上、治療院の方はどうなんだ?」
「最近ずっとお手伝いしていたので、休みを取るように言われていたんです。ちょうどいいので明日、お休みをもらいましょう」
「急に明日休ませてー、なんて言ったら治療院の人に迷惑かかるんじゃないのかなあ?」
「そうですね。では明日はきちんとお手伝いをすることにしましょう」
明らかに焦った様子の貴久。だが言うことはもっとも。なので意見を聞くことにすると、今度は貴久も分かりやすくほっとしていた。
「代わりに明後日は全休にしてもらうことにします。城の周辺でその稽古をするつもりだったらバレないように、なんてどうせ無理ですよ。先輩の賢明な判断を期待します」
そこに追撃をかけると、貴久は今度こそうなだれた。ヨギはそんな貴久と詩穂を見て苦笑する。
詩穂はにっこり笑ってその場から立ち去った。
ヨギをして「妙な圧力がある」と言わしめる笑顔だった。
―――
翌日の昼、詩穂は訓練場にそっと紛れ込んでいた。今日はきちんと勤めると言えば今日は隠そうとしている稽古をすると思い、朝で仕事を切り上げてきたのだ。
そこですさまじい光景を目の当たりにしていた。
「どうしたタカヒサ! さっきから全然打ちこめてないわよ!」
「逃げるのに必死なんですよ!」
貴久とヨギが切り結ぶ……というか、貴久がめった切りにされていた。
二人とも、詩穂の存在には気付いている。貴久もヨギも訓練のため魔力感知を使っているのだ。十万超の巨大な魔力に気付かないはずがない。
余計な心配をかけまいとしていた貴久も本人が探ってくるのだから仕方ないと腹をくくった。
ヨギもまた、それなら合わせて加減する必要はないと容赦なく剣を振るう。
遠くからならかろうじて目で追える程度の速さで動き回るヨギ。
その攻撃をかわしたり防いだり、かわしも防ぎもできなかったりしながら奮戦する貴久。
まだ見学を申し出て五分ほどしか経っていないのに、詩穂の目には十回ほど貴久の体をヨギの剣が通りぬけているように見えた。その度に貴久が苦悶の表情を浮かべていくので、見間違いではないと思う。
そのあまりの光景にしばらく硬直し、ちょっと意識が別の世界に流れていた。
さらにぼんやり観戦を続けることしばし。詩穂はやがて正気に戻って慌てふためいた。
「ど、どうしましょう。どうにかして止めないと……!」
回復魔法の気配を感じる。貴久は斬られる度に治されているのだろう。その証拠に、服はどんどんボロボロになっていくのに体には傷ひとつ見当たらない。
しかし、痛まないわけではないはずだ。その証拠に貴久は斬られる度に表情を歪めている。
「あー、シホ。手出しはやめてやっちゃくれねえか? タカヒサも同意の上での訓練だからよ」
「は、え!?」
急に横からかけられた声に詩穂はびくっと振り返り、そこに立っていた人物を見て身を固めた。つい障壁を張ってしまう。
ゴルドルだ。彼も他の兵士たちの訓練を監督するために訓練場にいた。その後ろにはウェズリーとシュラットが控えている。
詩穂とゴルドルは初対面というわけではないが、それでも不意に巨体かついかつい顔の男が傍らに立っていたら驚くのも無理ないことだろう。
男がゴルドルだと分かると詩穂は息をついて障壁を消した。ゴルドルは苦笑いしている。
「あの、先輩も同意の訓練って、本当なんですか?」
「おう。嘘じゃねえ。シホも昨日、あいつらの訓練のあとに顔を合わせてんだろ? 無理やりやらされてんならその時に言うさ」
「……それもそうですけど。そもそもあれは何の訓練なんですか? 先輩を痛めつけてるようにしか見えないんですけど」
「ヨギが言うには戦い方を体に叩きこんでるんだそうだ。理屈が正しいか分からんが、タカヒサの動きがよくなってるのは間違いねえな」
そう言ってゴルドルは戦いを続ける二人に視線を向ける。
ヨギはまだまだ本気こそ出していないものの、相当な速さで剣を振るう。
少なくとも、素人や訓練を始めたばかりの兵士が捌ける速度じゃない。
けれど貴久は一度見た攻撃にならば反応できている。
回避する動きが大きすぎてかえって姿勢を崩すこともあるが、ところどころ対処できているのだ。
開始二日目にも関わらず、すでに成果が出ているようだった。
「……でも、どれだけ効果的な訓練でも、それで体を壊しちゃったら意味がないと思います」
「うん、まあ、確かになあ」
詩穂の言葉にゴルドルはうんうんと頷いた。
そもそも、ゴルドルは勇者召喚には反対だった。
自分たちの戦いに異世界の住人なんて無関係な人間を巻き込むべきではない。
五人の勇者が召喚された後もその意見は変わらなかった。むしろ強くさえなった。
召喚された勇者たちは、いずれも戦場に似つかわしくない子供だったのだ。
五人とも年齢だけならアストリアスでは成人になるのだが、五人の表情にはまだあどけなさすら残っている。アストリアス人は平均身長が高いので、相対的に身長が低いせいで余計幼く見えたのかもしれない。
ゴルドルとしては子供を戦場に立たせることにも気が進まない。それでもこの世界の、この国の子供であるなら、自分たちの住処を守るために戦うという選択肢もあるだろう。
しかし勇者たちはアストリアスの事情とはまったく無関係の子供だ。どれだけ力を持っていようがその事実は変わらない。五人の勇者は戦う必要も、戦う力を身に付けるために苦しい思いをすることもないと考えている。
もちろん、戦力が増えるのなら助かることは間違いない。自ら強くなろうとする意思を否定するつもりも毛頭ない。
しかし。
「……タカヒサのやつ、何をあんなに焦ってんだか」
村山貴久のどこか強迫めいた力の求め方は気がかりだった。
―――
正午。訓練が終わったところで詩穂は貴久のもとに向かった。
終わるやいなや現れた詩穂に、貴久もヨギも驚いた様子はなかった。
詩穂が体に異常がないか確認すると申し出ると、渡りに船とありがたく診てもらうことにした。
やはり貴久は弱っていた。体を斬られた結果服がズタボロになって、日本で公道を歩いたら確実に通報される格好なのに、それを気にする余裕もないようだった。
「先輩、やっぱりあんなの無茶苦茶だと思います。続けてたら本当に体が壊れちゃいますよ?」
詩穂は貴久の体を検査しながら訴える。
こんなのは訓練じゃない。でたらめだと。
「うん、まあ、無茶なのは確かだけど。ヨギさんも壊れないラインを見極めてくれるだろうから」
けれど貴久は聞く耳を持たない。続けるの一点張りだ。
……本人がいいならいいのかなあ。
詩穂はふう、と溜め息をついた。心配ではあるが、本人が望むこと。こうして調べてみても後遺症は残っていないようだし、ヨギの実力は確かなのだろう。なら、あまり心配することでもないかもしれない。
止めるべきか否か。詩穂が悩んでいると後ろからゴルドルが現れた。
「おいタカヒサ、お前、何をそんなに焦ってんだ?」
「……焦ってなんかいませんよ」
「嘘こけ。そう長い付き合いじゃねえけどな、お前がこういう無茶な方法を好んでやらねえことくらいわかるんだよ」
ゴルドルには不思議だった。貴久がどうしてこれほど早く強さを得ることに拘るのか。
貴久はもっと堅実な方法を好む人間に思えた。
強くなろうとする理由は分かる。城の中にいても危険な目に遭ったのだから、身を守る力を求めるのはある意味当然だ。
しかし、貴久はきちんと想像力を持っている。長年訓練してきた人にちょっとの訓練で追いつけるはずがないこと、追いつけたとしてもそれなりのリスクがあることくらいはわかりそうなもの。
実際にこうして多大な負担を背負ったのだから、もっと堅実な方針を求めるのが自然とすら思える。
貴久は服を着ながらしばらく言いづらそうにしていたが、やがて観念したように答えた。
「……ずっと、嫌な感じがあるんです」
「嫌な感じだと?」
「はい。剣を向けられた時に感じるのとは違うんですけど、嫌な予感が。手に付いた油みたいにこびりついて、もやもやしているんです」
貴久は直感というスキルと持っている。その名の通り、ただ勘がいいだけなのだが。
生まれつき勘がいい方だったが、こちらの世界に来てからずっと鈍かっていた。目の前に差し迫った危機にはきちんと反応してくれるのに、公開私刑の時には事前にほとんど反応しなかった。
最近、その理由が分かってきた。
直感が常に嫌な感じを訴えているのだ。
剣を向けられた時の悪寒は閃光が奔るように鋭い。対して常に感じる嫌な予感は澱のように静かに沈殿していく。
正体はわからない。ぼんやりと不確かな予感は霧のように、遠くの危機に対する直感の鋭さを奪う。
「具体的に何が起こるのか、いつそれが起こるのか分からないし、根拠もない。だから言うつもりにはなれなかったんですけど、ずっと感じているんです。時間が経つごとに少しずつ強く。……だから、この直感が思い過ごしじゃなかった時に生き残れるよう、早く強くなりたいんですよ」
「……そうか」
「今まで感じたことがない質の嫌な感じなんです。だからいっそう怖くて。……坂上にも悪かった。根拠はなくてもきちんと話しておくべきだったな」
「いえ。わたしたちに余計な心配をさせないようにと思ってのことだって分かってます。話してくれて、ありがとうございます」
ぺこりと詩穂は頭を下げた。貴久はばつが悪そうに頬を掻いた。
「いちおう、日野さんにも話しておいた方がいいかな」
「先輩、疲れてますよね。リコさんにはわたしから話しておきますので安心してください」
「……まあ、隠しようもないくらいには。助かる」
詩穂の申し出を受けて、貴久は青い顔でうっすら笑った。
―――
「そう。村山くんはまた無茶をしているんだ」
昼食の時間、食事を持って部屋に訪れた詩穂は貴久が受けている訓練と、彼が感じているという嫌な予感のことを伝えた。
話を聞いた祀子は嘆息した。
「また? 前にも先輩は何か無茶をしたの? そういえば珍しく先輩のことは覚えてたみたいだし、一年生の時とか?」
「……私、村山くんが自己紹介する前に彼の名前を呼んだりしたっけ?」
「召喚される直前、先輩のことを見てたでしょ? リコさん、興味ない人や物はほとんど見ないのに、ただベンチに座ってる先輩を見てたんだもん。少し気になったの」
言われて祀子はうっと唸った。
詩穂の言うことには覚えがある。
祀子は興味があるものと無いものとで態度が大きく違う。興味があるものにはとことんのめり込むのに対し、興味がなければおざなりにしか扱わない。
魔法ばかりに気を取られていたから公開私刑前の城の様子がおかしいことにも気付かなかった。
必要があるならともかく、興味も必要もなければ人の名前もろくに覚えない。クラスメイトの名前だって一年かけて半分覚えていれば多い方だ。
「……詩穂はよく見ているね」
そんな自分の悪癖を言い当てられたこと、召喚直前に自分が貴久を見ていると気付いたこと。両方への感想を漏らす。
「たまたまだよ。それで、何かあったの? 実は中学のころから知り合いだったとか?」
「いや、違うんだ。高校とか中学に入ってからの話じゃなくて、もっと前」
「そんなに前から知り合いだったの? 先輩はただのクラスメイトみたいに言ってたけど」
「ええと、それも違う。きちんと知り合ったのは高校に入ってから。その前は私が一方的に知っていただけなんだ」
「……珍しいね。リコさんを一方的に知ってる人ならともかく、逆なんて」
「高校に入ったばかりの頃、村山くんも覚えているだろうと思って声をかけたら変な顔をされて、ちょっと傷付いたよ」
祀子は苦笑した。
貴久も自分のことを覚えているだろうと思って声をかけてみたら、予想とはだいぶ違う返答をされたのだ。その時には面食らって自己紹介をするだけに終わってしまった。
家に帰ってから、前に接点があった時には自己紹介もしていなかったことに気付いて悶絶したのも今ではいい……とは言えないが、思い出だ。
ほとんど初対面だったのに馴れ馴れしくしてしまったことを思い出すと今でも顔が熱くなる。
「話を本題に戻そうか。村山くんが自分から進んでしている無茶なら止めないでもいいと思う。短期間の無茶で成果を出すことが得意みたいだからね。しばらくすれば無茶に相応の実力を身に付けているはずだ」
そう言い切る祀子を詩穂は不思議そうに見た。
あまり他人に興味を示さない祀子が何年も前から貴久の名前を憶えていたことが不思議なら、あっさりと信用するような言葉を口にすることも意外だった。
まるで、親しい友人のようではないか。
詩穂と祀子の付き合いが始まったのはおよそ三年前。詩穂が中学一年の時。
それ以来、よく話をするようにもなったけれど、特定の誰かを気にしているような素振りは見せなかった。
祀子の話でも知り合いになったのは高校に入ってから。貴久の口ぶりでもさほど親しくはなかった様子。
何があったのか、ちょっと気になる。
「嫌な予感というのも、今のところ明確な予兆があるわけでもないんだろう? なら対策を取ることも難しい。村山くんに習って私たちも力を蓄えておくのが正解かな」
「うん、確かに。今のところ一番起きそうな危ないことってフォルトが攻め落とされることだもんね」
「そうなった時に最低限逃げ切れる程度の力は身に着けておきたいね。私たちももう少し訓練に割く時間を増やした方がいいかもしれない」
「仮に杞憂だったとしても無駄にはならないし。……それはそうと、村山先輩と何があったんですか?」
「結局そこに戻るの?」
「戻りますとも。だって気になるもん」
「……さっき言った通りなのだけれど。近くにいたのも二か月ほどだし」
「その二か月が気になるんじゃないですかっ」
にやにやと食い下がる詩穂を見て祀子は頬をひきつらせた。
本当に、大して話すこともないのだ。知っていることの大半は伝聞でしかないし、直接話したことは高校に入るまでなかった。聞いて楽しいようなことは何にもない。
ひとつ、言えることがあるとすれば。
「ただ、私が初めて対抗心を燃やした相手が村山くんだったというだけの話なんだよ」
きりがいいので本編部分はここまでですが、あとで活動報告に詩穂と祀子の会話の続きをちょっと載せようかな、と思います。
本編にはさして関係のない会話ですので、興味がある方はどうぞ。




