授業開始1日目〜俺は俺の好きにする
ホームルームのあと、1限目は体育だったため女子は更衣室に、男子は教室で着替えていた。さっき知り合ったばかりの保田と会話(弁明)をしながら。
「まず担任の先生のことだけど俺も戸惑ったんだよ、会ったの昨日がはじめてだし…。でも家族になるならいつまでも気まずいのいやじゃん?」
というと「それでもお前の順能力めっちゃ高いと思うぜ?」
とニヤッと笑いながら肩を組んできた。クラスで初の男友達に俺は感動していた。そしたら後ろから「ふ〜ん…男同士で肩組むなんて、ほんとにBでLな人なのかな〜?」
と、とても高校1年生の女子が言わないようなことをいいながら近づいてくる変人、もとい吉野真愛が近づいてきた。
「おはようッス」
と保田は普通に挨拶したが俺はそれどころでは、なかった。昨日の記憶が思い起こされ冷や汗がとまらなかった。それを知ってか吉野は
「じゃあ一緒に行こっか。体育、男女一緒に体力測定だってさ。」
と何故か一緒に行くはめに。まぁ体操は別々だった。次に一緒になったのは50メートル走のときだった。俺は目立たないようにゆっくり走ろうかと思ったのだがグラウンドに姉さんの姿が見えた。この時点で嫌な予感しかしなかったのだが姉さんはやはり
「陣く〜ん1番だよ1番〜」
と義弟の能力を信じきっていた。そしてまわりには男子の異様な殺気と女子の「うわ〜」という雰囲気が伝わってきた。
俺は保田に身の危険を感じ一緒に走ってくれるように頼んだ。50メートル走は二回走って早いタイムを記録にするというものだった。
1回目は保田と同じくらいのペースで走りきりタイムは6秒8という帰宅部にしては早いものだった。姉さんも
「陣くん、はや〜!!」と言ってくれたし先生もまわりの男子もお前ら陸上部入れよ〜と言ってきた。しかし吉野は
「そんなもん?私は6秒5で走れるわよ」
と言って次に走り周りを黙らせるように本当に宣言通りに走りきりやがった。そして
「あんたは男子のクセに女子に負けてるのよ?悔しい?悔しい?まぁ才能の差よね〜。堕落したあんたじゃそんなもんよね〜」
とまるで喧嘩を売るように言ってきた。1日たって分かったがこいつは性格が悪いのではなく俺のなにかを試している節がある。まぁ勘だが…。だから俺は
「別に悔しくないんだが…」
と適当に流すことにした。すると
「悔しがりなさいよ!!じゃないと話が進まないでしょ!!」
とわけのわからないキレ方をし、そこで保田に話かけられた。
「おい、あと2本目いってないのお前らだけだぜ。早くしろって先生キレそうだぜ」
と言われたのでしょうがなく一緒に走ることにした。吉野が
「ここで負けたらスゴくダサいよねぇ。お姉さんは幻滅してクラスでは女子に負けた男になるよ〜」
と嬉しそうに話しかけてきた。俺はすでに、それが気にならないくらいに集中し始めていた。俺もだが吉野もまだ全力では走っていないだろう。こいつの本気を見てみたい。興味本意からなのか、元アスリートとしてなのかは分からなかったが確かにその時俺の中でスイッチが入っていた。
「よ〜い、ドン!!」
先生の掛け声と同時に俺は久しぶりの全力を出しとても気持ちよく走りきった。吉野は俺から恐らく1秒程度遅れてゴールした。そこでまわりの空気が変わっていることに気づいた。
保田が
「お前…今のタイム、5秒7だってよ…」
と驚愕したような顔で言ってきた。俺は自分がした失敗に気付き慌てて周りを見た。姉さんは
「陣くん、やっぱりスゴい速い〜」と嬉しそうに
吉野は
「やっちゃったねぇ〜」。
と、とても小悪魔…いや悪魔のようにこちらを見て笑っていた。そしてこの空気のままチャイムがなり1限目の終わりを告げた。




