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第46話 ドラゴンVSトライデント・キャノン

 丘を駆け下りてくる騎馬隊には旗印がついていて、その頭上から凄い速度で向かってくるドラゴンにも鞍の横に旗印が見えた。


 


 その旗印は紛れもなく織田木瓜紋で、俺もかつてはこの旗の下で戦働きしたものだ。


 木瓜紋とは胡瓜を横に切ったような形を模写したようなものだ。


 懐かしい気持ちもあるが、今は信長様から見て敵対勢力に組みしているから正直怖い。




 恐らくあの花魁道中はこちらを油断させ陣形を変えてしまった事からやはりメリルが言うように罠だった。




 再度、法螺貝が聞こえてくると我々を取り囲むようにパールロードの脇からも騎馬隊と足軽兵が現れている。


「恐れるな! 陣形を立て直しつつ、ドラゴンをまずは葬るぞ!!」




 ジョセフ侯爵の指揮により俺達の前方に配置されていた対ドラゴン決戦用兵器トライデント・キャノンが前方の空中より飛来する三匹のドラゴンに向かって長くて太い鉄製の槍を八門装填開始しだした。


「全魔法兵はドラゴンのブレスからトライデント・キャノンを護る結界シールドを貼れ。時間は少ないぞ早くしろ!」




 罠にかかり圧倒的に不利な状況の中、ジョセフ侯爵は最低限の指示を出している気はするが、万事休すな感もする。


 花魁達の物珍しさに陣形を崩され永楽通宝のようにぽっかり中央に穴が空いた形になってしまいそこに不意を突かれたものだがら目も当てられないのが現状だからだ。


 前方からはドラゴンと騎馬隊が迫り、周囲からも織田家の部隊が出現している。


 


「ヒデヨシ様、状況は不利です。私達もひとまず馬車から降りましょう。トレマシー、ドーラ、魔法でドラゴンのブレスに備えるのよ!」




 馬車から飛びおりる形で大地に足をつけると、聖騎士団も俺達の前方に立って来るべき時に備えてくれた。




 空から軍勢に襲ってくるドラゴンは口から炎が溢れていていつでもブレスを吐く準備が出来ているようだ。


 今回のドラゴン二体の鞍にはそれぞれ甲冑を着た武者が騎乗していて、恐らく柴田勝家と明智光秀だと思われた。


 そして前回にワイバーンと表示されていた一番体が小さいドラゴンが乗り手がいない為なのか最初にブレス攻撃を軍勢に仕掛けてきた。


 空中から放たれたブレスは直角線上に炎が味方の軍勢を襲った。


「うわぁ~、熱い、焼けるぅ〜」


 防御魔法が間に合わなかった円状の先端兵士の断末魔が惨たらしい。




「ヒデヨシ様、このままではドラゴンだけで連合軍は壊滅してしまいます。魔法兵の防御シールドも何度の攻撃にも耐えられないですし……」


 メリルの言うようにドラゴンのブレスを耐えたとしても一回ぐらいだ。


 ワイバーンのブレスを耐えたとしてもあと二匹に吐かれたら流石に灰と化してしまうだろう。


「なんか、良い考えはないかメリル?」


「そうですね、どうなるかは分かりませんが時間稼ぎに残りの二匹のドラゴンを私に引きつけますよ。幸いにも聖母様の加護の火耐性でブレスは効かないですから。その間に一匹でもこちら側の兵器でドラゴン退治出来たらと思います」




 そう言うとメリルは唐突に道の脇に向かって走り出した。


「時間がありません。荒療治的ですけどヒデヨシ様許してくださいね」




 え!? なんでメリルは俺に謝るんだ。


 何か嫌な予感しかしない。


 メリルは瞬く間にパールロードの道の脇を走っていき味方の軍勢から100メートルほど離れた位置にいた。


 そして、両手を挙げると飛び跳ねながらワイバーンの後ろを飛んでいるドラゴンに乗る武者に向かい叫んでいた。


「柴田様ぁ〜、明智様ぁ〜。お探しのヒデヨシはここに居ますよ」


 うわぁ~、時間稼ぎって俺を囮にするって事なのか……。


 メリルが何度か叫んで呼んでいるうちに鞍のついたドラゴン二匹が気がつきこちらに向かって飛んできた。




 そんな状況の中。


「装填完了。目標は前方のドラゴン、撃てぇ!! バシュー、バシュー」とトライデント・キャノンから鉄槍が射出された。




 矢のように発射された鉄槍は上空を旋回して再度ブレス攻撃を仕掛けようと急降下してるドラゴンの翼を貫き、バランスを崩した胴体に何本かの鉄槍が突き刺さる。


 翼を貫通した時には、まだ体勢を立て直すかのように羽ばたきをして上昇しようとしていたドラゴンも流石に胴体に数本の槍が突き刺さった時には上空からキリモミしながら「キュオン、キュオン」と断末魔を上げて地上に落下していた。


 ドラゴンの落下地点に蟻が集るかのように仲間の兵士がトドメをさしている。


 


 つい先日まではドラゴンみたいな化物なんて勝てるわけ無いと思っていたが、一番小さいとはいえ一匹を討伐して、「ウォォー」と歓喜の声が上がり味方の士気は一気に上がった。


 どうやら、パラメキアのマイスター達が考えだした対ドラゴン兵器が使えると証明された瞬間。


 罠に嵌って状況不利な気分がドラゴンを一匹退治した事により「勝てる」気がしてきたから不思議なものだ。




「装填用意、次はあのデカいのを狩るぞ!」


 ワイバーンを討伐して勢いに乗るトライデント・キャノンの指揮官は興奮した物言いで鉄槍の二射目の準備を指示していた。




 鉄槍の装填が完了したトライデント・キャノンはメリルの上空を旋回しているドラゴンに照準を合わせるべく方向転換をして狙いを定めている。


 どうやら、対ドラゴン兵器の次なる標的は光秀が操る赤龍のようだ。


「発射!!」


 指揮官の合図の中、キャノンから8本の鉄槍が赤龍目がけて勢いよく飛んでいく。

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