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第43話 トーレス・パラメキア連合軍の出陣

 そう、第六天魔王を名乗られ出した頃から俺は信長様を恐れ出していた。




 そして、徳川殿と朝廷側の細川と組んで明智をそそのかし……。


 長浜城を本拠地にし、播磨地方もほぼ制圧していた俺の兵力はかき集めて三万、ほぼ大大名の地位に近い。


 そして配下の武将を食わせていかなければならない立場になっていたから、信長様の行われる事が恐ろしかったのだ。


 あの当時の信長様はかなりの配下の武将を粛清されていたから、俺とて手柄を立ててるうちは大丈夫でも、いつ領地没収、領地が欲しければ切り取り次第なんて事もある。


 信長様の性格からして使えないものは捨てるある意味の合理主義があったからな。


 裏切る武将も多く城に籠もって爆弾で自爆したものや、裏切った挙げ句に信長様に落城させられ一族郎党皆成敗なんて武将もいたから……。


 明日は我が身と思い行動しだしたのはその頃だった。


 だから俺は怖さから配下の蜂須賀小六に命じて本能寺の地下通路を……。




「うわぁ~~」




 当時の事を思い出していた俺は突然の頭痛に襲われ立っていられなくなっていた。




「どうされました? ヒデヨシ様」




 部屋でうずくまって頭を押え悶えている俺にメリルがすぐさまかけより、額に治癒の魔法を唱えてくれた。




 途端に痛みが引いていく。


「ありがとうメリル。考え事をしていたら……」


 メリルは頷きながら額に手をかざしてくれた。


 そこに扉を叩きもせずにルークが慌てた様子で入ってきた。




「あ、すまない、すまない。お取り込み中でしたか」




 何かルークは以前から俺とメリルの事を勘違いしてる節がある。


 それも仕方ないかな。


 なにせ年頃の男女が身分の差もはばからずに常に一緒なわけだし、誰もメリルの従者とは思っていないだろう。




「先ほどトーレス城から使いがありまして、明日の朝にトーレス並びにパラメキア帝国軍は帝都奪還の為に出陣するとの事。総勢はトーレス、パラメキアの連合軍として三万。我々も帝都軍の一員として隊列に加われとジョセフ侯爵からお達しがありました。メリル様達は如何されますか?」




 ジョセフ侯爵もなかなかのやり手だな。かき集めたのだろうけど総勢三万とはなかなかの軍勢だ。


 俺が信長様から中国攻めを任され総大将していた時の軍勢と同じだから規模がよく分かる。


 あと、どうされますか? って決まっている。


「勿論、我々も参加しますわ」


 と、俺の言いたい事をメリルが代弁してくれた。


 この目で魔王軍を見てみたいからな。


「ところで魔王軍はパラメキアを攻めた時どれくらいの軍勢だったの?」


 この中で唯一の魔王軍との経験者に聞いてみる。


 戦いとは数が大事な時がほとんどだ。


「あの時はドラゴンばかりに気を取られていて敵の数は把握出来てません。自分達は早い段階で皇帝陛下の命でアレクサンドリアに馬を走らせましたから。ただ、酒場でこちらに逃げた兵の話によりますと。敵は死んだ兵を蘇らすネクロマンサーがいるようで死人をどんどんど軍勢に入れておるようです」




 死人を蘇らせるネクロマンサーって何だよ。もはや魔王軍は反則じゃないかよ。


「元々死んでる奴って倒せるのか?」


 命がいくらあっても足りない気もするが一応聞いてみる。


「火に弱いって話ですよ」


 燃やすって事か。


「もしくは、操るネクロマンサーを倒すのもありかと……」


 そもそも、そんな化物倒せるのかよ。


 そんな、魑魅魍魎みたいな奴と戦うのは御免だと思う話だわ。


「何でも、パラメキア領内の数多くの村は魔物に襲われ死んだ村人はネクロマンサーにより蘇らされ屍となり兵になっているそうです」


 


 そんなの死んでも、まだ戦わされるとは成仏させてやりたいものだ。




「翌朝8時にトーレス城に登城しろとの事です。なんでもジョセフ侯爵の出陣の挨拶があるそうです」


 まぁ、軍勢三万ともなると総大将自らが発破をかけ士気を高めて戦に望むのが定石だからな。


 意外と早くに兵力が整ったものだと感心するが、きっと俺達がここに来る以前から準備していたのだろう。


 対ドラゴン兵気が物語っているからな。




 俺達はトーレスとパラメキア連合軍の行軍に加わるに当たって、すっかり底をついてしまった食料補充に街に出かけ買い物をすませた。


 そこで、またメリルが気になる事を言い出す。


「ここの人々もアレクサンドリア同様に黒に近いオーラが見えます」


 メリルの見える色は変わると信じて行動するしかない。


 この世界では前向きに捉えないと魔王相手に戦ってられないからな。


 その事をメリルに伝えると「うんうん」と頷くばかりだった。




 翌朝、トーレス城に馬車で向かうと軍勢の最終編成が行われていた。


 軍勢は足の遅い歩兵から先に出陣する布陣となっていた。


 歩兵は剣、槍、弓、魔道部隊が連なる。


 俺達は馬車なので、対ドラゴン兵器の後ろを進む配置にされた。


 すぐ後ろは騎馬隊が控えてる。


 ちょうど位置的には先陣よりやや後方といったところ。


 このような隊列の組み合わせの各布陣が5千づつ振り分けられ後詰めまでの六部隊構成となっている。


 総勢三万の大部隊だ。


 このような大部隊が城門前に整列していた。


 全部隊が見下ろせる城の露台からジョセフ侯爵が現れ陣頭の指揮の挨拶をした。




「皆の者ご苦労である。これからパラメキア奪還作戦の出陣とあいなるわけだが、我々は敵を恐れる事はないぞ! ドラゴン対策兵器もある。奇襲を受けた時のパラメキア帝国ではない。兵力も編成し直し戦力的には十分に敵を打ち負かす事が出来るであろう。今こそ敵から皇国領を取り戻しパラメキアの帝都シャングリラを奪還するぞ! まずはこの軍勢でパラメキア領内に侵入しパールロードを西に進路を取る。そして侵略された領土の街や村、砦を開放していく、まず手始めはコッシー砦からだ。皇国の教えなるパール神は我らについておるぞ。帝都に加護あり、皇民に力を与え給え。我々は決して負けぬ。皆の者達、今こそ勝鬨を挙げようぞ! エィエィオー、エィエィオー」




 正直何を言っているのか頭には入ってこなかったが一応に鬨の声によりこの場に集まりし兵の士気は上がったようだった。




 こうして俺達一行はトーレス・パラメキア連合軍に加わりパラメキア領内に進軍する事になる。



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