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第41話 どうする? ヒデヨシ

 確か、アレクサンドリア高原で初めてドラゴンと遭遇した際に、スキルでステータスを確認した時に【鬼のシバター】となっていたから、まさかとは思ってはいたがこの絵に描かれてるのは武将であって、あの特徴的な強面の髭面から紛れもなく権六こと、柴田勝家だ。


 あの絵には色がついていなかったが柴田が乗るドラゴンは赤龍だった。


 と、するともう一匹の黒いドラゴンに乗る【金柑頭】とは十兵衛こと、明智光秀ということになる。




 と……言うことは勝家、光秀も俺と同じでこの世界に転生したって事になる。


 さすれば、あの金ヶ崎の合戦前で信長様を含め俺達は神のような力を持つ者に連れ去られた。


 俺だけがこの世界に来たと思っていたが、あの金ヶ崎にいた者達全部がこちらに来ていたって不思議じゃないよな。


 いや、そもそもが不可思議、奇妙、奇怪、怪奇、奇天烈と言った類の現象が起こったからだ。  


 何があっても、それが現実で油断したら死ぬ世界。


「ヒデヨシ様、あのドラゴンに乗ってる方はお知りあいなんでしょう。しかもよくご存知の方とお見受けします」


「あぁ、そうだよメリル。柴田勝家という信長さまに仕える筆頭の家来だ。俺からしたら、かつての仲間かな。というか何れは俺に倒される武将なんだが……。元々は上役様だった。一時は奴の名前の一部を名字に入れたぐらいだから」


 だが、何故ゆえに俺はこの世界に元々いた者に転生だか転移し、勝家は金ヶ崎にいたそのままの姿で存在しているのだ。


 こればかりは拐った神だとかコーディネーターなる者に聞くしか無いが尋ねる機会があるかも分からない。


 それに、なんとなくだが、メリルは敵が知り合いじゃないかと予想していた気がする。


 とにかく感の鋭い女性だからな。


 まぁ、妻の寧々にしろ、俺に縁がある女子は察しがいいような気がする。


「ヒデヨシ様がこちらに来られた経緯から他の方達もよもやと思っておりましたが、まさかの敵方とは……。それに、魔王ってのは信長様じゃないかと私は思っています」




 確かに、勝家や光秀を操れるのは信長様において他ならぬ存在だ。


 あの金ヶ崎の敵襲来訪時に信長様は一騎駆けされ謎の飛行物体に光の帯に包まれ消えてしまわれた。そうしてこの俺と同じ世界にやって来られたとてあり得る話。


 魔王=信長様なのか!?


 金ヶ崎の後、あのような事が起きなかったら史実では信長様は浅井、朝倉を庇護している比叡山を焼き討ち僧兵を根絶やしにされてしもわれた。


 そして、その頃から自身を【第六天魔王】と称されるようになったからな。


「そこでお聞きになっておきたい事があります。もし、パラメキアを陥落させた魔王が主君信長様でしたらヒデヨシ様はどうなさいますか? 返答によっては私達は敵対するやも知れませぬ」


「ちょっと待ってくれよ。敵味方って……。まだ主君が敵かどうかも分からないじゃないか。それに、急に色々な情報が入ってきたからな混乱しているし、今すぐ白か黒みたいな極論みたいな事答えられない。一つ言える事は今の俺にとってメリルは大事な存在だ。メリルの過去も含めてそのような気持ちなるのは理解できる。ただその事の答えはもうしばらく待ってくれ」


 メリルに返答した事は正直な気持ちだ。


「確かに仰る通りでした申し訳ありません。ただ、ヒデヨシ様に言っておきたいのは、もし主君信長様が人ならざる者、即ち正真正銘の魔王ならどうされるのか? と覚悟をお聞きしたかったのです」


 人ならざる者か、パラメキアを一瞬のうちに陥落させ、あのようなドラゴンを操るのなら、もはや魔王だからメリルの言っている事はよーく分かる。


 要するに魔王に味方して、以前みたいにお仕え出来るのかと言うことだな。


「ごめん、まだこの目で確認していないから分からない。でも、人じゃなく民を傷つけ滅ぼす相手なら信長様であろうとも敵だ。これだけは約束出来るよ」


「安心しました。ありがとうございます。やはりそう言ってくださると思っていました。とにかく判断するのは時期早々でしたね。反省します」




 でも、メリルの聞いてきた事は非常に大切な事だった。果たして俺は、もしも魔王と化した信長様と対峙出来るのだろうか。


 そもそも、俺という人間を身分に関わらず取り立ててくださり長浜城の城主として大名にまでしてくださった主君だ。


 魔王となり、信長様が人じゃなくなっていた時に俺はどうしたら良いのか正直分からない。


 どこまでいっても、今は信長様は信長様だからだ。




 画帳はドラゴンの絵ともう一枚決定的な物が描かかれていた。


 ドラゴンに股がる柴田勝家に驚かされ見るのが遅れてしまったもう一枚の絵。


 それは、突如現れたというモンマルトル森という場所に出現した魔王の居城を描写されたもの。




 俺はその絵を見て覚悟を決める時が迫る予感がしていた。

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