表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/50

第22話 とっておきのキマイラ♡ ①

「遥か太古に滅っし、忘れられた禁忌の生物よ。代償として我の身体を喰らい一つになることをのぞむ。我は究極の合体生物になる。その名はキマイラなるぞ」




 ジーク卿は得体の知れぬ文言を唱え終わると魔法円の中心付近で消えてしまった。


「おいおい、もしかして逃げたのかな? いなくなった」


 主がいなくなったダークナイトは動きが止まった人形のように脆く、次々と仲間により駆逐され煙となり消えていった。


 ようやく、一息つけるほどの静けさが出来、各々が仲間の生存確認をしだした頃。


「ウキャーギャーーゴキューウキュウキ」


 と謁見の間に耳に不快な動物か人かも分からぬ鳴き声みたいなのが魔法陣から聞こえてきた。部屋自体も振動で少し揺れだしていた。


 どちらかと言うと猿が興奮しているみたいな感じだ。


 そして、魔法陣からは不気味な鳴き声の正体が徐々に姿を見せた。


「皆んな俺の周りに集まれ。メリルにドーラ、トレマシー大丈夫か?」


 現状で元気そうなのは俺だけみたいだから、メリル達を守るつもりでいる。


「ゴメン、ヒデヨシ魔力使いきったダバサ」


 流石のドーラも顔に疲労が見える。


 そらそうだな。


 経験を積んだ聖騎士団やアレクサンドリア兵が苦戦していたダークナイトと互角以上に戦った幼女の双子だからね。


 この世界広しといえど前代未聞だから。しかも格上の相手にひとまずは勝利したからね。


 だが、喜ぶのは魔法陣から出てくる得体の知れない化物を倒してからだ。


 俺に出来るのだろうか?


 いや、敗北=仲間の死を意味する事になる。


 勝つ、絶対に勝つ!


 以心伝心なのだろうか、疲労困憊だと思われる聖騎士団やアレクサンドリア兵の生き残りが魔法陣を取り囲み臨戦態勢を取っていた。


「グギャグキ、クッククッ」


 魔法陣からは化物のシルエットが現れそして形になっていった。


【ステータス 禁忌合体生物キマイラ レベルunknown 属性変化ブレス 超再生 性格性質 邪悪 硬い体で並みの剣では斬れない。斬れても再生してしまう ※オリハルコン、ヒヒイロカネ素材の物なら斬れまする。上位のベヒーモスじゃなくて吉。ワンちゃんあるかも、ないかも……】


 スキルで見たけど、なんかとんでもない化物だし、ろくでもない表示だな。


 吉ってなんだよ。


 


 ジーク卿と合体したであろう生物は四足で獣のような姿をしていた。


 頭と顔は獅子舞を凶器にしたように凶暴そのもの。   


 胴体は灰色の牛みたいで頭と身体はとってつけたようにちぐはぐ。


 生物としての整合性は皆無。  


 体の後ろ半分からはニョロニョロと何体もの蛇の頭が飛び出している。


 大きさはデカいヒグマより一回り大きめだったが、野生の獣でキマイラより巨大な生物を見たことがなかったから該当しそうな生物は思い浮かばない。


「あの化物どう思う?」


 ライブリでステータス確認をしてるはずのメリルに助言してもらおう。


「どうでしょうかね。キマイラで気になる点はやはり再生能力かと。すぐに手傷を負わせても細胞レベルで回復してきそうですよ。だとしたら厄介だし考えようによっては無敵じゃないかと……。でも見た感じですけどジーク卿は我々に追い込まれて最後の手段的にキマイラと融合したと思いますから。キマイラにジーク卿が慣れていないうちが隙や弱点があるかもてす」


「そうだな。合体なんとか究極生物とか言っていたから再生はすぐにしそうだよな。そうなると一撃で再生回復するまでに仕留めないとな。そもそも攻撃が通用するのかも分からないけど……」


「ヒデヨシ様があの化物を仕留めると言われるならメリルは全力で支援補助いたします」


 ありゃ。


 やっぱ俺が戦うって事になってる……。


 元気そうなのは俺だけだから仕方なし。


 さて、どこから攻めようかな。




 俺が思案していると、先に対峙をしていたアレクサンドリア兵が2人がかりで攻撃を開始しだした。


 一人は大剣でキマイラの獅子の頭部を斬りつける。もう一人は尻の方から顔を出してる蛇頭を斬りつけた。


 2人とも「ゴキーン」と鈍い音がして剣の先が折れてしまい衝撃で手を押さえていた。


「だ・か・ら。そんなミスリル如きじゃ痛くも痒くもないよ。死ねぇー」


 キマイラは牙を剥き出し頭を攻撃していたアレクサンドリア兵の身体に噛みついた。


「うわぁー」とアレクサンドリア兵は断末魔を上げ胴体から噛み砕かれると血しぶきをあげた。


 口内の牙によって胸と背中がくっついた状態に折られて、そのまま食われてしまった。


 骨が砕ける嫌な音が耳に残る。


「やっぱ美味いな人間は」


 もう一人は蛇の口から吐き出された黄色い液体を身体に浴びてドロドロに溶けてしまって骨が身体中から露出して絶命した。


 なんとも酷い死に方に言葉が出ない。




「お前らに究極生物相手に勝ち目はないのだよ。グキグキャキャ。全員食ってやるぅ」


 てか、キマイラは先ほどから普通に話してる。声はジーク卿だから、やはり取り込まれたのだな。


「美味い」ってもはや人間の心は無くしたか。あ、でも、そもそもダークソーサラーの時点で魔物だから人じゃなかったかもな。


 もはや、発言からキマイラの中にいるのがジーク卿であろうともは人じゃないので遠慮はしない。斬ってやる!


 てか、斬れるのか俺……。




「メリル今ならなんたかヤれそうな気がする。援護宜しくな」


「はい、ヒデヨシ様お任せください。魔法でプロテクトかけますね。数回程度なら物理と魔法攻撃なら耐えれます。その隙に倒してください」


「簡単に言うよな。メリルちゃん。じゃいくぞ!!」


 俺の身体はプロテクトとかいう魔法で全身が緑色に包まれるのを確認しつつ、キマイラ目がけて突進した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ