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第21話 死闘

 ジーク卿によって召喚されたダークナイトと聖騎士が互いに剣を抜き闘いが始まり出していた。


「カーン、カーン」と剣と剣がぶつかり合う金属音が聞こえてくる。


 こちらの戦士同士の戦いは剣の刀身が太く斬れ味が悪いのが要因なのだろう叩き合う形に見えた。


 世界が変われば武器も防具も戦い方も変わるものだと驚いてしまう。


「カーン、キーン」と音がする度に俺も腰に差していた名刀【正宗】の柄を握って力が入ってしまう。


 武士モノノフたる者、命の次に大事な物。いや人によっては刀に取り憑かれた者は命より大事にしていた太刀だからな。


 まさか、覚悟はしていたがこんに早く使う時が来るかも知れない状況に俺は震えが止まらない。


 いや、これは武者震いに違いないと己に言い聞かせ再び柄を握る手に力が入っていた。


 天下人になってからは戦いくさを直にする事は少なくなったが信長様に仕え一武将の時は何度も死線を超えてきた。それこそどんな汚い手を使ってでも命を持ち帰り守ってきた自負みたいなものがあった。




 いつの間にか、謁見の間では聖騎士やアレクサンドリアの兵達とジーク卿が召喚したダークナイトとの斬り合い。というか大剣同士の叩き合いがそこら中で見られていた。


 双子においては、トレマシーがダークナイトに向かって攻撃魔法の火球を飛ばしていたし、ドーラはインプを召喚して戦いに貢献している。


「やっつけるダバサ」


 ドーラの放ったインプはちょこちょこと素早い動きを見せてはダークナイトの甲冑のつなぎ目に潜りこんで中から致命の一撃を加えている。倒されたダークナイトはその場で煙となり消えていく。


 双子の活躍もあり、ジークが出現させたダークナイトに対して聖騎士もアレクサンドリア兵もいい勝負をしている。どちらかと言うとこちらの方に形勢が有利な方向に傾いてきた感もあった。


 メリルの方も抜かりなく、双子に対してはジークの魔法に対抗出来るように結界を張っていた。


 ナイトはナイトに対峙出来だしたから、メリルは本体でこの戦いの元凶のジークと魔法対決を始めている。


「このウィッチ風情の小娘がぁーー。燃えて灰になれ! インフェルノファイア!!」


 双子に防御魔法をかけていた隙を見てジーク卿はアレクサンドリア兵を灰にした火炎をメリルに浴びせかけた。


 不意をつかれた魔法攻撃だったのでメリルは火炎の直撃をくらい身体が炎で包まれている。見ているものは万事休す「ヤラレタ」と思ったのだが……。


 熾烈な焦熱地獄の中からメリルは灰になるどころか火傷一つないように姿を見せた。


「私には火系統の魔法は効かないわよジーク卿。聖母様に守られしこの身体は耐熱耐火耐爆防御はインフィニティつまり無限大なのよ」


 なんか、メリルの決め台詞がかっこいい!


「じゃ、お前にはインフェルノファイアが効かないというのか! ただのウィッチではないないったい何者なんだ」


 ジーク卿は知らないからな。メリルは火あぶりの中から転生してこの世界に来てるのだ。その時に聖母様からスキルとして付与されていても問題ないね。いや、ジーク卿からしたら反則って事かもな。


 流石のジーク卿も耐熱耐火耐爆防御インフィニティには度肝を抜かれたようだ。


「うぐぐ、こうなったらナイトを更に召喚してウィッチを斬るしかないな」


 再度ジーク卿はメリルの直近に魔法陣を作るとブラックナイトを出現させた。


 このままではメリルが危ない。


 頭の中で「いよいよ俺の出番、見せ場がきた」


 と思った瞬間。


 気がつくと俺は正宗を抜刀して新手のダークナイトに斬りかかっていた。


 刀を持ってから気づいたが、身体が俊敏で剣術が自然と出ている感じだ。


 研ぎ澄まされた感覚はこの日の為にインプとの修行をしていた成果なのか、それともこの【正宗】に何らかの天恵があるのかは分からない。


 ダークナイトがメリルに大剣を振り下ろす刹那に太刀を持つ体が先に懐に潜り込むと足蹴りをくらわし怯んだ所に斬る。


 大剣を持っていたダークナイトの両手は太刀の刃の餌食となり腕ごと大剣は宙を舞っていた。そして、そのまま胴体に斬り込むと横に真っ二つになる前に煙となりこの場から消えていく。


 この動きに我ながら剣豪になったようで爽快な気分だ。


 しかし、太刀の斬れ味は常軌を逸していた。さきほど世界が変われば防具も変わると言ったがこちらの甲冑は全身を包みこむように重厚で見た目からして重そうで固い。


 特にダークナイトは兜まで顔を隠すような防具になっている。


 故に聖騎士も一進一退の大剣での叩き合いを強いられていて勝敗がなかなかつかないのだ。


 インプのように甲冑の隙間に入って攻撃するのが甲冑騎士に有効だったりしている。


 なのに俺の太刀ときたら固い甲冑でも真っ二つに先ほどから斬ってるじゃないか! 


 しかも刃こぼれすらない。


 調子づいた俺は次々とダークナイトを斬り倒していった。


 徐々に召喚されたブラックナイトの数は少なくなってきたが減少するとまた魔法陣から沸いてくるからきりがない。


 全くジーク卿の魔法力は果てがないようだ。


 だが、膠着した状況に流石のジーク卿も表情が曇り出し肩で息をしてるのが垣間見えた。




「くそっ、なんでダークソーサラーの我がこんな雑魚相手に苦戦してるのだ。あの忌々しいウィッチにあの方たちがお持ちのような剣を振り回してる奴は何者なんだ」




 やはりジーク卿は焦り出してるようだ。


 ブツブツと聞こえてくるのは俺とメリルの事を言っている。あの方たちの剣って? 意味が分からない。


「こうなったら、一気に決着をつけてやるとするか!」


 ジーク卿は両手を挙げると指から光線を出して魔法陣を描く。


 ダークナイトを召喚した魔法陣とは明らかに大きさと魔力を放出している時間が違う。


 そして完成すると描きだされたサークルの中に体を入れ呪文を唱えだした。


 


 いったい何をするつもりなんだ?


 気持ち程度にメリルとトレマシーが氷属性の魔法を投げつけたが魔法陣の手前で弾かれていた。


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