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第17話  謁見の間

 この部屋に入ると既視感を感じてしまった。


 なぜなら、信長様がバテレンの為に安土城に作られた教会のような佇まいをしていたからだ。雰囲気は似ていて違うのは教会はバテレンが信仰する神様の偶像が置かれていたが、こちらは玉座が設けられていたからだった。


 結局バテレンは本性が分かったから後に追放してやったがそれはまた別の話。


 


 メリルが城の中には礼拝堂があるといっていたが普段は祈りの場所なのかも知れないな。


 謁見の間には左右の壁伝いには武装した騎士が一定の間隔で警備についている。そんな中に先客で来ていた諸侯とその従者が数百名ほどいて王様のお出ましを待ちわびていた。


 王が姿を現すのがまもなくなのだろう。


 玉座の隣には、既に王妃や王子、王女が着席して王の登場を待っている。


「結構、集まっているよな」


「ですね。このアレクサンドリア国内の諸侯達や貴族がほぼ全員集まっていますわ。この国は封建階層社会ですから、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の序列で身分の高い者ほど前の方におります。つまりこの世界はパラメキア皇帝から爵位を与えられた者が統治を許されます。身分の高い者ほどアレクサンドリア国内の領民をはじめ町や村を領地にしておりますよ。まぁ、父のようにお城勤めで領地・領民を持たない者も沢山いますけどね。あと王様だけは特別な存在で国内の諸侯達全てを統括しています。城下町からは莫大な徴租が入りますからそれで父をはじめとした下級諸侯達を配下にしております。ちなみに私の父は子爵ですからこの場での位置は後ろの方ですかね」


 メリルの説明を聞いて、どこの世界も権力者の統治方法は名前が変わるだけで一緒なのだと思ってしまう。結局、アレクサンドリア王は大名でパラメキア皇帝は天子様と言うところだかな。爵位にしても朝廷から国司が貰う官職名みたいだからな。


「ところで、メリルと双子の父君はいたのかい?   確か先に行ったって言ってたからな」


「はい、ここから少し先に侍女をしている情婦と一緒にいますわ」


「挨拶しなくて良いのか?」


「さっき目があいましたけど来るな! って感じの顔してましたから……だからトレマシーとドーラも久々に会う父に見向きもせずに隣でおとなしくしてるでしょ」


 なんとも、複雑な一家みたいだな。そんな事を思っていると「バーン、バーン」と金属が鳴り響く音が聞こえてきた。


 音のする方を見ると王様一家が座っている横の衛兵が丸い銅鑼のようなものを数回叩いている。すると、今まで身分毎に散り散りで談笑に耽っていた諸侯達は先頭から順に左足を地面につけ両肘を胸に交差させて整然と並びはじめた。


 どうやら片足を地面につけて待つのが王様を出迎える礼儀のようだ。


 自身も見様見真似で諸侯に合わせて片足をつき肘を胸に交差させるように組んで王様を待つ。


「プロメキアの大地にて最初にパール神を崇めし守護者よ天と地の名においてアレクサンドリア王と見守りし民に永遠の恵みを! そしてジェラルミン2世に喝采を!」


 諸侯達の代表が口上を言うと、「ウォー」と場にいたものから歓声が挙がった。玉座に一番近い扉が開きジェラルミン王がゆっくりと居場所に向かい歩を進める。


 この場に集いし者達は皆、王が玉座に腰を降ろすまで頭を垂れて敬意を示していた。 


 ジェラルミン王は丸々と太った豚のような体型をしていて、身体の割に顔が小さいものだから滑稽な姿に見える。きっと若かりし頃はそれなりに痩せていて威厳もあったのだろうが永きに渡る権力の座が見てくれを変えてしまったのだろうな。


 それにしても、なんかカッコいい物言いからの登場だな。


 俺なんかは「関白殿下のおな〜ーり」だったから。


 アレクサンドリア王は玉座に腰を下ろすと片腕を軽くあげた。


 その仕草の後、諸侯達は下げていた頭を上げ各々がその場から立ち上がり王様の言葉を待っている。




「我が愛し信頼すべき家臣達よ。本日は突然の召集あいすまない。諸君達もおおよそ噂に聞き及んでいると思うが皇帝が治めしパラメキア国が何者かによって襲われとの一報を聖騎士団が帝都から逃げ出し知らせてくれたのだ。そして信じられない事だが帝都が陥落したと聞いておる。だがそれと時間をおいての話だが、聖騎士を追うようにして我が従兄弟であるジーク卿が参られて騎士団の言っている事は嘘だと申しておる」


 なんか、ややこしい話だな。


 王は続けた。


「なんでも騎士団長が謀反を起こして皇帝陛下を無きものにしようと、企み事前に謀り事がばれてアレクサンドリアに逃げ出してきたとジーク卿の話でな。果たしてどちらの話を信じてよいものか、いささかにして世は分からないのだ。だからその者達の話を聞いた上で奇譚なき意見を諸侯達には所望しておる」


 


 この場所に来るまでにある程度は噂になっていたとは言え、王の口から新たな話も加わり謁見の間はしばしざわついていた。




 要するにどっちの話が本当か聞いてから助言して欲しいと言う事だよなメリル。


「ヒデヨシ様。そういう話のようです。ここはヒデヨシ様の持って生まれた能力を試す絶好の機会かと思います」


「能力だって……何それ?」


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