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「えー。今6年生の子は、今回の試合を持って終わりとなってしまいます。」
バスケクラブ、最後の試合は気合十分で望んだ。
地区大会は楽々突破。
前より強くなっていることを身を持って感じた。
チーム的にも強くなっている。
待ち望んだ県大会は、毎年全国大会まで行く学校と戦うことになった。
「強い学校と戦えること、本当に嬉しいです。これをバネにして、僕は中学生になっても頑張っていきたいと思っています。」
クラブ内での意気込みでそう答えると、チームメイトが笑顔で拍手をくれた。
待ち望んだ県大会。
最初に戦う強豪校。
「いくぞー!!」
「「おー!」」
みんなで気合を入れて、あのときのような楽しさを思い出しながら試合に望んだ。
周りにパスをしながらうまい具合にシュートを決める。
チームメンバーの中で、俺はエースだった。
「実里くん!パス!!」
1個下の子に声をかけられ、パスを交わす。
このままいけば、!シュート!
と、いうところで相手に取られてしまう。
「っく、、。」
「!大丈夫?実里くん。行けるよ、頑張ろう。練習してきたじゃんか?これまでさ。」
悔しくてつい声を出した俺に優しく声をかけてくれたのは同い年の詩月くんだった。
「うん、ありがとう。詩月くん。」
俺もそう返して、気を取り直して試合に集中する。
相手が同行動するかを観察して、、、。
今!
うまいこと相手のパスカットをしてボールを取り返す。
ダンダンダン
キュッ
体育館に広がる試合の音。
この音が俺は好きだった。
みんなが頑張る音。
「いけー!!みさとくーん!!」
シュート寸前、大声で叫んだのは詩月くんだった。
バシュッ
そのままシュートを決め、もう少しで強豪校に並ぶ、というところでタイムアップ。
結果は敗退。
強かったけれど2点差で、ほぼ互角の戦いだったと俺は思った。
でも、悔しかった。
「悔しいよ、詩月くん。おれ、、。」
「うん、僕も悔しい。実里くん、すっごくシュートを決めてたのに、僕は役に立ててたのかなぁって。」
詩月くんは悔しそうな顔でそういう。
でも、俺とは観点が違かった。
もちろん、負けたことに悔しいと思っていると思うが、自分の行動に後悔していた。
「そう、だよね。」
俺は曖昧な返事をして、詩月くんに別れを告げた。
「じゃあね、実里くん。お別れ会はあるけど、、僕は行けないんだ。でも、同じ中学校だからさ。今度はバスケ部として頑張ろうね。」
詩月くんはそう笑って答えてくれた。
俺はその時できた精一杯の笑みを浮かべて詩月くんに手を振った。