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復讐を誓う

 割り込み掲載になってしまいすみません!

 出立の直前。私を毛嫌いしているはずの異母兄あにラオスはとても上機嫌で近づいてきて言った。


「やあ、セレナ。なんて素敵な日だとは思わないかい?君のその顔を見る最後の日になるだろうからね。本当ならもう見たくもないんだが」


 わざわざ近づいてきて言うことでもないのに。そんなに会いたくなければ、来なきゃいいのに。


「孤児院は素敵なところらしいな。卑しい庶民どもの子と一緒になって私たち貴族のために働けるなんて!....そうそう、うまく行けば貴族の愛妾になれるかもしれないね。汚らわしい君の母親のように」


 記憶にあるセレナの母親は気丈な人だった。今は敵国であるフェルシア皇国の血を引いていたので、この国シャルドルース王国の人から冷たい目で見られたにも関わらず、常に凛として振る舞っていた。


 そんな母を侮辱するなんて許せない!私はキッとラオスを睨めつける。


 上機嫌に話し続けていたラオスは私が睨んでいることに気づいて、不快そうな表情になる。


「その表情....あの異国女にそっくりだな」


かあ様は汚らわしくなんかない!」


 これまで反論したことのないセレナが反論してきたことに一瞬目を丸くしたラオスだったが、すぐに不機嫌な顔になる。


「アルデンヌ家次期当主である私に反論するのか。やはり其方はそなたの母親と共に殺しておくべきだったな」


 皮肉そうにフッという笑いをはさんでラオスは続ける。


「其方の母親は小賢しい女だった。いくらあの世に送ろうとしてもほとんど失敗に終わった。最後の機会に教えてやろう、どうやって其方の母親は死んだのか」


「『自分は殺されても構わないので、セレナの命はたすけてください』と私に膝をついて哀願してきたのさ。なんて素晴らしい時間だっただろうか。ずっと私が望んできたことが叶った瞬間だったのだから!」


 フフフと楽しそうにラオスはしばらく笑い続ける。


「其方の母親に毒を飲ませたあと、其方も殺そうとした。私にあの異国女の願いを叶えてやる筋合いはないからな。無論殺すつもりだったさ。あのとき急に聖獣が暴れなければ、其方は私の手にかかっていたはずだった。あのとき成功していれば、其方が我が家に来ることもなかっただろうに」


 急に忌々しそうな冷たい視線を私に向けるラオス。


「しかしまあ、ポルジア家行きがくつがえることはないからな。其方の母親が今の其方をみてどう思うことか。失望するであろうな、我がアルデンヌ家の家格を貶める魔力量の役立たずなのだから!」


「まあ、せいぜい母親と同じ道でも歩めるように努力するがいいだろう」


 オレンジ色の髪を揺らしながらラオスは踵を返す。



 セレナの記憶はもうすでに私の一部となっていて、記憶のなかの怒りや悲しみ、痛みはもはや自分のもののように感じるようになっている。だからこそ、セレナを虐め抜いた正妻カミラと母親を殺したラオスに対して、止めようもなく激しい怒りがうごめいてくるのを感じる。


(母様とセレナの敵は絶対にとるからね!)


 セレナのものか自分のものかわからない憎しみを抱えながら、私はセレナとして生きることを固く決意してすると同時に、母様を死に追いやった人たちへの復讐をすることを誓った。









ここまでよんでくださったみなさん! 感謝しております!

次から舞台が変わります

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