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異世界合理主義。  作者: 虫獅中 身子
第零章 はじまり、はじまり。
4/9

第参話 状況把握、情報抜き

 はい、毎度毎度不規則ですね。すいません。忙しい忙しい申しておりましたがそろそろ一段落します。(更新速度が上がるとは言っていない。)


 それでは本編、どうぞ。

 ノウァティアヌスが指示を出すと、自分たちが入ってきた扉と逆方向にある、もうひとつの扉近くに控えていた兵士らしき人物が、一旦退出し、また戻ってきた。


 すると、円卓に付いていた不自然な窪みから、銀色の小さめのカードが入った水晶のような球体がせり上がってきた。


「わっ!?」

「なんだこれ!」

「キレ〜イ!」

「ほんとねー。」


 ほとんどのクラスメイトがそれぞれ自分の前に1つづつ現れたその球体に釘付けだった。


(出入口に兵士って……逃がさないためなのか、ただの見せかけなのか。……前者な気がする。)


 もちろん鉞伐はそのほとんどには含まれないが。


「みなさま、これはステータスプレートと呼ばれているものです。神器とも遺物(アーティファクト)とも言われており、その類のものでも唯一、市井にに出回っているものです。これで勇者様方の才能を図らせていただきます。まだ起動しておりませんので、触っても構いませぬぞ。」


「へぇ、そんなものがあるのですね。」

「よく分かんねぇが……才能かぁ……!」


 またもやクラスメイトたちは盛り上がる。


「ええ。皆様には今からこれを使用していただきます。なにか質問はございますか?」


「では、僕からふたつ。そこにはどのようなことが書かれているのですか?それと、数値化されると言う事でしたがどれくらいが平均なのでしょうか?やはり、目安があった方が把握しやすいと思うので。」


「おお、勇者様、わかりました。そうですね、まず、どのような事が書かれているかとの事ですがかなり多くのことが書かれております故、見ていただいた方が早いかと思いますのぉ。」

「しかし、数値についてははっきりお答えさせていただきます。」


「まず、勇者様方に限ってそのような数値は出ないと思いますが、値が小さい方からお教え致します。」


 それからノウァティアヌスに伝えられたことは――――台詞だと分かりにくいので――――、以下にダイジェストで示すことにする。


________

・数値の基準はほぼ全て同じである。


・ただ、体力だけは他と違い、独立している。


・1~50(5)     F判定 幼児・病弱レベル

・51~200(25)   E判定 子供レベル

・201~300(100)  D判定 一般人レベル

・301~500(300)  C判定 自衛団レベル

・501~700(600)  B判定 一兵卒レベル

・701~1000(600)  A判定 騎士団長レベル

・1001~(600)  S判定 世界トップレベル

・10001~(1000)   L判定 伝説の勇者レベル


()内の数値は体力の目安


以上が、数値の基準である。

________


「なるほど、ありがとうございます。しかし、この、体力がB判定からS判定まで変わらないのはなにか理由があるのでしょうか。」


「ああ、それはですな、人間の体の作りに関係しておるのです。」

「人間の体というのは、大抵そこまで大きな差は生まれませぬ。成長していくうちに体力がついていき、やがて多少の差はあるものの、同じくらいになります。だから、数値の差もよほど大きくても100くらいしか変わらないのです。」


「なるほど、よく分かりました。ありがとうございます。」

「……いや、このL判定だけは違いますよね。これは?」


「ああ、それですか、それが、儂らにもよくわからんのです。異界の者と思われる方々にその傾向があるのですが、体力の数値までレベルアップで大きく増えることは分かっているのですが……。」


「そうですか。……すみません、ありがとうございます。」


「いえ、よいのです。ご理解頂けたでしょうか。」


「ええ、それはもう。」


「よかった。では、他に質問はございますか?」


 ……普通、ここまで聞いて質問できる者などいないだろう。ただ、ここには少なくとも一人は普通か怪しい奴がいることを忘れてはならない。



「じゃあ、神器とアーティファクトの違いを教えてくれ。」



「「「「「!?」」」」」


 クラスメイトにざわつきが走る。ざわつきで済まないのもいるが。


「お前!敬語を使え!初対面の、それも目上の人だぞ!?」


(目上…………?)

「はぁ……。そんなもんはいらん。」


 鉞伐は、初対面の人を有無を言わさず拉致まがいのことをして、挙句世界の命運を無責任に人任せにするような人間――――信じてもいない宗教の教皇というおまけつきだ――――が目上の人だとは思えなかったが、それを滔々と説明してやる気にはならないので、簡潔に答えた。


「おま「はは、よいのです。勇者様方はみな世界を救ってくれる方々。そのような未来の大恩人の態度をどうして我々が咎めることができましょう。」


「は、はぁ……。」


「それで、違いはなんだ?教えてくれるんだろう?」


「え、えぇ……。」


 さすがの教皇も、困ったというか怒りをこらえたというか、そんな表情になりながらも説明を始めた。光月?もちろん鬼の形相である。


「……まず、神器と遺物(アーティファクト)との共通点は、原理や論理の解析ができない点です。それ故に再製造が不可能で、一般に市場に出回らず国宝であったり、特に強い者が自ら見つけだし所有したり使用したりしています。」


 ここで、クラスメイトたちは1度ざわつく。詳しくはよく分からないがすごいものらしい神器や遺物(アーティファクト)は、強くならなければいけないらしいが自ら見つければ所有できる。しかも自分たちは勇者。強くなるのは容易だと思っている、ので、それを聞いてまだ見ぬ自分だけの宝物に心躍らせているのだ。主に男子が。ノウァティアヌスの話は続く。


「ここで気になることでしょうが、ステータスプレートは実はそれその物が神器あるいは遺物(アーティファクト)なわけではないのです。この国が所有している、この特殊な水晶を作り出す魔導具が、その正体です。魔道具によって作り出された水晶が全世界に渡っております。これについてだけはいくら敵対している国であっても流通をする、阻害しないという国際的な暗黙の了解もあるのです。」


 どこか自慢げに、教皇は語る。


(無償で譲るとは言っていない……。全世界のシェア率100%の絶対に流通のストップしない商品があるってことだ。丸儲けだな。えげつないことをする。)


 鉞伐は、質問への回答を聞き逃さないようにしながら、他に読み取れる情報もまた、逃さないようにしていた。


「へぇ、それはすごいですね。」


 鉞伐が質問した時は不服そうにしていた光月だったが、どうやら興味のある話だったようで彼もまた真剣に聞いている。まあ質問の本筋とは多少ズレた話を、だが。


「ステータスプレートについてはまあ、また後で詳しく説明するとしましょう。」


 そのことには教皇も気づいていたようだ。話を戻す。


「神器と遺物(アーティファクト)の違いでしたな。」

「これは、作ったと考えられている者が違うのです。神器というのは、神が作ったと考えられるもので、人には無い属性や効果のついた武具が多いです。」

「反対に遺物(アーティファクト)は、はるか昔に存在した古代の人々が作ったと考えられています。特徴としては、設置型のものが多く判明している属性や付与効果が組み合わせられている()()()()という点があります。というのは、所々で使われているであろう魔術は予想できるのですが、それがどう使われていて、どう繋がっているのか解析できないのです。故に、再現不可能というわけですな。」

「……と、このような感じでよろしかったでしょうか。」


「ありがとう。助かる。」


 最初は戸惑いながらの教皇だったが、しっかりと詳しく説明してくれた。疑問点を解決しながら説明してくれたので鉞伐としても文句なしの内容であった。そしてそんな時は鉞伐も――――敬語なし、敬意なし、ではあるが――――礼を言う。失礼な顔、はっきり言えば驚いた顔をしていたやつも若干名いたが。


 それはそうと、話が逸れてしまった。ということで教皇は仕切り直す。


「それでは皆様、これから実際に鑑定を行っていきますが、その前に最後の説明を行わせて頂きます。」


 「これが最も大事な部分であると言っても過言ではありません。それは、皆様方の身分についてです。」

「皆様はまだ、当然の事ながら身分をお持ちになっておりませぬ。いずれ救国を成す勇者様であるので尊ばれて然るべきなのですが、我らが国民の全てがそれを理解することはできないでしょう。国が囲い込めば、嫉妬する者もあるかもしれませぬ。」

「故に皆さんには、一時的ではありますが、冒険者ギルドという、国家から独立した組織に登録していただきます。」


 教皇の言葉に、数名がざわつく。鉞伐も声を出しこそしなかったが、聞いたことのある言葉に反応はしていた。それに構わず教皇は説明を続ける。


「冒険者ギルドには、等級といういわば格付けのような制度があり、Fから始まり、Sまで存在します。新規登録の場合試験が実施され、その結果によりF~Dまでのいずれかになります。もちろん勇者様方は試験こそ受けていただきますが、結果にかかわらずDで登録させていただきます。」


(登録してもなんだよFランじゃーんとはならないらしい。)


 と、ここまで大人しく聞いていたクラスメイトであったが、ここでまた久しぶりに文句が上がった。


「おいおい、俺らって特別なんだろ?だったらよお、Sからじゃなきゃおかしくね?なんでそんなイッパンジンとおんなじように扱われんだよ?」


 不良くんだった。いい加減鉞伐も名前を思い出した方がいい。


「確かに、その通りでございます、勇者様。私達もそうしたいのです。ですが、先程も申し上げた通り、物事を理解できぬ者共が嫉妬して、要らぬ争いや問題を産む可能性があるのです。ですからどうか、愚かな民衆に合わせでやると思って、お願いします。それに、試験後Dで登録できる者などほとんどおりません。勇者様方は特別でございます。」


「……ったく、しょうがねーなあ?」


 不良くんは持ち上げられてご満悦のようだった。


(しかし、だいぶ民衆を扱き下ろすな。不良くんの扱いをわかってるからこそかのか、本心なのか。そこ、問題だよな……。)


 教皇は、説明を続ける。そろそろ皆さんも飽きてきた頃だと思うのでそろそろ終わらせてくれるとありがたいのだが。


「これが、最後の説明となります。」


 よかった、これで終わりらしい。お偉いさんの話は長いと相場が決まっているのだろうか。


「さっき説明すると言った、ステータスプレートですが……どこまで話しましたかの?」


「えーっと、どこまででしたっけ」

「魔道具で水晶を作るとこまでだ。」


 思い返そうとする光月に代わって、鉞伐が食い気味で答える。光月は若干嫌な顔をしたが、何も言わなかった。鉞伐も何処吹く風である。


(多分、俺らの理解力や記憶力を試したんだろうな。やはりと言うか、やり手だな、爺さん。)


 鉞伐はそんなことを考えながらも話の続きを待つ。


「おっと、そうでした。ありがとうございます。その水晶というのが、皆様の目の前にあるその球でございます。そしてその中に入っているのがステータスプレートになります。そこに、勇者様方の名前や所属、能力値が書き込まれます。」

「ステータスプレートの材質は、特別なものではございません。」

「一般に流通している金属類を板状にしたものを使っています。それを先述した魔道具に通して水晶に封じ込めることで、プレートに情報が書き込まれる用意ができるのです。金属の種類はランクごとに決まっており、皆様は“銀”です。Dランク以外のプレートはギルドの者が後ほど改めて説明します。それでは、説明は以上でございます。」


 どうやら、教皇の話は終わったようだった。ついさっきまで高校生やっていた勇者たちなので、話を聞いているあいだは(おおむね)静かにしていたが、教皇が話は終わりだと言うと一斉に喋り始めた。そんな中教皇が再度口を開く。


「さて、皆様お待たせいたしました。準備が整いましたので、早速鑑定を受けていただこうとと思います。」


 そう言うと、クラスメートたちは盛り上がった。


「では皆様、ステータスプレートを起動しましたので、水晶に触れて、しばらくお待ちください。少し時間がかかります故。水晶から光が出るかと思いますが、そうしたら手を離していただいて結構です。」


 その掛け声と同時に、全員思い思いに水晶に手を触れていった。

 更新がえらく遅いのは、アクシデント続きというのももちろんありますが、なにしろプロットがないもので、各スピードがあまりにも遅いという理由があります(なろうのあらすじ部分に書いておけ)。そんなこんなでどうかご寛恕を……。


 評価感想、良ければよろしくお願いします。特に感想、誤字脱字報告含め、これからの執筆に活かしたいので、よろしくお願いします。


 アンチコメ、酷評大歓迎。

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