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異世界合理主義。  作者: 虫獅中 身子
第零章 はじまり、はじまり。
2/9

第壱話 偶然の被害者達

 まさかの毎日投稿なし&登校時間不規則。急激に体調が悪化しました。びっくりですね。元気だったのに。そんなこんなで次話も本日投稿するつもりです。

 それでは、本編です。どうぞ。

 木曜日、それは一週間で最も中途半端な曜日だ。週の後半でありながら、次の日が休みなわけでも週の中間地点な訳でもない。疲労が溜まっている分、月曜日より憂鬱を感じる人間もいる。功刀 鉞伐(くぬぎ こうき)はその類の人間だった。


 特段何か学校で問題がある訳でもなく、いじめられている訳でもないのだが、言ってしまえば学校に飽きてきたといった所だろうか。


 今日もそんな憂鬱と少しばかりの疲労を背負って、登校時間ギリギリの通学路を歩いていた。鉞伐は時間の管理がべらぼうに得意である。到着時刻を00秒まで合わせられるくらいには。


 いじめられている訳ではないとは言いつつも、好意を向けられているわけでもなかった。本人の無愛想すぎる性格に原因があるのだが、とくに気にしているわけでもなかった。


 そんな性格からか、誰かから積極的に話しかけられることはなかったが、一人だけ例外がいる。例外と言っても、プラスなニュアンスはない。むしろ結構マイナスである。


「もう少し早く来られないのか?功刀(くぬぎ)。」


 光月 来人(こうげつ らいと)である。その見た目は、まあ女子受けが良さそうなそこそこの高身長でそこそこ引き締まった体格をしており、顔の方はかなり良い方だ。その上性格や頭もいい、学級委員長、ということを加味すれば、その人気も頷けようものだった。言っていなかったが、光月の人気はすさまじいものである。特に女子からの。主に女子からの。というか女子からだけ。


「早く来ても意味ないだろ。することもない。遅れてるわけではあるまいし。」


 もう何度目かも分からないやり取りをする。既に、鉞伐が入ってきた時に他のクラスメイトが向けた視線は、方々に散っていた。


 最近はもう諦めたのか、光月もこれ以上は追求しない。鉞伐は、まあそんなものだろう、と思っていた。


 光月が鉞伐によく説教じみたことをするのには理由があった。それが理由と呼べるものであるかどうかはかなり疑わしいが。


 光月は、鉞伐の()()()気に入らない。ただ、本人は自覚していないようだが。


 正しいことは正しくすべきという考えを持つという光月にとって、人の性格がただ気に入らないから嫌っているというのは、立派な間違いであり責めるべきことだ。本人の中では。だから、性格が気に入らないのではなく、あくまでだらしがないクラスメイトに善意で忠告をしているという認識なのだ。


 ともかく、そんな理由で光月はよく鉞伐に説教モドキをする。ただ鉞伐は、それを鬱陶しいし理不尽だと思っているものの、どうせ伝えても聞く耳を持たれないし、そんなことをするとまたご高説たれてきやがるのでもはや何も言い返していない。


 ここで、この「名古屋県立洋陰高校」について触れておこう。これが今鉞伐の通っている高校である。珍しいことにこの学校、担任の教師がいない。県内どころか国内でも屈指の自由度が高い学校である。ちなみに鉞伐は「自由」ではなく「放逐」だと思っている。担任がいないのはさすがにおかしいだろ。


 そして、授業中に寝ても、何も言われない。寝たければ勝手に寝ろというスタンスなのだ。これが、光月による説教モドキを増やしている一因でもある。


 鉞伐は、授業中に寝る。そのくせ成績は学年トップレベルなのでその点においてはクラスメイトから恨まれていると言っても良いだろう。


 そんな鉞伐でも、朝の連絡ぐらいは聞く。流石に検診やら特殊な移動教室やらの間も教室で寝ているという訳にはいかないからだ。


 いつもの様にまっていると、1時間目の授業を担当する教師が教室にはいってくる。担任がいないので、連絡は1時間目の教師がすることになっている。


「今日は転入生が来ている。」


 そう、教師がぶっきらぼうに言うと、教室中に困惑が広がる。高校で転入があることなどそうそうないからだ。


「家庭の事情で今日から転入することになったそうだ。いろいろと分からないことも多いそうだから席の近い者は親切にしてやるように。」


 と、言われると、まだ全員が飲み込めたわけではなかったが、騒がしさは大分落ち着いた。


「では、入ってきて名前を。」


 そう教師が言うと、黒髪黒目の女子がはいってくる。


「みなさんおはようございます!八乙女 麗(やおとめ うらら)と言います。これからよろしくお願いします!仲良くしてくださいね!」


 平均的な体格で、顔はかなり整った方の彼女は、明るい声で言った。


「可愛いじゃん?」


 クラスの誰かが小声で言った。鉞伐にとって意味のあることではなかったため名前は覚えていなかったが、少し素行が悪いという印象だけは残っている生徒だった。それ以上に鉞伐は何か、その転入生に違和感を感じていた。なにか、そう、なにかがちぐはぐな感じがする。


 そんなどうでもいいことを考えているうちに転入生は席に着いて、教師は退出していた。そんなとき、ふと廊下が騒がしいことに気がつく。


『……めろ! ………れ! …………おい!』


 教師の声が響いてくる。


「おいおいなんだー?転入生もう一人来たとか?ははははは!」


 そう先程の不良(?)生徒が言うと、教室に笑いが起きる。何が面白いのか鉞伐には分からなかったが。というか誰も面白いと思わないだろう。なんで笑ったんだお前ら。


 そして、いつの間にか鉞伐たちの教室の前にまで来ていた2つの人影が、


「っ!?」


 ビクッ、とはねて、声にならない叫びのような、息をのむ音が聞こえるとともに影の1つが倒れた。


 と、突然、入口のドアが()()()()()


 あまりに非現実的な状況にクラスメイトたちは一瞬困惑するが、その顔はすぐに恐怖に塗り替えられた。不良っぽい生徒も、発言したときの表情のまま固まっていた。口元も笑っていた時のままである。心中「は?」と思っていそうなので発音的には状況に即しているが。


「お、おいっ!?お前らは今から人質だ!」

「下手に動けばっ!こ、こいつのようになるぞ!?」


 彼が指さした先には、蹲る廊下の大声の主、すなわち、教師がいた。どうやら、腹部を刺されたようだった。


 あまりにその光景がショッキングだった為か、声を出せる者は教室内にいなかった。鉞伐だけは、ああ、刺したのか。こいつ、もう止まれないな。などと素っ頓狂な、ただよく言えば冷静なことを呑気に考えていたが。



「あの……どうしたんですか?」



 先程の、転入生だった。立てこもり犯と思われる男はかなり錯乱している様子で、凶器すら持っているのにも関わらず、話しかけた。

───否、話しかけて()()()()


 鉞伐は、さっき感じた違和感を、さらに強く感じた。と、同時に危機感を覚えた。


「!?!?お前っ!自分がどういう状況か分かってんのか!?」


「ですから、落ち着いてください!」


 あくまで明るい雰囲気を崩さず、転入生は言う。


「うぅ、ああぁぁ!?!?!?!?」


 どうやら、理解できない行動を受けて錯乱したようだった。

 困惑した狂気が、凶器を伴って迫る。


(理不尽で、無意味で、空っぽな殺意で、人が死ぬのを、黙って見過ごしたくはない。)


 幸い、そこまで席が離れていなかった鉞伐は、殺意を止めるべく、動いた。


(触れられない!?)


 珍しく鉞伐は動揺した。しかしながら、これで動揺せずどうするのかという状況であったので、それもしかたなかったが。()()()()()()()()。男に。まさに、すり抜けた、といった様子だった。


(止められない!)


 そう一瞬思ったものの、鉞伐は自分が触れられなかったことを考える。そして、それと同じことが起こる。つまり、()()()()()()()()()()()()()()()()ことに、賭けた。


 そしてその予想は、予想外の形で当たることとなる。視界が、ホワイトアウトした。

 本編でした。どうですか?いや、不良の口調、解像度が低い!まあ人生で一度も不良とエンカウントした事ないですからね(言い訳)。

 そんな駄作ですが、ここまで読んでいただいて、少しでも興味が湧いていたら嬉しいです。

 こんなノリで言葉回しとか工夫しながら書いていけたらと思ってます。次も読んでやろうという方がいましたら、今後とも虫獅中 身子と『異世界合理主義。』をよろしくお願いします。


 評価感想、良ければよろしくお願いします。特に感想、誤字脱字報告含め、これからの執筆に活かしたいので、よろしくお願いします。


 アンチコメ、酷評大歓迎。

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