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金とか銀とかのシリーズ

狭い世界で生きる蝶々達の物語

作者: リィズ・ブランディシュカ



 ある一人の魔女が、金の蝶を生み出した。


 金の蝶は美しい光の粉をこぼしながら、宙を舞い続ける。


 その様が美しかったため、魔女は金の蝶を増やした。


 すぐに周辺は、金の蝶であふれかえった。


 しかし、一色だけでは物足らない。


 だから魔女は、銀の蝶も生み出した。


 銀の蝶は、美しい銀の粉をこぼしながら、金の蝶と同じように宙を舞い続ける。


 魔女は銀の蝶も増やして満足した。


 しかし、ほんのひととき魔女が目をそらした間に、知らない蝶が増えていた。


 赤、青、黄色、紫、緑。


 色とりどりの蝶が舞いとぶその景色は、他の者から見ればとても美しい物だっただろう。


 しかし、その魔女は特別な物しか愛せなかった。


 だから増えたその蝶を一匹残らず残らず殺していった。


 蝶は死んでいく。

 蝶の死骸は床にたまっていく。


 なおもずっとその上を、舞い飛ぶ金の蝶と銀の蝶。


 魔女は満足げにその光景を眺め続けた。


 だから、


 蝶の物語は、そこで閉じる。


 たくさんの登場人物がいたはずなのに、そこで閉じる。


 蝶の世界は、ひどく狭いまま。


 大した場所へいけぬまま、終わっていく。



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