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005話

アクセスありがとうございます。

「おぉ、バルじゃん。最近飯食った後どこ行ってるんだ?」


 訓練を終えて風呂に向かっていると、悪友のグリントと出会った。


「見てわからんのか? 体力が無いから走ってんだよ。お前みたいに体力が無いからな、コツコツとやってるわけだよ。お前は何してたんだ? 覗きでもしてたか?」


「ばっ! 興味があってもするわけねえだろ! もしシシリー教官がいてみろ、ボコボコにされるだけじゃ済まないんだぞ! お前だって覗いた奴の末路を見ただろ?」


 冗談でもそんな事を言うな! と、ビクビクしながら回りを確認しているグリントが面白かった。からかいがいがあっていい奴だな!


 体を洗い他愛のない話をしていた。


「思ったんだけどさ、魔法やドラグーンがあるのに、剣術や槍術の訓練って意味あるのか?」


「グリントは分かってないな。ドラグーンがいくら強いと言っても、数に限りがあるんだぞ? その上に、整備に金はかかるし維持費も大変なんだよ」


「……だったら何でドラグーンを維持してんだ?」


「戦争の時に相手がドラグーンを持ち出したら、こっちもドラグーンで対応しないといけないからな。それに、魔獣でも中型位までなら歩兵と魔法で何とかなるらしいが、大型の奴は手も足も出ないみたいだぞ。中には人外な奴がいて、生身でドラグーンとやり合うキチガイがいるって噂だけどな」


「生身で……ありえねえだろ! やべえ奴がいるんだな……そういえば、国内には出ないけど、辺境の森や未開の地には魔獣がいるんだっけ? ドラグナーの人達は常に最前線か……軍人ならどこにいても、命の危険はつきものとか教官が言ってたっけ?」


▽▽▽▽▽


 この世界には、魔獣と呼ばれる怪物がいる。野性動物を大きく強くしたものから、人知の及ばない化け物までいる。


 魔獣の特徴としては、魔法を使うことが出来るのだ。厳密に言うと魔獣の使う物は、魔術とよばれる。人間と呼び方を変えている意味は分からないが……


 魔獣は特に、身体強化の魔術に優れており、体を硬化したり力を強化したりするのが得意だ。中には、魔術で火の玉を吐いたりする魔獣もいる。


 そして魔物は大きさで分けている。


 小型は、体長2m未満である、

 中型は、体長2m以上6m未満

 大型は、体長6m以上20m未満

 超級は、体長20m以上


 と言う風に分類されている。


 大型以上は、ドラグナーでないと相手は出来ないとされている。


 魔獣は単純に、体が大きければ大きいほどマナの保有量が大きいし、力も強く体も頑丈である。それを魔術で強化するため、大型になると生身でいくら強化しても傷が負わせられないのだ。


 怪物や、敵国のドラグナーに対抗するために、ドラグナーを保有している必要がある。


△△△△△


「戦場にいれば、ドラグナーだろうが、歩兵だろうが、魔法使いだろうが関係ないからな。安全なのは、前線から離れた場所で指示を出している老害共だけだよ」


 そうすると女子風呂から声が聞こえてきた。


『バルフレアは良く勉強して考えているな!』


「「シシリー教官!?」」


『驚く事でもないだろ? つい最近、風呂を覗いたスケベ小僧共に鉄槌を下したのを知っているだろ?』


「知ってますけど……教官から声をかけられると思っていなかったもので、驚いたんですよ」


『それもそうか? 驚かせて済まんな。で、バルフレアは面白い事を言ってたな。離れた場所で指示を出している老害だけ……か。良く分かっているな。あの老害共も、かつては戦場を駆ける兵士だったはずなのに、的外れな指示ばかりしおって、邪魔する位なら黙っていろと何度思ったことか』


「教官がそんな事を言っていいんですか?」


『かまわんよ。実際、現地で戦っている軍人はみんな言っている事さ。かつては、その老害達も現地で同じ事を言っていたのだしな』


「はぁ……」


『それよりバルフレアよ。お前は、女子に興味がないのか? 女共の噂を聞いていると、男色の気があるのではないかと感じるのだが……』


「教官……何言っているんですか? 自分だって年頃の男ですよ。女子に興味があるに決まっているじゃないですか。でも、興味があるからといって、ジロジロ見るのは失礼だと思いますよ」


『確かにそうだな、お前の隣にいるスケベ小僧みたいにジロジロ見るのは失礼だな。それにしても、お前は本当に11歳か?』


「そう言われましても……なんならこっち来て確認してみますか?」


 教官は俺のセリフを聞いて爆笑していた。どうやらツボにはまったみたいで、こちらに声をかけてこらないほど笑っている。


 教官の笑い声の後ろでは、


『バル君も男の子なんだね!』『あの変態(グリント)に毒されないか心配だわ』『今度何か試してみようよ!』


 等々、お風呂に入っていた女子達が騒いでいる。そして、若干物騒な事を言っている奴がいた気がするが……


 う~む、グリントみたいに変態のレッテルを貼られないよな? コソコソするから印象が悪いわけで、今回みたいに堂々としていれば大丈夫なはず……


 それに、興味はあるけどジロジロ見ないって言ったし、全く興味がないって言うよりいいよな? 教官に男色の疑いをかけられたし、このくらいなら大丈夫!だと思う……


 あれから教官は、笑いが収まらず苦しそうだったな。その代わり、他の知り合いの女子がいることを知ったグリントが、またバカをやらかす。


 挑発されても言い返さなきゃいいのに、グリントはバカだから言い返してしまうんだよな。


 簡単な流れで言えば、


『実技の訓練の後、変態(グリント)は近付かないでよね!』

『そうだそうだ! 目が胸にいきすぎなのよ!』


「ばっ!お前らなんかに興味ねーし、ふざけんな!」


『とかいって、チラチラ見てるのはみんな知ってるんだから、否定したところで意味ないわよ! スケベ野郎! 女の敵だ!』


 こんな感じだ。


 言い返さなければ、余計な被弾しなくて済んだのにバカでやんの。


『おっと、そろそろあがんな。風呂の時間は終わりだよ!』


 教官が復活したと思ったら、風呂の時間がそろそろ終わりだった。


『バルフレア! 分かっていると思うが、男湯の栓を抜いてからあがれよ!』


「サー・イエス・サー!」


『アホか? こんな所でその返事を使うな馬鹿者。さっさとあがれよ』


 グリントと手分けをして、栓を抜いていく。ここのお風呂には、ジェットバスみたいなものや、低周波風呂みたいなのもあり、水風呂もあるため、湯船が合計で4つもあるのだ。


 手分けをしないと面倒なので、2人で行った。


 最後に水風呂を抜くのだが、火照ったままだとせっかくさっぱりしたのにまた汗をかいてしまうので、腰付近まで抜ける間浸かり、最後に水シャワーを浴びて着替える。


 あがると、女子たちもちょうど出るところだったみたいで遭遇した。


 あ~風呂上がりの女子ってなんか色っぽいんだよね……しかも、体が火照っているから薄着、無防備にさらしちゃあかんよ! ほら見たことか、グリントの鼻の下が伸びているじゃないか!


 女子に突っ込まれる前に頭を叩いておく。


 女子達の後ろからは、普段は腰くらいまで伸びているキレイなストレートの髪をアップにしている教官がいた。


 精神年齢を考えると一回り位下になる教官だが、死んだ時の俺の年齢で考えれば……ドンピシャなんだよね。


 教官は、メガネをかけていて、少し性格がきつめに見られがちだが、結構可愛いところのあるお姉さんなのだ。


 17歳で上級学校を卒業して、3年間前線に詰めていたらしい。今年から指導教官として、前線から戻されたとか言ってたっけ?


 そんな事を考えていたら、グリントが女子にズタボロに貶されていた。せっかく注意してやったのに、無駄骨だったな。


「んん? 私の方を見てどうしたのだ、バルフレア? もしかして、私に惚れたのか?」


 おっと、教官に見ていたことがばれてしまった!


「そうですね。教官は美人ですから、付き合われる方は幸せなのではないかと思ってました」


「ふんっ! はなたれ小僧にしては、お世辞が上手いじゃないか。だけど、そんなセリフを言うのは、10年は早いぞ!」


 大人の貫禄を見せつけているように見えるが、先程より頬が赤くなっていますよ!


 教官とのやり取りを聞いて、グリントをからかっていた同級生が「女ったらし!?」「スケコマシ!?」


 とか言ってるんだけど、風評被害になるので、大きな声で言わないでいただきたい。


 俺とグリントは、食堂に寄って牛乳を飲んで部屋にもどる。


 俺が住んでいた町の学校では、余った牛乳は、食堂前にある牛乳専用の冷蔵庫に入れられていて、自由に飲んでよかったのだ。それを思い出す光景だな……午後じゃなくて、既に暗い時間だけどな。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

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