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003話

アクセスありがとうございます。

「バル君にグリントじゃん! あなたたちもお風呂掃除?」


「おぃ、何でバルと俺の呼び方に差があるんだ!」


「だって、グリントはグリントだもん。それに視線がエロイから、名前で呼んでもらえるだけありがたく思いなさい!」


 グリントは、マセガキというかスケベ小僧なので、女子からはこんな扱いが日常である。


 俺は・・・この世界の子供の成長が地球に比べて早いとは言え、中身が25+12で37歳だからな。バレ無いように見ることだって朝飯前だ! って、結局見てはいるんだけどね。


 体に精神が引っ張られるようで、この年齢の異性を相手にしても興味を持ってしまう。だけど、経験によって誤魔化す事が出来ているのだ!


 今、グリントと話しているのは、同じクラスのライチという女の子だ。帝都育ちということもあり、オシャレさんなのである。田舎小僧のグリントに見るなと言うのは、難しい注文かもしれないな。


 日本の昔の銭湯みたいに、上で繋がっているので昭和のカップルみたいに、壁越しに会話をしながら掃除をした。グリントが途中で話に夢中になり手を止めるため、何度注意したことか……


 今日の夕食は、予想通りシチューだった。食堂のおばちゃん美味いよ! お代わり!



 あれから1週間・・・


▽▽▽▽▽


 この世界は、1年12ヶ月、1ヶ月30日、1日24時間。1年が360日なので、地球に比べると1年が5日短い。


△△△△△


 魔法、魔道具の実技ではなく、剣術や槍術、体術の実技訓練がやって来た。


 始めは、剣術の訓練らしい。1年かけて、剣術、槍術、体術の基本的な訓練をして、来年からは斧術や弓術等から、専攻して学ぶのだとか。


 それにしても、木剣なんて久し振りに持つな……前世の記憶がよみがえる。


 木剣を振らずに、足運びや体の動かし方を確認する。


 ん~、やっぱり剣道や剣術で使う筋肉と、普段使う筋肉とでは違うんだろうな。走り込みや筋トレはしていたが、神童と呼ばれた時のようには動けていない気がする……が、前世の記憶でも覚えているもんだな。


「んんっ!? バルフレア、いつになくヤル気だな。あれか? 騎士に憧れてるって言う感じか? まぁいい、そんなにヤル気なら一番に模擬戦をしてみろ!相手は・・・」


「教官! 俺にやらせてください!」


「バカ息子か・・・小さい頃から剣術を習っている人間と、素人では力量が分からんから話にならん」


 俺の方を見てどう痛め付けてやろうか? なんて考えているような表情だな・・・でも、これはいいんじゃないか? こいつ、剣術だけなら現時点で上位っぽいもんな。


「教官! 剣術の模擬戦ですよね? でしたら、なんの問題もないですよ」


「バルフレア、いいのか?」


「殺し合いじゃないんですから、大丈夫です」


「お前がいいって言うなら、問題ないか。必要以上に攻撃を加えないこと、審判の指示に従うこと、ルールーを破ったらペナルティだぞ! 準備はいいか?」


 そう言われて、革製の防具を身に付けていく。円い盾、バックラーのような盾だな。盾は持たないといけないのか? 持つなら……


「教官盾なんですが、先が尖っているカイトシールドみたいなのありませんか?」


「珍しい盾だな。もちろんあるぞ。渡してやれ」


 シシリー教官が、俺の注文した盾を持ってきてくれた。


「よし、準備はいいな? では、試合開始!」


 5m程離れた場所で、盾を前面に構え対峙している。


 習っていた剣道とは勝手が違うが、剣を片手で振る訓練もあった、実践的な剣道……もう、剣術と呼んでいいレベルの剣、刀の扱い方をしてたので、問題ないとふんでいる。


 構えを一旦解きリラックスした状態になる。


 そうするとバカ息子は、俺に会わせて構えを解いた……


 バカだな。お互い少し動いて距離が4m程に縮まっているのに、リラックスするとかバカなんだろうな。俺は、いつでも受けられるようにしているが、あいつは違うのだ。


 軽く跳ねるような仕草をして、着地と同時に右足で踏ん張り加速する。


 右足の踏ん張りで2m。フェンシングの突きをするときのように、左足を伸ばして右足で踏み込み、右手で肩を突く。痛みがないように手加減をして・・・


「試合終了! バルフレアの勝利!」


「なっ! 教官! 今のは、こいつの力量を知るために手加減していただけです! もう一度やらせてくださいください!」


「あのな……戦場にでたら、そんないいわけなんて通じないんだぞ。敵兵に、今の油断してた、だからもう一度! なんて戯れ言通用しないんだぞ」


「教官、いいじゃないですか、身を持って手加減する事の無意味さをみんなに教えてくれたんです。俺も疲れてませんので、もう1試合位でしたら問題ないですよ」


「バルフレアがそう言うならもう一度だけだぞ? 他の奴等も模擬戦で実力を調べないといけないからな。時間がなくなるから、すぐいくぞ? 試合開始!」


 距離は6m、先程と同じで構えを解いてみたが、先程とは違い盾を構えた状態でジリジリと近寄ってきている。


 3m迄距離が縮まる。


 この距離なら、最短距離で突っ込んでくる突き以外は、対処は難しくない・・・


 2m迄距離が縮まる。


 何故攻撃をしてこない? 踏み込んで突くなり切るなりすれば届く距離だぞ・・・


 付き合うのがバカらしくなったので、剣による攻撃を仕掛けられないように盾を構えて、距離を縮める。


 バカ息子の構えている盾を右足で蹴りあげると……しっかりと構えていた為か、少し浮くような感じで、踏ん張りがきかなくなってしまっていた。


 体勢の崩れたところに、盾を構えてタックルする。


 バカ息子はそのまま倒れ、俺は心臓に突き刺すような形で木剣を添える。


「それまで! バルフレアの勝利」


「教官! 今の反則じゃないですか! 足で蹴りましたよ! 剣術の模擬戦なのに!」


 バカ息子がまたなにか言っている。


「だからよ。実戦でその手の言い訳は出来ないの。剣術の試合であれば、多少の問題はあるかもしれないが、今回は模擬戦なんだよ! 型にとらわれるのは良くないぞ。いい勉強なっただろ?」


 立ち上がり、視線で人が殺せるんじゃないかと思うような表情だな。この表情、地球にいたときに見たことあるわ~


 俺が振り返ろうとした瞬間、バカ息子が踏み込んできたのがわかった。


 すぐに振り向き直し、カイトシールドを持った左手で殴り付ける。


 鎖骨にきれいに当たり、ポッキリと折れてしまった。


 バカ息子が振り下ろしていた剣は、頭に当たりそうだったので殴り付けると同時に、木剣で弾き右足で無防備な左わき腹に刺さるようにつま先で蹴り込んだ。


「不意打ちしたいなら、その表情や殺気を立てるのをやめろ。素人の俺でもわかったわ」


「バルフレア……今回は、このバカが模擬戦後に攻撃を仕掛けたのが問題だから何も言わないが、それがなかったらやりすぎだから注意しろよ」


 教官はそう言ってから、バカ息子を医務室に運ぶように手配している。


 医務室には、高レベルの光魔法使いが詰めているので、帰りまでには折れた鎖骨は元通りだろう。蹴った時に鈍い音が感じたので、肋骨も折れていると思うが問題ないだろう。


▽▽▽▽▽


 光魔法は、癒しの力が強く、多少の傷であればすぐに直してしまえる。光属性の適性は属性が無い人より稀少である。


△△△△△

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

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