011話
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シシリー教官に受けた注意は、1つ……模擬戦では身体強化を使うな! と言うことだけだ。もともと、魔法や魔道具の使用は禁止されている。なので、純粋に武の実力を見る場なのだ。これは、学年が変わっても変わらないルールなのだとか。
剣術4戦、槍術4戦、体術2戦の10試合か。7~8勝で、上位にいければいいかな?
強い者同士で当たるので、厳密に言うと勝率は関係ない。
剣術も槍術も明日から4日間、1日1試合ずつ行う。なので、3・4日目の勝敗がランク付けに大きく影響するらしい。そして最終日の体術の2試合は、特に重要なんだってさ。理屈はよく分からんが、そう言うものなのだろうと言われたので納得している。
明日からの模擬戦のために早めに寝ることにした。
1・2日目は、意図的な物を感じた。明らかに格下を相手にしていた。多分、前半で強い者同士がぶつからないようにした結果だと思う。
なので、難なく勝つことが出来た。
3日目の槍術の試合では、グリントと対戦することになった。
「結果は聞いていたけど、本当に勝ち上がってきてだなお前」
「もちろんだ!シェリーちゃんと一緒の時間を楽しんでいた奴に、正義の鉄槌をくだすために勝ち残ったのだ!」
「どこに、正義とやらがあるのかは知らないが、返り討ちにしてやるぜ!」
「剣術の試合だったらその通りだったけど、今回は俺の得意な槍術の試合だ! これで負けるわけにはいかないのだ!」
「お前ら、戯れ言はその辺にしておけ、さっさと試合を始めるぞ」
開始の合図の笛が鳴った。
この模擬戦の判定は、審判をしている教官が有効打を認めたらおしまいである。
木剣や木槍を使うので、多少の怪我にはなるが死ぬことはないので、被弾覚悟の攻撃等も当たり前に行われる。まぁ、10~11歳の子供が行う模擬戦なので、それも仕方がないのだろう。勝ちを求めて何が悪いと言うものだ。
そういう攻撃に注意をしないと、簡単に負けてしまうのだ。
剣術に比べ槍術は、得意では無いが……比べて得意では無いだけで、普通の人達に比べれば才能がある方だと思っている。
向き合った俺達は、槍の先をコツンとぶつけてから距離をとる。これは、模擬戦を始める前の挨拶と言った感じた。
しっかり構えた状態でグリントが距離を縮めてくる。
槍を弾くために力を込めて叩いたが、グリントがしっかりと両手で持っていたため、弾くことが出来ず距離を詰められてしまう。
俺の体を捉えていた木槍の先が迫ってくる。
足が完全に地面に着いている状態だったので、自分の体勢を崩す形でしか避けられない……それをすると、グリントに隙をつかれるのは目に見えている。
ならば、それ以外の方法だ!
槍の基本、突き・受け・払いの3つを思い浮かべる。
払うのに失敗したとはいえ、俺とグリントの木槍の距離は近い。突きに対して受けは難しい。ならば、上手いこと払うしかない。
グリントの木槍の中程を、反復練習した払いの動きでとらえた。
大きく弾くことは出来なかったが、俺の体に当たることはなかった。
グリントは、木槍をひきまた突いてくる。
俺はバックステップで距離をとる。ベタ足だと開始直後みたいになりかねないので、軽くジャンプをしてから、踵を地面に着けないような足運びをする。
突いて払って受けて、時には蹴りやタックルも含めて攻撃をしかけてくる。
基本的な運動能力はグリントの方が高いな。俺よりも身長は10cm以上高い。というか、俺が平均より低いんだよね。日本人として見れば普通の身長なのだが、この世界の男は平均して180cmを越える。
まだ10歳なので、そこまでは高くないが160cm近くある。戦闘において体が大きいのは有利だよな。
攻めようにも攻めきれない。どちらかというと、守りに入っている時間の方が長い。
体力面、筋力面で最終的には押しきられてしまった。
「正義は勝つ!」
「アホ! 次があるから、さっさと退け」
グリントは木槍を突き上げていると、教官に蹴飛ばされて試合するリングから追い出された。
有利だと思ってたのに、普通に負けちまったな。しかもあの野郎、手加減なしで突きやがって……右肩を強く突かれて、骨が折れたっぽいな。
教官に許可をもらい治療室へ向かう。
試合場から出る時に、今の試合を見ていたシェリー嬢が心配して声をかけてきた。
その様子を見ていたグリントが、試合場の端で騒いでいて教官にうるさいと怒鳴られていた。
治療魔法師に「明日は痛みが残るだろうね」と言われた。明日の試合は、軽いハンデを背負った状態でやらないといけないようだ。とりあえず、グリントに文句だけ言っておこう。
風呂に一緒に入った時にアザを見せ文句を言ったら、
「負けたのにシェリーちゃんとイチャイチャするからだ! 負けた者への天罰なんだよ!」
「宗教に入ってないから分からないけど、女の子とに心配されただけて天罰とか、神様って狭量なんだな」
「お前って、本当に怖いもの知らずだよな。メイビス教を敵に回すようなセリフを良く言えるな」
「メイビス教の信者がいないって分かってるからな。それに、神の愛は無限だ! 平等だ!と言っているのに、神の寵愛を受けるのに何故お布施が必要なんだ? 質素に過ごすように説いてるのに、お偉方はキンキラキンだったり、宝石をじゃらじゃらつけている意味が分からん。質素に過ごしていたら、あんなアブラギッシュな豚にはならんだろ」
「……確かにそう思うけど、お偉方の前で言ったら異端審問にかけられるぞ」
「んなこと分かってるよ。俺だって、時と場所を選んで言うわ。まぁ、あれくらいで異端審問にかけるとか言うなら、自分がやましいことをしているって言っているようなもんだよな」
その後もバカな話をして、上がる時に右肩を思いっきり叩かれたので、蹴飛ばし返した。
次の日、対戦相手を聞いて顔をひきつらせてしまった。
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