その2の3
途中にあるコンビニによりあるものを購入いたします。いつもは水筒にお茶を淹れて来るのですが今日は忘れてしまいました。うっかりさんはたまにあるものです。コンビニはさまざまな商品が置いてありますから魔法の国みたいです。目的のペットボトルのお茶を取りスィーツのコーナーには行くと惹かれます。まずいです。ケーキやプリンを見るとつい買ってしまいますから、心を静めて我慢せねばなりませぬ。
しかし、学生服を着た方がシュークリームを躊躇いもなくレジへ持っていかれるのでなればと桜餅を手に取りました。
きっとコンビニは私を太らせたいのかも知れません。
初めての自転車置き場に止めてハッとします。
カギはかけましたがチェーンがありません。借り物ですので失くしたらどうしようかと。
あわあわしてしまいます。どうしましょう。ちょっとやんちゃな方に鎖を借りてそれを使いましょうか。そうこうおろおろしてる内にも始業時間が近づいてきます。
「あんたなにしてんだ?」
「あ、あの、おろおろしております」
慌てていたとは言えなんと返答してしまったのでしょうか。
その人は用務員の方でよく、学校でお見かけします。掃除道具を持ってこちらにやって来ます。
「もうすぐ授業始まるだろ?」
「しかし、この自転車をロックせずには行けません」
私は簡単に事情を説明します。用務員さんは話しを聞くと「ちょっと待ってな」と言って立ち去りました。その間にも登校してくる生徒も多いです。駆け出すものも。これはチャイムが鳴るか、用務員のおじさんが戻ってくるか。いざとなったら一時限目を遅れるのもやぶさかではない。自転車が盗まれるよりはいいですから。
待つことしばし用務員さんは古びたチェーンを持ってきました。
「これよければ持ってきな」
「そんな見ず知らずの方にいただく訳には参りません」
「子供が遠慮すんな。チャリが盗まれたらチャリが悲しむんだからな」
おじさんはそう言うと私の手に古びたチェーンを乗せました。
これは断るのも悪いですね。私はしばし悩んだものの鞄から楽しみに取っておいた桜餅を渡しました。
「ではこちらと交換いたしましょう」
「いやいやいや。悪いからいいさよ~」
「いえいえいえ。こちらこそ悪いのでお互い様と言うことで」
何故かお互いに遠慮し合うという出来事を得て物々交換と言うことになりました。それで自転車をロックすると校内へ向かいます。
いつものように誰なも挨拶することなく自分の席へ。これはもしかして窓際族と言うのでは?
クラスには沢山の種族がいます。明るい種族。静かな種族。うるさい種族や私のようなぼっちの種族。
「おい、芹沢」
隣の席の御陵高明くんです。
誰とでも明るく接してオシャレさんです。でも話したりすると他の女子から睨まれるので基本的には話しません。なにせぼっちですから。
「な、なんでしょうか御陵くん」
「これお前の?」
それは私のお守りでした。神社で正月に買ったものです。
「あ、そうです。どこでこれを?」
「下駄箱。丁度お前が落としたの見たから」
「左様ですか。それはありがとうございます」
お守りを受け取りホッとします。