その1の2
自分のクラスにたどり着きました。
二年に進級してみんなそれぞれのグループで会話しています。
私はそれに乗り遅れたぼっちです。
流行にも海の波にも乗り遅れる女です。
そのまま席に着くのもなんなんで教卓の前に立ってみんなにおはようって叫びました。嘘です。そんな注目を浴びることは出来ません。浴びるのは熱いシャワーだけで十分です。
それに私はぼっちではありましたが、生徒たちがお喋りしてるのを聞くのは楽しいです。
最近流行りのドラマや音楽。趣味の話し。趣味か。なんもない私の趣味はなんでしょうか?
道端で見かけた猫を見たらにやにやすることでしょうか?それじゃあただの変な人です。
読書。それくらいしかないかもです。空想の中で自分を主役に見立ててハラハラものの大冒険をするのです。でも私のことだから異世界転移とかしても、いつも通りの生活をするんだろうなと思います。
朝起きてご飯食べて農作業かなんかして、お昼のパンでも食べてまた農作業。黄昏時に帰る。そんななんの変哲もない毎日なんだろうな。
「芹沢~。授業始まってるぞ~!」
先生の声にハッとします。わたわたと慌てて教科書とノートを取り出します。
クラスメイトからもからかわれます。
放課後。みんなは部活に行ったり友達同士でどこかへ寄って帰ったりします。
私も帰り支度をして鞄を持って立ち上がります。
心の中でみんなにさようならと言いながら教室を出ます。気候は温かくて部活はしやすいでしょうね。
グラウンドではサッカー部の掛け声や陸上部の活発な声が聴こえてきて頑張れ~と心の中で思います。
あ。冷蔵庫すっからかんなのでスーパーで買い物して帰ります。
自転車で後ろから追い抜く人を見てふと立ち止まります。
「自転車いいなぁ~」
バス料金も節約出来るでしょうか。
なにより朝バスに乗るとパンパンに窮屈なんですよ。
だから、早起きした時は歩いちゃいます。
スーパーでいくつかの惣菜と明日の朝のパンとバナナです。後、ヨーグルト。
まだ、自分で作る気になりませんから。
田舎なので雄大な山々を眺めつつ帰ります。
ひらひら舞う花びらは風に乗って踊っているようです。
流石に一緒に舞う訳には行きませんでしたが。
このオレンジに染まる世界が綺麗でどこか寂しくて。たまに泣きたくなりました。
父と母はどこへいってしまったのでしょうか?
いや、ホントは分かっています。でも、考えないようにしてしまいます。
それでも芹沢真名は明日もありきたりな毎日を過ごします。
夕御飯は肉じゃがです。あまり大層な料理はできませんが、少し多めに作っておいて明日のお昼のお弁当に良いかもです。
昔は母が作ってくれました。得意と言うよりは平均的。それでも美味しくて振り返って考えて見ても感謝しています。でもいつも私に笑顔を向けていましたが、知らないところで泣いたりしていたのかもしれません。父は子育てには無頓着でしたから。古くさい考えの持ち主で家事は嫁。仕事は男の考え方でしたから。かといってパートで働いてる母を見ると中途半端な考えだなと父を見ては思うのです。
まあ、ギャンブルをしなかっただけマシと言うもの。
いつものように明日の予習をして読書を少しして、物語の世界に没頭してとその他の家事をこなしていたら一日など過ぎるのは光陰矢の如しです。布団を敷いてからお風呂に入ります。いつもの電子音でお風呂が沸きましたと伝えてくれます。お風呂が沸きませんでしたと言う時があったら故障しているのでしょう。ではまた明日。風呂上がりはとっとと寝ます。
つづく