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プロローグ~私の物語~
私は自分のことをチート持ちだと最初は思っていなかった。
チート持ちというのは、他人より異常なほど高い能力を持つ者に与えられる名称だ。
普通のどこにでもいる女の子だと思いながら、私は学校に通い、家では母と一緒に暮らしていた。
しかしながら、そういう自己評価とは異なって、周りの人たちは私のことを異様なほどに評価しはじめた。自分が当たり前にやっていることを、みんな当たり前にやっていない。そんなことに後から気付いた。
その気付きが、少し変わった運命の始まりだった。
これから語るのは、私の身に起こった出来事や、冒険の数々。
そして、私や大勢の人間を巻き込んだ世界の真実。
これは、そんな私の物語だ。
まずは、最初の気付きについて語ろうと思う。
それは私が十歳と、まだ幼かった頃にまで遡る。冒険者と学校をかけもちする二年前のことだ。
初稿投稿分から大幅加筆して3分割にしました。
主な内容に変化はありません。