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オレの後輩

作者: 木山嵐

「先輩ノリ食います?」

「…は」

「いっぱいあるんでどーぞ」

「あ…ありがとう」

後輩から受け取った海苔は、パリッとして塩気が利いてうまかった。


オレには、同じ部活に3つ年下の後輩が居る。

オレはわけあって、同級生よりも2つ年上なのだが、そのことを話した時、後輩はとても反応が薄かった、


(気がする…)


オレの後輩は、フットワークが軽く誰とでもすぐ仲良くなる。

誰にでも好かれる。

年齢の壁などひょいっと乗り越えて。


写真が嫌い。

めんどくさがりや。

女っぽい恰好が嫌い。

自分は不細工だと主張する。

体型が気になって仕方がない。


(オレは可愛いとおもうのにな)


運が良い。

話が面白い。

アニメやゲーム、漫画が好き。

多少オヤジが入っている。


(そして女たらし…)


背が小さい。

肌がすべすべ。

笑い顔がかわいい。

運動能力高い。

ちょこまか動く。

気が利く。

まるで、


(まるで小動物)


嬉しいことがあると、嬉しそうに報告してくる。

気持ちはストレートに、毒舌。

行動は、いつも斜め上。

だけど、どこか、にくめない。


(だからなのか)


いつもあの子の周りには人がいて、笑顔が絶えない。

花が咲いたように笑う。


(ああ…)


先日の打ち上げの時だ。

OB・OGさんを沢山招いていた時だった。

多少酒も入っており、ふらふらしていたからついあんなことを…。


「あー先輩だ…」

OBさんの机でしゃべっていた後輩は、オレの気配に気づいたのかこちらに振り返った。OBさんの机は、笑いが絶えず談笑していたので後輩も笑っていたのだろう。顔も赤く興奮しているようだ。ふと目が合ったオレは左手を後輩の頭に…。


「はぁぁぁぁ」

(きっと驚いただろうな、急にあんなことしたのだから)


オレは左手を見つめて、深く、肺の中からため息をつく。“頭ポンポン”少し前まではテレビで特集を組まれるほど女子に胸きゅんとされる行動だったのだが、最近は髪型が崩れるや、気持ち悪いなどといったマイナスのイメージしかない。


(好意がない相手程嫌なものはないというもんな…)

こんなおっさんにやられてもいいものはない。


(酒…は言い訳にしかならねぇよな)


記憶にこんなにしっかり残って、うじうじ悩みに悩んじゃってどうしたよオレ。


(明日、どんな顔をしてあえばいい)


胸にちくりと残ったこのとげは…。

いったいなんだ。


(………)


すこし、空白の時間が流れる。

そして、頭に一つの答えが浮かぶ。


(ああ、そうか)


オレは、


休日なのに彼女のことで頭がいっぱいで。


オレは、


彼女の笑顔が頭から離れなくて。


オレは、


彼女がとてもかわいく思ってて。


オレは、


彼女は、


オレは、


彼女が、


(好きなのか)


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