誰か人生相談をしてください!
サラリーマンが2人、自動販売機の前で缶コーヒーを飲みながら立ち話をしている。
「最近、調子どう?」
「あんまりよくないな。」
「何系の調子悪さ?」
「何、その系って?」
「いろいろあるじゃん。例えば人間関係とか、健康系とかの悩みについて。」
「ああ。そういうこと。具体的にって言われると思いつかないんだよな。」
「むりやりにでも一つ。一つでいいからお願いします。」
「何でお前が頭を下げるんだよ! 気持ち悪いな。」
「今日は無性に誰かに頼られたい気分なもので。」
「何なんだよ、その無駄な情熱は?」
「何かないか? 何だったら嘘でもいいから相談してくれ。」
「何でだよ? そこまでしてされたいのか? 人生相談。」
「うん!」
「元気いっぱいだな、おい。」
「何かないかな?」
「じゃあ・・・。えーっとね。」
「本当に何も悩みがないのか? お前・・・、幸せな人生を送ってるな。」
「・・・いきなり蔑んだ目で見やがって。強いて言うなら、月々のお小遣いが少し少ないってことかな。」
「その相談は却下!」
「ふざけんなよ! さっきは何でもいいって言ってただろ。」
「確かにさっきまではそう思ってた。でも実際に出てきた相談がまさかそこまでつまらないとは・・・。お前に期待した俺がバカだった。」
「そこまで全否定されるか?」
「すまん。忘れてくれ。」
「何をだよ! 何コレ、すげー嫌な気分。」
「しかしな、お前の相談を聞いている時間、人生の貴重な時間を無駄にしたよ。」
「そこまで言うか! 10年来の友人かつ同僚にそこまで言うか!」
「それはそうだよ。何だったらもっと酷い言葉をぶつけてもいいくらいだよ。」
「じゃあ、お前のほうから俺に相談してみろよ。」
「断る!」
「即答すんなよ!」
「今日の俺の気分はあくまでも相談されたいだけだから。受け身ですから。」
「うるせえよ。俺だって別にどうしても相談してほしいわけじゃねえよ。」
「負け惜しみだな。」
「勝ち負けの問題じゃないだろ!」
「早く~。早く相談してくれないかな。お前以外の誰かが。」
「世界で一人だけ拒否しやがって。たった今、思いついたんだが、『相談しなければいけない内容が思いつかないんですが、どうしたらいいでしょうか?』というのはどう思う?」
「おぉ・・・。やればできるじゃないか。」
「心から感心するなよ! 俺をここまで追い込んだのはお前だ!」
「やだなぁ。自分のキャラの面白くなさを棚に上げて。」
「黙れ! あと早く答えろよ。」
「本とか読んだらいかがですか?」
「アドバイスがサラッとしてんな・・・。ちなみに何の本?」
「とりあえず中谷彰浩のやつとか。」
「著作数が多すぎんだろ! 年に何十冊と出版されるぞ。具体的な本のタイトルを指定しろ。」
「『なぜあのリーダーに人はついていくのか』なんてどう?」
「ちょっとだけ説得力がありそうだから、何かむかつく。どうせならもっと大外しなタイトルが良かった・・・。」
「あとあれかな・・・、俺からできるアドバイスとしては、寝る前にアロマキャンドルに火を点けてみるとかな。」
「OL? OLの悩みに対する回答?」
「それで大体の悩みは消えるから。よく眠れるようになるだろうし。」
「でもその対応じゃ、俺のそもそもの悩みだった、月々の小遣いが少ないってのには効果がないだろ?」
「それは・・・奥さんが寝入った後に、財布からこっそりと。」
「それは絶対に解決策じゃない!」




