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第四十七話:きみがいるから(一)

このお話には残酷な表現が含まれます。苦手な方は十分にご注意下さい。

 人が去り、急に静かになった家の中。

 ノエルはスダチと共に、部屋の隅でシーツに包まり、震えていた。


「太郎丸様の援護に向います!」


 そう言い残し、松明を手に飛び出して行ったアデリーネ。家に残されたノエルには何も出来る事が無く、ただひたすら戦う者の無事を願い、恐怖に怯えるだけ。

 無力な我が身に、屋根を叩く雨の音が、やけに煩い。耳を傷めている為なのか、頭の中にバラバラと降り注いでいるかの如く、大きく鳴り響く。


「ノエルお姉ちゃん……外、静かだね。もう怖い人たち、どっか行ったのかな?」


 震える声でスダチが囁く。

 太郎丸が交戦している正体不明の敵……といっても十中八九、自分への追っ手だ。ノエルはそう考え、首を横に振った。仮にそうであるのなら自分を見つけない限り、敵は居なくなったりしないだろう。

「今はまだ危ないから、静かに、じっとしてようね」掠れた声で伝えるノエル。だがスダチは、張り詰めた空気と緊張の中で耐え続けるには、まだ幼すぎたようだ。


「私、ちょっとだけ覗いてみるよ」

「……! 待っ……!」


 静止しようと口を開くノエルだったが、潰れた喉が脚を引っ張る。引きとめようと伸ばした手もすり抜けて窓際へと駆け寄ったスダチは、打ち付けられた戸板を少しずらし、開いた隙間から外を覗く。


「……スダチ、ちゃん?」


 窓の隙間を覗き込んだ姿勢のまま、固まるスダチ。ノエルの声にも何の反応も見せない。だが「大丈夫?」ともう一度声を掛けると、ガクガクとぎこちない動きで、ゆっくりとこちらへと振り返る。


「あ、あわわ……っ」


 口を金魚のようにパクパクとさせ、何かを言おうとするスダチ。彼女の顔は晒し紙のように真っ白で、額には大量の汗。そして脱力しヘナヘナと崩れ落ちた彼女の背後――窓の隙間から見えたのは、夕暮れの薄闇を貫いて真紅に輝く、不気味な双眸。猫の如く縦に割れた瞳が、微動だにせずジッとこちらを覗き込んでいる。

 ぞっと背中に走る悪寒。見つかってしまった! その事実を直感的に感じる。


「スダっ……逃げ……!」


 逃げなくては……一刻も早く!

 包帯だらけの身体を無理矢理動かし、腰を抜かしているスダチを起き上がらせる。

 窓の外に気配を感じる……近い。壁を挟み、相手の呼吸すら感じられる程の距離だ。こうなったら、自分が囮になって彼女だけでも……そうノエルが考えた時だ。


「お姉ちゃん、先に行ってて! 私は、一発……っ!」


 ノエルの手を振り切って、スダチはその場に踏み止まった。小さな少女の手には、血の気が引くほど強く握り締められたフライパン。

 迫り来る正体不明の敵に、幼い身体は恐怖に強張り、手足は小刻みに震えて、ノエルが手を貸さなければ一人で立っている事さえ難しい。だがスダチは自らを奮い立たせて仁王立つ。気丈にも、敵に立ち向かうつもりなのだ。


「スダチちゃ……!!」


 ダメよ、戦うなんて無理! とにかく逃げよう! 私が時間を稼ぐから、その間に安全な場所まで……。

 痛む喉から声を振り絞り、そう説得を試みたノエル。だがスダチは頑として首を縦に振ろうとはしない。


「お願、い。スダチちゃん……聞分けて。あなた、だけでも……」


 そう。せめてスダチだけでも逃がさなければ。太郎丸もアデリーネも居ない今、悪魔を相手に二人ともが逃げ切るのは不可能だ。一人が逃げ延びるだけでも至難であろう。それならば自分が餌になって、少しでもスダチの脱出確率を高く……そう考えるノエル。

 だがスダチはノエルと同じ前提で思考したにも関わらず、全く逆の結論へと辿り着いたようだ。頼りなく蚊の鳴く様な声ではあったが、邪悪な敵へ明らかなる反抗の意思を込めて囁く。


「普通に逃げたって、きっと捕まっちゃう。それだったら一か八か、思い切りぶつかって……チャンス作って、二人で逃げよ! あんなバカにでも、もう一回会いたいんでしょ!?」


 この娘は……この兄妹は昔からそうだ。諦めるという事を知らない。妥協という言葉を好まない。

 今もノエルは自分が悪魔に身を差し出して、スダチだけを逃がそうと考えていた。それが自分の役目だと……二人で逃げるなど、最初っから頭に無かった。だがスダチは未熟な頭で必死に考え、なけなしの勇気を振り絞って絶望の中に希望を見出そうとしている。絶望と戦っているのだ。

 決して最善策では無い。ギャンブル好きと言われたら、きっとそうなのだろう。しかしこの状況で一体何人が微かな可能性を見出し、一縷の望みを繋げようと足掻き続ける事ができるだろうか。


「ん……そう、だね。わかった、よ」


 頷くノエル。ついさっき、諦める事を諦めた筈だ。自分が出て行ったとしても、スダチだって狙われる可能性が高い。どちらに転んでも同じであるのなら……やれるだけの事を全力でやってみよう。もう一度、生きて彼と会う為に!


「約束だよ、お姉ちゃん! 二人で頑張るの……ほら、指きり!」


 小指を絡ませあい、二人が約束を交わす……と、その時! 横殴りの衝撃と共に、部屋の壁が吹き飛んだ!


「~ッ!?」


 声も上げられず、壁の残骸と共に吹き飛ばされるノエル。寸での所でスダチを抱き寄せ庇ったものの、怪我をしたままの腕では抱き留めておく事は叶わず、地面に叩き付けられると同時に放してしまう。


「うぁっ!」


 濡れた草の上に投げ出されるノエル。付近には大小様々な家の破片が舞い落ちる。元居た場所を見れば、自分の部屋があった場所に大きく深く四本の爪痕が刻まれており、壁が無残にも切り裂かれ、その大半が吹き飛んでいた。


「……スダ、チ……ちゃん!?」


 雨の冷たさを包帯越しに感じながら、小さな人影を探して周囲に視線を配る……が、傷付き狭まったままの視野では人探しさえままならない。そして探していた人物よりも先に、襲撃者の姿が目に入った。


「また会ったな、天使の娘」

「ガイ……ラン!」


 暗闇の中、血のように赤い眼を光らせるのは、かつての仲間であり、ノエルを嬲った悪魔の一人でもある虎の獣人、ガイランだった。

 以前は虎を象徴するような黄色と黒のツートンカラーであった毛色。だが悪魔憑きとなった今は赤と黒の二色となり、元々大きかった身体も更に一回り大きく膨らんでいる。

 そして両の腕には黄金の手甲……伝説の武具の一つである『幻魔の爪』だ。どこか禍々しさを感じさせるその形状は、指先から肘までをスッポリと覆う、重なり合う装甲板によって作り出されている。そして指先部分には、それぞれの指ごとに独立した鋭い鉤爪。


「この爪の味、まだ忘れてはいまい?」


 ノエルへ見せ付けるように鉤爪を擦り合わせ、舌なめずりをするガイラン。擦れ合う爪からは、青白い魔力が火花となって迸る。その魔力が生み出す特殊な効果は、捕えられている時に嫌という程味わった。


「大人しく同行するなら……いや、あえて問うまい。何せうちのボスに厳命されている……お前と、その協力者全員を、力尽くでも連れて来いと……な」


 やっぱりね。嫌な想像ばかりが良く当たると、自分の勘に対して失望を覚えるノエル。

 サークスらは天使に組する者を捕えて痛めつけ、見せしめとする事で協力者を減らすつもりなのだろう。


「さぁて今度は、どこから切り刻んで欲しい? 内腑から切り取り、食らってくれようか? それとも残った目を抉ってやろうか?」


 身構え、腕を振りかぶるガイラン。

 いけない……! 危険を感じ、身を捻って空へ逃げようと咄嗟に翼を広げるノエル……だが、今の彼女に飛べる翼など無い。


「……っ!」

「食らえ、幻魔の爪ッ!!」


 地を蹴り、飛び掛るガイラン。ノエルは咄嗟に左手を頭上にかざす。腕の添木で爪を受け止めて……だが!


「貰った! 『皮膚』ッ!」

「あぐっ……!!」


 魔力の煌きが軌跡となり、雨の中に曲線を描く。

 幻魔の爪は何の抵抗も無く添え木をすり抜け、ノエルの肌に食い込んだ。そしてガイランが彼女の左腕に沿うようにして爪を滑らせると、ピーラーで野菜の皮を削ぐかの如く、ノエルの左手から皮膚が剥がされて行く。


「~ッ!!」


 声にならない悲鳴。皮膚だけが腕から削がれて行く激痛。悪魔の村で味わった痛みが、再度ノエルを襲う。

 このままじゃ、左手が使い物にならなくなる。なら、それよりも前に……!


「てぇ……いッ!!」


 激痛に耐えながら、爪が振り切られる直前に逆腕でガイランの胴を突き、距離を取るノエル。

 鮮血が舞った。

 左腕から剥がされた皮膚がだらりと垂れ下がり、剥き出しとなった肉からはじわじわと血が滲み出して滴る。なんとか致命傷だけは避けたノエルだったが、ガイランの攻撃はまだ終わらない。


「中々どうして! 悪くない反応をするではないか、天使の娘ェ! 楽しくなってきたぞ!!」


 悦楽に口の端を歪めて、何度も爪を振るうガイラン。瞬きさえ致命的な隙となる程の速度でもって、左の爪で薙ぎ払い、右の爪で突き刺して来る。悪魔憑きと化した獣人の凄まじい反応速度は、ノエルが万全の状態であったとしても対応出来得るものでは無い。不調であるなら、尚更だ。


「ぐっ! あぅっ!!」


 左の肩、右手の甲、右の太股、左の膝……避けきれずに爪が肌に食い込む度、皮膚だけが剥ぎ落され、押し殺した悲鳴と血が飛び散る。だがその際、爪が命中しているにも関わらずノエルの衣服には傷一つ付いていない。


「真剣に避けねば、全身の皮膚が無くなるぞ! それとも……」


 ノエルの眼前にまで大きく踏み込むガイラン。そのまま速度を緩めず、華奢な天使へと当身を見舞う。体勢を崩したノエルは、たたらを踏んで退く……と、ガイランはノエルが後退するより早く脇をすり抜けて背後へと回り込み、爪を構えて叫ぶ。


「もっと痛いのがお好みか!? ならば……『痛覚』ッ!」

「あぐっ!!」


 深々とノエルの背中に突き刺されるガイランの爪。彼は胸へと貫通したそれを、胴を上下へと引き裂くように勢い良く振り切る! 激しく魔力を迸らせる幻魔の爪。


「がっ!!……あぁ……かはっ……!!」


 服は破けず、傷も無く、血も出ない。だがノエルは悲痛な声を上げ、まるで爪で全身を引き裂かれたかの如く背中を弓なりに反らし、濡れた地面の上に倒れる。


「どんな物だ、身体を一気に裂かれる痛みは? 如何に天使といえど……さぞ辛いだろうな」


 倒れたノエルに、ガイランが歩み寄る。

 幻魔の爪は、それほど大した攻撃力を持つ武器では無い。精々、良く切れる包丁程度の切れ味だ。しかしその特殊能力故に、攻撃力以上の脅威でもって敵対する者を苦しめる。

 それは、指定した物だけを切り裂く能力――。

 皮膚と指定すれば皮膚だけを。痛覚と指定すれば痛覚だけを、心臓と指定すれば心臓だけを刃に掛ける対象とするのだ。その行く手は何人たりとも阻む事叶わず、岩壁だろうと鋼鉄の鎧だろうと、果ては肉体そのものや、魔術的な効果を持つ天使の防御能力ですらすり抜ける。


「これからお前を、サークスの所へ連れ戻す。手足と翼の筋肉を全て切断し、動けなくしておいて……な」


 足下で伏して動かないノエルの、包帯が巻かれた翼を無造作に掴み上げるガイラン。


「この場にバラでも居たなら、お前を裸に剥いで見せろと煩かっただろうが、生憎と俺にそういう趣味は無い」


 幻魔の爪が切り裂く対象を『筋肉』と指定するガイラン。そして彼は「そういう趣味は無いが……」と続け、翼の先端部分に爪を乗せる。


「俺は、お前たちの苦しむ姿を見るのが大好きだ」


 耳まで届く程に割れた口を邪な喜びに歪め、ガイランは翼の中に爪を刺し込んだ。そして、ゆっくり、ゆっくりと翼の付け根目指して指先の刃を動かし、翼を内部から切断して行く。


「あうぁっ! ぎゃ……あぁぁぁぁ……ッ!!」

「どうした天使の娘、そんなに痛いか? それとも、せっかく治りかけていた翼がまた痛めつけられて辛いのか?」


 翼の筋肉と同時に、天使の心を引き裂くガイラン。大した切れ味を持たない爪であるが故に切断はスムーズに進まず、筋肉の密集地に爪が掛かる度ノコギリで引くかのように、前後に刃を動かして強引に切り進む。それがノエルに更なる苦痛をもたらす。


「あっ! あぐっ……!! いぁ……!!」

「どうした、以前のように泣いて許しは請わぬのか? 何でもするから、それだけは止めてと言わなくて良いのか? 大事な翼が骨と皮だけになってしまうぞ。それでも良いのか?」


 包帯で巻かれたままの翼が内部から破壊され、ズタズタにされる。あまりの激痛と大切な物が壊される辛さに、何度「止めて」と懇願しようと思っただろう?

 だが、ダメだ。それは許されない。

 何故なら約束したからだ。

 スダチと二人、頑張ると!


「あ、あああぁぁぁッ!!」

「うぉ……!?」


 この約束は、破れない!

 ノエルは掴まれた翼もお構い無しに強引に身体を捻り、腕を振って背後のガイランへと打撃を見舞う。振り返りざまの、手の甲を使ったパンチ。いわゆる裏拳だ。

 見事にガイランの尖った顎先を捉えた裏拳ではあったが、強靭な獣人の肉体を前にダメージは皆無に等しい。しかし死に体だった天使が見せたまさかの反撃に、怯んだ様子を見せるガイラン。

 押し返すなら、今しかない!


「やあぁぁぁッ!!」

「調子に乗るな、小娘!」


 だが反撃しようと伸ばした手はガイランに届かず、代りに丸太のように太い彼の膝がノエルの腹にめり込む。


「えぅっ……!」


 背中まで抜ける重い衝撃に身体をくの字に曲げ、動きを止めるノエル。ガイランは彼女の翼を捕えたまま、更に二度、三度。強烈な膝蹴りを腹や胸、そして顔面へと叩き込む。

 胃を押し潰され、血の混じった胃液を吐き出すノエル。包帯に鮮血が滲む。そして掴まれたままの翼も強い衝撃を受けて裂け、夥しい量の血飛沫が噴出す。


「根性を見せたくらいで、状況が好転するとでも思うたか? 甘い! 甘いのだ、お前らは!」


 力任せにノエルを地面に叩きつけ、腹の上に跨って、顔面へ拳を連続で打ち込むガイラン。頭蓋骨を砕かんばかりの加減無い殴打。一撃、一撃が命中する度、地響きを伴って地面揺れる。


「そういえば、あの小僧もそうだった。両手を潰してやったら、何を思ったか剣を咥えて切りかかりおって……確か、ヤマトとか言ったか? 馬鹿も、そこまで行くと可愛げすら感じるわ!」


 ヤマト? 混濁した意識の中、ノエルの耳が彼の名を捉えた。


「歯を折って顎を砕いた時は見物だったぞ。情けない声で、血の混じったヨダレを垂らして……その後、脚を捻った時も……」


 そうか、ヤマトがほろ酔い亭から居なくなった後、ガイランが彼を襲っていたのか。伝説の手甲を探しに旅立った際、しばらく姿を見かけなかったと思ったが……そういう事だったのか。

 ヤマトは怪我をしていて来れないんだとスダチは言った。彼女の予感は当たっていたのだ。


「中々しぶとく、面白い獲物だったが……あれだけの重傷、あれだけの嫌われ者だ。誰もヤツを助けはしまい。多分今頃は野山で野垂れ死に、蛆の餌にでもなっておろうな」


 ヤマトが重傷? 死んだ? という事は、もう二度と……。触れる事も、話をする事も、顔を見る事も……。

 ノエルの中で、理性が弾ける。コイツは……この悪魔は、ヤマトの仇だ!


「う、うぅ……ッ!!」


 拳を打ち込まれ続けて半ば地面に埋まりながらも、感情のまま、憎い敵へと右手を伸ばすノエル。その手がガイランの腕を掴み……。


「さっきも言ったが、根性を見せたくらいで力の差が埋まると思ったか? 弱者が如何に足掻こうと、圧倒的な力の前には……何の意味も無い!」


 ノエルの腕を振り払い、それを幻魔の爪で薙ぎ払うガイラン。筋肉のみを寸断されたノエルの右腕は、赤黒く変色しながら力無く地面に横たわる。

 全く歯が立たない。目の前の敵に……なんとしても倒したい相手なのに!

 どれほど足掻こうと、たとえ命を賭けたとしても、駄目な物は駄目で……無理な物は無理なのだろうか? どんなに強く、切実に望んだとしても、叶わない事も……。

 ノエルの頭にそんな考えが浮かび、意識が、そして再び立ち上がる気力が失われかけた……その時だ!


「がふッ!?」


 ノエルに跨っていたガイランが苦悶の声を上げ、大きく仰け反った。そしてそのままの体勢で勢い良く吹っ飛び、濡れた地面の上をゴロゴロと転がって近くの草むらへと頭から突っ込む。


「ごちゃごちゃ喋ってイイ気分に浸ってんじゃねぇぞ、この猫モドキが!!」


 これは、夢か幻だろうか?

 朦朧とするノエルの耳に届いた、懐かしい声。


「躾けの悪ぃ猫が、ションベン臭ぇ股ぁノエルに擦り付けてんじゃねぇ! テメェの便所は猫砂の中だろうが!」


 口汚い罵り。どこかで聞いた事のある……いや、毎日のように聞いていた、二度と聞けないと思った、あの声。

 雨の中、自分を庇うようにして立つ、懐かしい後姿。雨の中で別れたあの日以来、夢の中でしか見る事の出来なかった背中が、ゆっくりと振り返る。

 瞼を失ったノエルの瞳に映る者。それは……。


「悪い、ノエル。遅くなっちまった」

「ヤマト……!!」


 それは彼女が強く、切実に会いたいと願った、少年の姿だった。

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