第21話『全宇宙へ送信中――失恋配信チャンネルを止めてください!』
ドラゴン便・復帰第一弾のお届け先は――なんと全銀河!?
配達相手は、恋人にフラれて情緒が爆発した青年。
その手紙が、全宇宙にリアルタイムで配信されている!?
ドラゴン便、ついに“恋の大事故”に出動する!
《レッドバンシー号》・通信ブリッジ。
リアム:「……何だこのノイズ?」
ロック:「違う、それラブソングのつもりらしい」
《♪うぉぉぉぉ〜〜 そらにぃ〜〜きえたぁぁ〜きみのぉ〜えがおぉぉぉ……(滝涙)》
《生配信中:宇宙失恋チャンネル『さよなら、ミライ』 視聴者数:28億》
ルミナ:「28億……!? え、銀河の1/4が泣いてるの!?」
アストラ:「……いい加減止めてやれよォ!!」
セレナ:「このままだと、感情波が強すぎて通信衛星が故障します。
今のうちに本人を確保して、配信を停止させないと」
* * *
《感情波送信源:漂流中の小型宇宙艇》
名前:キール=ナボリ、年齢:21、職業:詩人志望のアルバイト
──そして、銀河最大の失恋人。
アストラ:「よう、キールくん。調子はどうだい?」
キール:「ああ……また来たのか、ヒーロー気取りの連中が……
もう俺は、愛にすがらないと決めたんだ……銀河に歌う、この未練を……」
ユニー:「むぅ〜♡(なでなで)」
キール:「あっ……癒された」
* * *
クレイド:「……おそらくこの男、悲しみのピークを越えて“構ってほしい期”に入っているな」
セレナ:「配信AIが感情を増幅しているのも問題。
“強制ログアウト手紙”を送って、終わりを認識させる必要があります」
アストラ:「よし、配達だ。銀河で一番ウザくて、でも一番あったかい“別れの手紙”だ!」
* * *
――配達完了。
《To:キールへ
キミの声は、ちゃんと届いていた。
でも、そろそろ立ち止まってもいい。
涙の海の中でも、次の星を探すことはできる。
……だから、そろそろ“おやすみ”を言ってもいいんだ。》
──From:誰かを同じように失った誰かより
キールは、ぽろぽろと涙をこぼした。
「……終わり、なんですね。……じゃあ、俺、今夜は寝ます」
配信停止。
感情波、沈静化。
アストラ(ガッツポーズ):「よっしゃぁ! これがヒーロー流・失恋整理便だ!」
ロック:「新しい便種増やすなァァ!!」
ラブレターじゃなく、別れの手紙も届けるドラゴン便。
“終わらせる”こともまた、想いを運ぶヒーローの仕事――
次回はちょっと変わり種の依頼!? 小さな子どもからの“星へのお願い”が届く!
次回・第22話:
『願いは星に、手紙は君に――七夕スペシャル:流星群を届けて!』
宇宙最大のロマンチックイベント“星の願い祭”。
願いを乗せた手紙と、流星群をリアル配達!? ユニーが星になる回!




