第2話『姫、拾いました。あと、戦争始まったっぽい』
宇宙一“お尻で運命を起動した”男、アストラ。
彼が拾った謎の少女は、銀河の中心《星冠連邦》の王女だった!?
便座から始まるスペースオペラ、次なる舞台は戦争の火種!
小惑星帯・第Gセクター、戦場跡。
アストラたちの宇宙船《レッドバンシー号》は、
焦げた装甲と煙をまき散らしながらポッドを強引に引き上げた。
「……生きてるか? おい、姫さん」
船内医療ポッドの中で、少女はゆっくりとまぶたを開けた。
淡い銀髪に、星を宿したような瞳。
そして、胸元には確かに、星冠連邦王家の紋章が。
「……わたくしの名は、ルミナ・イリス・エストレーラ。
星冠第九王女……でございました」
「おおおいおいおいおい!? 王女!? 王女様!?
それってつまり――」
「……うっわ、めんどくさいぞコレ」
ロックが盛大に頭を抱える。
「ていうか、星冠連邦って言ったら今の銀河の超巨大政権だろ!?」
「まあ、拾っちゃったもんはしょうがない」
「猫じゃねえんだぞ!?!?」
* * *
ルミナは、わずかながらも笑ってみせた。
「助けていただき、感謝します。……でも、すぐに追っ手が来るかと」
「だろうな。さっきのあの艦、深宵の星団騎士団だったよな」
「ええ……彼らは、星冠に属していた“元・貴族軍閥”です。
わたくしが逃げたことで――内乱が、始まるでしょう」
「おいおいおいおい、内乱ってさらっと言うなよ姫。
俺たち、ただの便座発掘業者だぞ!?」
「うるせぇロック、今からは英雄業者だ!」
「業者じゃねえからな!?」
そのとき、通信が入った。
「こちら騎士団旗艦。
反逆の王女を直ちに引き渡せ。さもなくば攻撃を開始する」
ルミナの肩が震える。
「……すみません、わたくしのせいで……」
「いや、違うな姫さん」
アストラはコックピットで操縦桿を握りながら、ニヤリと笑った。
「これは俺が拾った。俺の戦利品だ。
誰がくれてやるかってんだ――行くぜ、ロック!」
「お前ほんとバカだけど、こういうときだけカッコいいよな!
戦闘モード、フルエーテル展開!!」
《レッドバンシー号》が唸りを上げた。
重力魔導フィールドが展開し、艦首から**魔導粒子砲“ラグナロク”**がきらめく。
「戦争が始まるって? いいね。
こっちはもう準備万端だ――!」
そして、アストラの最初の銀河戦争が始まった。
拾ったのはただの姫じゃなかった。
それは、銀河の火種であり、希望の種でもあった。
便座から始まった英雄譚、まさかの政変に突入!
次回、第3話:
『宇宙一、目立ってはいけない逃走劇』
星冠連邦、全軍出動!? アストラたちのドタバタ逃避行が始まる!