第18話『届け! 戦場の花嫁へ――亡き恋人からの最後の手紙』
銀河中に想いを届ける“ドラゴン便”の旅は、ついに“涙の配達”へ。
次の届け先は、数年前の戦争で荒廃した衛星《ラ=リュミエール》。
そこには、結婚式直前に恋人を亡くした女性が、いまも一人で生きていた――。
《ラ=リュミエール衛星》軌道上。
灰色の雲が流れ、地表には戦争の爪痕が残っていた。
だが、その中心にぽつんと立つ白い家がある。
アストラが資料を読み上げる。
「依頼主は、故・レン=バルグ少尉。戦死前に、未婚の婚約者へ手紙を託していた。
配達先:アリア=グレイス。今もこの星に残り、彼を忘れず暮らしているそうだ」
セレナが静かに呟く。
「……これは、“伝える”というより、“完結させる”配達ね」
* * *
クレイドが降下準備を整える。
「任せてくれ。風は穏やか、感情波も落ち着いている。
……だが、これは重たい手紙だ。慎重に、丁寧に運ぶぞ」
ユニーも、ふわっと静かにうなずく。
「むぅ……」
そして――
白い家の前。アリア=グレイスが花を摘んでいた。
その背に、巨大な影が落ちる。
「……?」
振り返った彼女の前に、そっと一通の手紙が差し出される。
“From:レン=バルグ”
“お前が笑ってくれるなら、俺はこの星になってもいい”
封を開けた彼女の瞳に、涙があふれる。
「……ずっと、待ってたの。あなたの……最後の声を」
風が吹き抜け、鱗のようにきらめく光が辺りを包む。
その中で、ユニーが静かに寄り添った。
アリア:「……ありがとう。大きな、大きな、配達人さん」
* * *
帰還途中の《レッドバンシー号》。
アストラはひとことだけ、ぽつりと呟いた。
「……ヒーローってのはさ、誰かのために戦うだけじゃない。
“届ける”ことだって、戦いなんだな」
メロラ:「……しんみりするな。泣かせにきてるな、お前ら」
ルミナ:「でも、すごく……あったかかったよ」
クレイド:「フッ……本当の意味で、“届いた”のだろうな。心が」
派手な戦いも、ギャグもない。でも確かに“ヒーロー”だった。
この配達が、彼女の時間を動かし始めたのなら――
ドラゴン便、銀河中の“想い”をこれからも運び続けます。
次回・第19話:
『ユニー、星の子になる!? 赤ちゃんを運ぶ“銀河のおとしだま作戦”』
急展開!ユニーが赤ちゃんの“名付け親”に!?
そして始まる、小さな命の旅立ち――ほのぼの全開スペース育児回!




