第10話『七人目の英雄は、キャプテンの双子の兄だった!?』
“七英雄”集結まで、残すはあと一人――
だがアイザックが語る「最後の英雄」は、
アストラの誰よりも近く、誰よりも遠かった存在。
兄弟の絆、英雄の裏側、そして“真実”が明かされる!
《レッドバンシー号》艦内。
ブリーフィングルームには緊張が漂っていた。
「七人目の英雄……それって誰なのよ?」
メロラがモニターを見つめながら聞く。
「コードネーム:“シャドウ=アストラ”。
本名:リアム=カイン。アストラの双子の兄……」
ルミナが言った瞬間、全員がアストラを見た。
「お、おいアストラ、お前……兄がいたのか?」
「……ああ。昔な……」
アストラはゆっくりと語り出す。
「アイツは俺と違って優等生だった。
士官学校の成績は常にトップで、指導力も冷静さもピカイチだった。
でも――」
「でも?」
「俺たちは、**“どちらかしか七英雄になれない”**って知らされてたんだ」
グリーヴァが静かに頷く。
「“双子の資質は重なるゆえ、同時運用は不可能”――
あの忌まわしい七英雄計画のルールだな」
「そう。だからリアムは俺に譲った。
“お前が笑ってる未来が見たい”って」
ロックがつぶやく。
「けどそれが……どうして今、アイザック側に?」
「……それを、確かめに行く」
* * *
目的地は、宙間監獄ステラ=ノクス。
現在はアイザックの影響下にあると言われる、闇の要塞。
《レッドバンシー号》が接近するなか、突如巨大な暗黒艦影が姿を現した。
そのブリッジに立つのは――
リアム=カイン。
アストラと瓜二つ、だがその目は氷のように冷たい。
『よう、アストラ。……お前は、まだ俺を“兄”だと思ってるのか?』
「リアム……!」
『俺はアイザックと共に歩む。
“七英雄”など茶番だ。お前も、今ここで斬る』
「やってみろよ、兄貴。
――その氷を、俺がぶっ壊してやる!!」
* * *
ついに始まる、双子の英雄の直接対決。
蒼の魔剣 vs 黒き対剣――
剣戟が閃光を撒き、ブリッジが揺れる。
リアムの剣は容赦なく鋭く、冷たかった。
「お前は“夢”で動く。俺は“現実”で生きる。
ヒーローなんて言葉で救えた奴はいない」
「それでも俺は! 仲間と未来を信じてる!!」
「綺麗事だ! そんな幻想で、何人死んだ!?」
「……俺たちが英雄をやめたら、それこそ全部無意味になる!」
激突、衝撃、そしてついに――
アストラの拳がリアムの頬に炸裂する!!
「目を覚ませ!! 兄貴!!」
リアムの身体がぐらりと揺れ――
「……ずるいな、お前は……いつも、最後の一押しをする……」
その目から、ようやく氷が溶けるように、涙がひと筋。
「俺は……ずっと、七人で並びたかった……!」
こうして、七人の英雄がついに再集結した――!
* * *
だがその瞬間、アイザックから全銀河に通信が響く。
『……おめでとう。七英雄、再結成……いや、“再配置”完了だ。
さて、次のステージへ進もうか?』
そして彼は、真の計画を明かす――
『“七英雄計画”は、お前たちの意志など関係ない。
お前たちは銀河の中枢プログラム《エオステラ・システム》のキーだ。
すべては、再起動のための装置にすぎんのだよ』
「は? 俺たち……銀河のリモコンなの!?」
まさかの“兄弟対決”が、七英雄再結成のラストピース!
だが真実は予想を超え――英雄たちの正体は、銀河を再起動するキー!?
笑えない方向へ走り出す、スペースオペラ!
次回・第11話:
『七英雄、まさかのシステム化!? 銀河再起動のカウントダウン』
英雄の自我は、果たしてシステムに勝てるのか――!?




