表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/71

第11話 生徒たちの日常3. 森パトロール


──さて、今日も元気にいこうか。どうもどうも、シオリです。

午後のズリング村、森の中。

そよ風に揺れる木々、鳥たちのさえずり、遠くで鳴くリスっぽい何かの声……。

ほのぼの癒やしの自然空間? いえいえ、油断してるとすぐそこから魔獣が飛び出します。

そんなスリル満点なフィールドで、今日も子どもたちは大奮闘中!


では、現場からお届けしましょう──。


 


「……前方、魔力波動あり」


ジンの低い声が、ぴたりと空気を締めた。

森の小道、木漏れ日に照らされながら歩いていた一行の足が、一斉に止まる。


「距離は?」


レオンがすかさず問いかける。

視線はまっすぐ前方。すでに両手は防御展開の準備姿勢だ。


「三十メートル先、樹間の影から動いてくる……単独個体」


ジンの答えに、全員の表情が引き締まる。


「グレーウルフ……か」


レオンが小さくつぶやき、すぐに声を張った。


「ナナ、撹乱! カイル、狙撃位置につけ! リク、前線カバー!」


一瞬の間もなく、全員が動き出す。

まるで事前に打ち合わせていたかのような、完璧な連携。


ナナは両手を胸元で組むようにし、小さく息を吸い込んだ。

次の瞬間──


「……ふわ、っと」


ぽそりと呟くと、透明な波が空気に溶けて広がる。

精神干渉魔法ドリーム・リンク

相手の知覚をゆがませ、一瞬だけ意識をぼやかす術式だ。


「グルル……ッ?」


茂みの奥で低く唸る音。

ウルフが突然、左右に頭を振り、足元を踏み外すようによろめいた。


「いまだ」


カイルが小声でつぶやき、指先をぴたりと立てる。

その目はすでに《ロックオン・フレーム》で目標を完全補足済み。


魔力の圧縮、解放、軌道制御。

狙撃魔法が、空気を裂く。


「シュンッ!」


無音に近い速度で放たれた魔力弾が、ウルフの肩口に正確に命中。

獣が大きく体勢を崩した、その瞬間──


「前出るぞッ!」


リクが前線に飛び出した。

両腕から噴き出す爆裂的な魔力。

熱と衝撃をまとった拳が、ウルフの正面を叩く。


「ズドン!!」


轟音。土煙が小道を覆う。

吹き飛ばされたウルフが、もんどり打って地面に転がった。


「ナナ、離脱! ジン、サポート!」


レオンの指示が飛ぶ。


「了解」


ジンが一歩踏み出すと、その姿が一瞬で消える。

座標単位での瞬間移動、《ピンホール・ジャンプ》。


ナナのすぐ背後に現れたジンは、彼女の腕を軽く引き、次の座標へ二人ごと跳躍する。


「ありがとう、ジンくん……」


「……仕事」


小さく答え、すぐに次の移動体勢に入るジン。

その様子に、ズークは木陰から小さくうなずいた。


――あいつら、ほんと成長したな……。


空間の歪みに乗って、ナナが安全圏に着地したのを確認すると、レオンが左手を高く掲げる。


「《ガーディアン・レイヤー》!」


魔力が重なり合い、透明な多重防壁が展開される。

前線に立つリクと、後方のカイル・ナナ・ジンを一斉に包み込む形だ。


「カイル、もう一発!」


「了解」


二発目の魔力弾が、着地したばかりのウルフを撃ち抜く。

正確無比な狙撃。狙われたウルフが反撃する隙すらない。


「リク、止め!」


「任せろッ!」


リクが吠え、全身の魔力を一点集中。

地面を蹴り、ウルフの懐に踏み込む。

渾身の右ストレート。


「ドゴォン!!」


衝撃波とともに、ウルフの身体が吹き飛んだ。

ズザザザザ……と地面を滑り、そのまま動かなくなる。


しばしの静寂。


「…………」


「…………」


次の瞬間。


「討伐完了!」


レオンがぴしりと右腕を掲げ、声を張った。


「お疲れ様ー!」


ナナがぱちぱちと小さく拍手する。


「……ふん、当然だ」


リクが鼻を鳴らし、腕をぶんぶん振って余韻を誇示。


カイルは無言で、魔力量と出力残量を確認する

ジンはすでに周囲警戒中。


ズークは、遠くの木陰から彼らの様子を見て、ふっと微笑んだ。


──まったく。頼もしいにもほどがあるな。


もちろん、まだ油断はできない。

これが単独個体だったのはラッキーだったが、群れで来ることもある。


だからこそ──。


「レオン、次のエリアへ移動する。警戒は続行だ」


「了解!」


レオンの返事は、短く力強い。

その声に全員が頷き、再び森の奥へと進んでいく。


木漏れ日、風の匂い、足元を踏みしめる落ち葉の感触。

ズークは歩き出しながら、ひとりごとのように呟いた。


「さて……この調子なら、もう少し任せても大丈夫そうだな」


空には、ゆっくりと西日が傾きはじめていた。


 


──というわけで! 森の中でも大活躍なフォートレス・ドライブでした。

いやほんと、頼れる子たちに育ってるよね。

次はどんな冒険が待ってるのか、ちょっとだけ楽しみにしててね?

以上、現場からシオリでしたー♪


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ