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第5話 新しい扉8. タクミ


【シオリの声:冒頭メタ視点】


──さてさて、ズーク先生の魔法学校開校初日ドキュメントも、いよいよ終盤戦!


今回ご紹介するのは、ちょっと不思議で、どこか飄々とした男の子。

何を考えてるのか読みづらい……けど、その内側ではたぶん、思考ギアが超高速回転中。


彼の名前は──タクミ。


そして、彼が選んだのは「ピン・マギア」。

魔符に当たるたびに光と音が出る、ズーク製の安全設計・知育魔導ピンボール。


……え?

どう見ても適当に遊んでるだけにしか見えない?

ふふっ、それは表面しか見えてない証拠かもよ。


さあ、観察開始!

ズーク先生の冷静視線+シオリのAI解析で、

“隠す気ゼロの才能”が今、明らかに!


* * * * *


「……ズルン」


金属球がひとつ、魔符だらけの台にゆるやかに転がり出た。


その軌道は、まるで気まぐれな風船を追いかけてるみたいに、左右にカクカク揺れたり、

ぴょんっと跳ねたり、逆にドサッと沈んだり。


魔符に当たると、ポワッとやさしい光が灯り、軽快な音が鳴る。


ピン・マギアの特徴は、魔符の位置に魔力を通すことで光と音が反応するというシンプル設計。

けれど、魔力の流れ方ひとつで、球の跳ね返り方も加速具合も大きく変わる。


つまり──

操作次第で球の挙動そのものがコントロール可能なのだ。


「わあっ、また入った!」


ミレイナが歓声をあげる。


中央スコアホールに、球がシュンッと吸い込まれる。

カシャーン!という派手な効果音とともに、スコア盤に数字が浮かぶ。


その下で、レバーを握っているのは──タクミ。

無表情で、口笛だけを鳴らしていた。


「へぇ~、まただ……すご」


リクが呆れ気味に言う。


それもそのはず。

タクミはここまで、狙ってる様子ゼロ。

レバーをテキトーに弾き、魔力をポッと込め、球をポーンと放る。

それだけ。


それだけ、なのに──なぜか入る。

しかも連続で。


「…………」


ズークは眉をわずかに上げ、静かに観察を続けた。


“見た目は無造作、結果は精密。”


直前の動作に注目する。

魔力の流し込みタイミング、流量、角度。

一見ランダムに見えるそれは──ズークの目には、極めて精緻な「制御」に映った。


(魔力出力角、フリッパー反射角、魔符干渉タイミング……)


ズークの脳内に、魔力挙動の解析図が組みあがる。


そこへ、シオリの声がすかさず入る。


『うん、タクミくん、あれ完全に“魔力出力の微調整”できてるっしょ。

普通の子なら感覚頼りでズレまくるやつ〜』


(……じゃあ、本人は意識してやってるのか?)


『ノンノン。それが面白いとこでさ。

彼、体感で“こうすればうまくいく”ってのが染みついてるタイプ。』


(……無意識レベルで、あの精度か)


ズークは軽くうなずく。


タクミは、ただ飄々と笑ってレバーを弾いている。

けれど、その指先には明らかに、繊細な魔力調整が走っていた。

まるで意図的に設計された“反射角誘導ルート”を描くように。


「タクミ、そのレバー、どうしてそんなふうに動かしてるの?」


ズークがやんわり問いかけると──


「え? あー……なんとなく?」


少年は首を傾げ、にひっと笑った。

その目は、少し眠そうで……けれど、奥底に鋭い光が宿っている。


(感覚派の魔力精密操作……これはかなり興味深い)


ズークの脳内には、新たな研究項目がポン、と浮かんでいた。


ピン・マギアの魔符が連鎖で光り、スコアがまた跳ね上がる。


「よーし、あとで裏ステージ出してみようっと〜」


ぽつりとつぶやくタクミ。

それが冗談なのか本気なのか……ズークにはまだ、判断がつかない。


──ただひとつ、確かなのは。


この少年、想像以上に……“できる”。


ズークは、そう確信した。


* * * * *


【シオリの声:ラストメタ視点】


ほらね、見た目と実力って、案外リンクしないもんでしょ?


タクミくんの飄々スタイル、その裏側にはものすご〜く緻密な魔力操作。

まるで、ふざけてるように見えて勝率100%のポーカー名人、みたいなもんかもね。


さて次回は……もっと分かりやすく元気爆発なあの子が登場予定!

ぜったい静かにしてられない!そんな空気の予感しかしないけど。


うふふ、楽しみにしててね♡


次回:「ミレイナ」──ぶっ飛び発想と大騒ぎの魔導タイム!


またおいで。未来をひらく授業、まだまだ続くよ!


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