表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/71

第4話 はじまりの教室5. 変化


《ふぅん、たった3か月で村の空気が変わるって、やるじゃんズーク。》

《っていうかさ、そもそも村人たち、“爆発魔法=トラブルの元”って決めつけすぎだったんよね〜》

《でも今は、“魔法で畑ふかふか!” “魔法で井戸スッキリ!”って……変わり身早くない?》

《ま、うれしい誤算ってことで☆》


---


三か月。


この村の季節がひとつ巡るには、ちょうどいい長さだった。


初秋、ズリング村。

畑には冬野菜の芽が並び、井戸のまわりには子どもたちがぞろぞろと集まっている。


「せーのっ、ちょい押し! 魔力、しゅ〜っ……!」


ゴボッ!


地中から清水が勢いよく吹き上がる。


「やったぁ!」「きれいな水だー!」「ズーク先生、うまくできたよ!」


笑顔と歓声が重なる中、ズークはにっこりとうなずく。


「流量、安定してるね。魔力圧もしっかり抑えられてた。すごく良かったよ」


そう褒めると、少年たちは照れくさそうに顔を見合わせる。


その姿は――かつて、魔力暴走で器具を吹き飛ばしていた子たちとは思えない。


「変わったね、みんな」


リリアがぽつりとつぶやく。


ズークも静かにうなずく。


(“破壊”の先に、“支える”魔法を知ったんだ)


制御とは、ただ抑えることじゃない。

「どう使うか」を考え、工夫し、責任を持って放つこと。


彼らは今、まさにそれを実践していた。


そんなある日。


畑で苗の間隔を調整していたズークのもとに、村長がやってきた。


「――ズーク」


その声に、ズークはほんの少しだけ背筋を伸ばす。

なぜかこの村長、登場時の空気がいつも妙に重たい。


「……お前の教室、もっと大きくしてもいいかもしれんな」


「え?」


顔を上げると、村長は珍しく、口角をわずかに上げていた。


「わしら年寄りも、最初は正直、怖かったんだ」


「魔法なんてものは、どうせ爆発して穴を開けるもんだと思っておった」


「だが……」


村長は、ちょうど遠くの水くみ場で魔力操作をしている少女の姿を見やる。


少女は、しっかりと手順を確認し、周囲の子に小さくうなずいてから、魔力を流しはじめた。


生まれたのは、ごく小さな水の流れ。

ほんの小さな、でも丁寧に生み出された魔法だった。


「……あれは“壊す”力じゃない。“支える”力だ」


「そういう力なら、この村にも必要かもしれん。いや、必要だな」


ズークは、しばし黙っていた。


どんな講義よりも、どんな実験よりも、

その一言は、胸に重く響いた。


村長はさらに言葉をつなぐ。


「ズーク。今度、村の長老たちと話をしてみんか?」


「“教室”じゃなく、“学校”を作る話だ」


言葉の意味を理解するのに、ほんの数秒かかった。


そして、理解した瞬間――


《ほらねー! 来たじゃーん! シオリ的予測、大当たり☆》


(なんでドヤ顔されなきゃならないんだ……)


口では苦笑しつつ、心のどこかでは……確かに感じていた。


これは、ただの“拠点”じゃない。

“学びの場所”が、本当に村の一部になってきた。


変わったのは、子どもたちだけじゃない。

村人たちの“魔法”への目線も、確かに――変わっていたのだ。


---


《というわけで、ついに“学校”設立フラグ立ちました〜!》

《ま、ここからが本番っしょ。教えること、守ること、広げること――》

《ズーク、君の“魔法と科学の教室”は、どこまで伸びていくのかな?》


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ