表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/115

身分の違い

レオナルドと別れてから、イクシルートから街の

案内をしてもらった。

物珍しい食材から、装飾品までなんでも揃ってい

た。

貿易の要だという事を思い知らされたのだった。


ここが襲われて壊滅して居たらと思うと、王都

ものんびりして居られなかっただろう。


マリアは順調に攻略対象と距離を詰めているのだ

ろうか。


中身が転生者なら、好感度を上げるのなど容易だ

ろう。

それに、あの1日魅了は便利が良さそうだった。


「本当に羨ましいわ……」

「何かありましたか?」

「いえ、なんでも無いわ。ここは本当にいいとこ

 ろね。空気はいいし、海は綺麗だし……」

「そうですね。社交界に疲れた母を癒すには最適

 かもしれませんね」


イクシルートも、自分の事でデリア伯爵夫人が心

を痛めていることは知っているようだった。


最も、一番の理由は戦で亡くなった実の息子の事

だろう。


息子さえ亡くならなければ、妾の子供を引き取る

なんて事はなかっただろう。


あまりの落ち込みように、伯爵が連れてきた子供

は今では立派に育っていた。


少し女癖は悪いけれど、それは仕方がないといえ

る。


イクシルートが屋敷に連れて来られる前までは

店の客引きで働いていたからだった。


平民、下級貴族を相手にいかがわしい店に引き

込む仕事の手伝いをして居た。

幼いながらもそれで生計を立てていたのだ。


生きる為にはなんでもやる。

そんなギリギリの生活から一転、伯爵という位

を得ても、今までの癖は簡単には治らなかった。


女性への扱いは丁寧で、相手に勘違いさせる程

度に優しい。

それも、客引き時代の名残なのだろう。


「そういえば、皇女様は最近夜会に来てもすぐ

 にお姿が見えなくなりますが…何かありまし

 たか?」

「そうね……パートナーが居ないせいかしらね」

「では、是非私にその名誉を与えてくれません

 か?」


いきなり膝をつくと、ティターニアの手を取り

甲にキスをした。


騎士の誓いの証でもあるが、男女間だと目上の

人への誓いという意味合いもある。


どうせ高値の花。

頷くはずもないと思いながらもついいつものよ

うにやってしまうイクシルートに苦笑いしてし

まう。


それでも、最近はダンスを踊る相手が居ないの

も事実だった。

唯一身分的には兄であるアルベルトとこの前

踊ったくらいだ。


「そうね、今度の夜会はパートナーとして頼

 もうかしら」

「……!!」


一瞬、イクシルートの顔が驚いたように目を

見開くと、すぐに笑顔に変わった。


「喜んでエスコートさせていただきます」

「えぇ、頼むわね」


そんなやりとりを見ながら眉間に皺を寄せて

いる人物がいた。


自分には全く関係のない話だと分かってはい

るのに……それでも険しい顔がどうしても崩

せないでいた。


後ろからポンッと肩を叩かれると、咄嗟に降

返った。


「団長も誘えばいいじゃないですか?」

「……」


エミールの言葉に無言でいると、横では盛大

なため息を吐かれたのだった。


「団長!皇女様を取られてもいいんですか?」


今度はビオーナが躍起になって聞いてくる。


どうしてこう、おせっかいなのだろう。

ただ黙って見ているだけでは行けないのだろう

か?


ガゼルは子爵という爵位しかない。

前まで男爵だった彼にとって、皇女とは身分が

全く違い過ぎる存在なのだ。


陛下からの罰として、一時期とはいえ、皇女に

は黒の騎士団に同行してもらったが、それ以来

毎日のように訓練に差し入れを持って来るよう

になっていた。


ガゼルも彼女を避けるようにしていたが、陰か

ら眺める彼女はいつも笑顔で輝いて見えた。


そんな彼女の横に女癖の悪い男を置いておきた

くはない。


だからといって口出しできる身分でもない。

それだけが口惜しいのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ