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最後の攻略対象

ペリーエ港を一望出来る高台に来ると馬車を止めた。


朝は忙しなく船が行き来する為街の中はいつも人で

溢れかえっていた。


そんな中で、一番静かな場所といえば今いる場所だ

ろう。


ティータイムには一番眺めのいい場所だった。

そんな場所に建てられたカフェでは朝の優雅なひと

時を満喫出来るようにと大きめのソファーに全面硝

子ばりの壁。


朝日を浴びて綺麗に輝く海。

贅沢なほどの景色を堪能出来る空間が演出されてい

たのだった。


「静かでいい場所ですね」

「えぇ、私も気に入っているのです。母の事、あり

 がとうございます。ティターニア様が気にかけて

 くださったのだと聞いています」

「そんな事はないわ。私の信念のままに動いたまで

 よ……それに、あの時はちょっと気に入らなかっ

 たから……」


数日前にお茶会の事だろう。

ガゼルを貶したトート男爵夫人には本当にカチンと

来たのだ。


だが、あそこで、あれ以上問題になればガゼルにも

影響が出ただろう。


そんな事はティターニア自身望んではいない。

養子というだけで、下に見る貴族は多い。


だが、能力的に平民が劣っているなど誰が決めたの

だろう。


産まれたのがたまたま貴族だっただけ。

平民とて努力している人間を認めるのは当たり前の

事なのだ。


「ティターニア様は平民はお嫌いですか?」

「いいえ、平民とか貴族とか今は関係ないですわ。

 能力さえあれば、取り立てる。それが政治という

 ものでしょう?」

「ご立派な考えです。やはりティターニア様は……」


イクシルートは母に言われるがままティターニアの

エスコートを引き受けた。


だが、今日はその事に心から感謝していた。


王族なのに奢らない。

そして、平民にも平等に出世の機会を与えてくれる。

こんな人を、今までどうして勘違いしていたのか…

……と。


街を案内している時は常にイクシルートとティター

ニアは近い距離にいた。


護衛は常に側に控えている者だった。


「ガゼル様、ご一緒にいかがですか?」

「いえ、護衛が仕事ですので…」

「硬いですわね。分かりましたわ。騎士団の皆さん

 にも席についてもらいましょう」

「いえ、それでは護衛が……」

「イクシルート様、ここは安全ですよね?」

「えぇ、勿論です。ですからくつろいでいただいて

 もなんら問題ありません」

「そういう事です。ガゼル様」

「……」


頑なに立っていたガゼルは、戸惑うように顔を歪め

ると、護衛の騎士達と席についてティータイム用の

紅茶とケーキに舌鼓みをうったのだった。


そんな姿を見て、イクシルートはティターニアの事

を気に入っていったのだった。


この時期、他国からの積荷がペリーエ港に入ってく

る。

大型船の入港は今日の予定だった。


間近で見るだけでも迫力がある黒船は金を至るとこ

ろにあしらっており、黒と金がより豪華に見せてい

た。


大商人レオナルド・ハリントン。

彼の登場シーンだった。

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