各々の出発
アルベルトの発言によって、物語は急展開する事
になる。
各貴族の反発だった。
そしてそんなタイミングで、地方から伝染病が多
発し始めたのだった。
黒死病と名付けられたその病も、一度治療が出来
た事から、神殿はすぐに貧しい村へと派遣した事
で、大きく広がる事はなかった。
本当なら、ここで主人公マリアと攻略者が一緒に
黒死病を克服するのが決まりだった。
だが、前にティターニア皇女が治療した事で、
治る病としても認識が強くなっていた。
その為、治癒魔法と浄化魔法の使い手のマリアが
抜擢されたのだった。
時を同じくして王都を出たティターニア達とは別
にマリア達も王都を離れたのだった。
その、マリア率いる白の騎士団は目下、黒死病が
蔓延しているという村に向かう事となったのだっ
た。
ティターニア皇女と黒の騎士団ガゼルを中心とし
た数名は護衛をしながら馬車の横に馬を走らせる
事3日間。
途中野営をしながらたどり着いたのはペリーエ港
の側にあるデリア・フルール伯爵夫人の邸宅だっ
た。
王都にある貴族邸とは全く違い、大きく豪華とい
うより、使いやすさと商人の荷馬車が入りやすい
様にと工夫された作りになっていた。
王族や貴族を迎えるような入り口は別にあると言
っていたが、ティターニアはあえて普通の門から
入ることにした。
今回の訪問は表向きフルール地方で取れるワイン
事業の出資というのが目的だったからだ。
「ティターニア様、着きました」
「えぇ、ありがとう」
馬車が止まると、業者がドアを開ける。
目の前には、一番位の高いガゼルが手を差し出し
ていた。
久しぶりにまっすぐ目を見た気がする。
最近、ずっと避けられていた気がしたので、実は
寂しかったのだ。
「ありがとう、ガゼル卿」
「いえ……」
ティターニアに続いてルシアにも手を差し出す。
着いてすぐに出迎えてくれたのはイクシルート・
フルールだった。
先に戻ってきていたらしい。
妾の子供といえど、後継ぎなのだ。
伯爵位を持つ唯一の後継者と言える。
その後ろに、お茶会であったご婦人が立っていた。
デリア伯爵夫人だ。
「この度はお招きありがとうございます。デリア
伯爵夫人」
「ティターニア皇女殿下自らいらしてくださるとは
失礼なきよう気をつけなくてはいけませんわね」
「いえ、気軽に接して欲しいですわ。今日は観光も
兼ねておりますゆえ。それと…イクシルート卿ま
で…王都でのお仕事は大丈夫なのですか?」
苦笑いをするイクシルートにデリア伯爵夫人はただ
微笑むばかりだった。
夕食時に落ち目になってきたワイン事業の再編計画
話し合うと、それぞれ納得いく見解をみる事となった。
「なるほど…夫にもそんな事は言われなかったわ」
「そうでしょう。ワインといえど、苦手に思う人も
いますし、誰もが呑みやしいものではないのです。
ですので、それを手に取りやすいコストと、味を
いじるのも悪い事ではありません。実際に他の地
方に卸すものから試してみるのはいかがですか?
それにかかる予算はこちらで負担しますわ」
ティターニアの申し出は、衰退し始めていたワイン
事業にとって、新たな革新をもたらす事となる。
いくらゲームの中といえど、人の暮らしは変わらな
いのだった。




