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ティターニアの戦略

夜の庭園は静かで閑散としていた。


ティターニアの魔法は回復に特化しているが、実際

には光魔法に属していた。


「ライト」


無数の数の小さな光を灯すと庭園内が神秘的な色合

いを持つ。


「すご〜い……綺麗です」


ルシアは嬉しそうに目を輝かせている。

メイドを呼ぶとお茶を持ってくるように指示した。


庭園内にはハウスが作られており、その中にはテー

ブルとベンチが置かれている。


花を眺めながらゆっくりする為に置いてあるのだが

一回も使われていない。


シグルドと一緒に眺める為にティターニアが設置し

たらしいのだが、肝心のシグルドと見にくる機会が

そもそもないのだ。


小さい時に数回、ここの改築をした時に来たくらい

で、その直後シグルドの母が亡くなり。

慌ただしい中、一緒に来る機会を失ってしまったの

だった。


「皇女様の魔法は本当に素敵です」

「こんなものなんの役にも立たないわ」

「そんな事ないです。すっごく優しい魔法です。誰

 かを傷つけることのない魔法……羨ましいです」


ルシアは俯くと少し悲しそうな顔をする。


「ルシア様はご自分の属性がお嫌いですか?」

「それは……」


聞かなくても分かる。

なぜならルシアの属性が闇属性なのだ。


人を魅了して自分の傀儡にする。

それがルシアが持っている属性だった。


それを知っているのは兄と父親だけだろう。


王家に連なる者が闇属性などあってはならないか

らだ。

多分、それで籠絡してこいと言われたのだろうが、

アルベルトの属性は光属性だ。

ティターニアと一緒で闇属性が全く効かないのだ。


確か、アルベルトに使ったが全く効かず落ち込む

シーンが描かれていた。


「闇属性って事は護りに特化していそうね」

「護り……ですか?」

「えぇ、光は回復に。そして闇は護りに。影は操

 れて?」

「えぇ、少しは……」

「なら、護衛に最適な魔法ね」


ティターニアは平静を装いながらルシアを諭す。

自分の魔法を否定してはいけない。

なぜなら魔法とは心の持ち方で変わってしまうか

らだ。


自分を飲み込み、膨れ上がれば暴走してしまう。


どんなに強い意志を持っていても、少しの揺らぎ

で簡単に変わってしまうのだ。


「私……初めて言われました。護る為の魔法かぁ」

「もし、不安ならここにいてもいいのよ?私と共

 にここに残るという選択肢もあるわ」

「ティターニア皇女様……」


ルシアの心はとても揺れていた。


兄からの命令はちゃんとこなした。

でも、本当にこれでよかったのか疑問だった。


あの騎士様と踊って、何か変わるのかしら?





ダンスホールでは、予想外の出来事に戸惑うラシ

ウスがいた。


シグルドとダンスを踊るように妹のルシアに勧め

それを一番よく見える場所へと皇女を誘導したま

ではよかった。


が、皇女はそれを見ても無反応だった事だ。


暴れるどころか、聖女の乱入を許してしまった。


逆に聖女をうまく使おうとしたが、あまりの単純

娘なせいか、思いどりに行かない。


本当に忌々しい限りだった。

ダンスが終わった頃には、ルシアの姿は見当たら

ず、ティターニア皇女さえも見失ってしまってし

まったのだった。

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