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公国の陰謀

謁見の間へと案内されると、シグルドは後ろ

に下がった。

ドアだけ開けるとお二人を中へと招き入れた

のだった。


中には陛下をはじめ、アルベルト皇子の横に

は大臣達がずらりと並んでいた。

その中でも一際目を引くのがアルベルト皇子

とそっくりな金の髪をした女性だった。


整った顔立ちに、非の打ち所がないほどの綺

麗な立ち振る舞い。

凛とした視線に、男女問わず、初見で会えば

ドキリッとしてしまうほどの美貌の持ち主が

参列していた。


ラシウスの視線がティターニアへ向いたまま

暫し固まると、横でクイクイっと服をひっぱ

って来るルシアがいた。


すぐに我に返るとお辞儀をして礼を正したの

だった。


噂では、人前に出せないくらいの傍若無人ぶ

りに、国の中でも大層困っていると言われて

いた。


ただの噂なので、真実とは限らない。


「この度、セイクリット公国より父の名代で

 まいりました、公国が長息ラシウス・セイ

 クリットと申します。これは妹のルシアに

 ございます」

「おぉ、よく来たな。歓迎するぞ」

「ありがたきお言葉…。父に代わってお礼申

 しあげます。父より、持たされたモノをこ

 こに…」


後ろから従者達が運び込んできたのは、この

国では取れない、貴重な品々だった。


高価で、簡単には手に入りずらいモノばかり

だった。


これほど豪華なものを貰っておいて、何も返

さないわけにはいかない。


この訪問は明らかに妹のルシアを輿入れさせ

る目的があるように思える。


ティターニア皇女ですら分かる事を、大臣並

びに、国の根幹を成すお偉いさんが見抜けな

いはずはなかった。


「これは素晴らしいモノだ。ゆっくりとして

 いくといい」

「ありがたきお言葉。痛み入ります」


下手にでてはいるが、これも作戦のうちだろ

う。


騎士団に護られる中での謁見を終えると来賓

の部屋へと通されていく。


ラシウスは列に並ぶ、ティターニアをチラリ

と見ると、でて行ったのだった。


案内されたのは、実に豪華な部屋だった。

横の部屋へは妹のルシアが案内されていた。


コンコンッ


というノックが聞こえるとラシウスは顔をあげ

た。


「どうぞ」

「お兄様、よろしいですか?」

「あぁ、入っておいで」


さっきまでの緊張が消えて、妹の前では優しく

笑う。


「此度の事で父上から何かあったのですか?」

「どうして?」

「それは……私なんかがこのような場に出るな

 ど滅多になかった事です。そして、この場に

 行くように言われた理由はもしや…」

「あぁ、そうだな。父はルシアにこの国の皇子

 である、アルベルト殿下を誘惑して来いとい

 う事だろうな。できれば帰って来るなと言う

 意味もあるだろう。」

「……やはり…」


賢いルシアにとって、予想はついていた。


父からの命は実に簡単なものだった。


ルシアがアルベルト殿下の元に残るか、帝国の

皇女と問題を起こして命を落とすか……。


最後のは、知りたくなかった。


他国で要人が死ねばその責任を負う羽目になる。


そして身体の弱いルシアには最適な役目だった。



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