初めてのダンスパーティー
結局、古代の神物は調査団によって詳しく研究さ
さた結果、手に負えない代物だと判断され、今は
壊れて動かないのだと定義されたのだった。
そして、動かないものは宝とは呼べず、ティター
ニアの手元に渡りガゼルへと届けられた。
「あと一つあるのね……でも、どうしたらいいの
かしら……」
自力で行ける距離ではない。
それに護衛なしに行ける場所でもなかった。
「いっそ、遊びに行くついでに寄るというのはあ
りなのかしら……」
なんとしてでも、手に入れなくてはならなかった。
これは推しの運命がかかっているのだ。
ゲームでは明かされなかった、新しいストーリー。
これを一回で成功させなければならなかった。
なぜなら、この世界にはリセットボタンなどない
のだから。
無事に神物を持ち帰り、祭壇までをも持ち帰った
功績によって、今日の夜に行われるパーティーに
はぜひ、黒の騎士団も参加するようにと通達が行
った。
だが、ガゼルの重い腰は上がることはなかった。
それでも、ビオーナだけが喜びながら皇女の部屋
へとついて来ていた。
「こちらが衣装部屋よ。好きなドレスはある?」
「ドレスってこんな薄い生地なんだぁ〜、これで
踊るの?」
「えぇ、ダンスは興味あるの?」
「うん、すっごく優雅に踊っているのを見て、私
も踊ってみたいなって…」
「そう、じゃ〜みんなを驚かせるくらいに綺麗に
しなきゃね?」
ティターニアに誘われるままに、ドレスを試着した。
「私じゃ似合わない……かな…」
「そんな事はないわ。ちょっとメイドを呼ぶわね」
手を叩くと、側付きのメイドが入って来た。
そして、ビオーナの腰にコルセットを巻くと、ぎゅ
っと締め付けたのだった。
悲鳴をあげて耐えていたが、そのうちミシミシとい
う軋む音に恐怖を覚えたらしい。
それでも、コルセットのせいかだいぶ様になった。
誰もが振り向く絶世の美女であるティターニアの横
に並び立つのだ。
念には念を入れて化粧もさせてもらった。
原型が分からないほどに、見違える程の美しい女性
へと変貌したのだった。
そのままパーティー会場へと一緒の向かった。
そこには多くの紳士、淑女が待ち構えていた。
「すごーい……料理も美味しそう…」
「ビオーナ、料理は食べられないわ」
「皇女様?どうしてですか?」
「それはね……食べてみれば分かるわ」
そう言われて、ビオーナが皿に一切れの肉を乗せ
ると口に運んだ。
ごっくんと飲み込むと、胸の辺りがキュウっと締
まった。
「んんっ?」
「でしょ?コルセットをしたままだと、飲み物し
か受けつけないのよ」
「そ……そんなぁ〜」
パーティー会場には色とりどりの料理が並べられ
美味しそうな匂いが漂っていた。
「食べられないなんて……」
女性ならヒラヒラしたドレスは一度は着てみたい
ものだろう。
だが。それと同時に豪華な食事にもありつきたか
ったらしい。
残念がるビオーナを慰めながら、後で部屋に持っ
てきて貰うという事で、今はなだめたのだった。




