もう一つの神物の行方
グリズリーの中に一体だけ、強い個体がいた。
それはあの時見たような黒い影が纏わり付いた個
体だった。
泉の中央で息絶えようとしていた魔物もそうだっ
た。
もしかしたら、あの祭壇の側にいたせいで……?
影の尖兵と化したのだろうか?
それなら、どうしたらよかった?
考えれば考えるほど分からなくなるばかりだった。
そんな折、調査団の一人が自分の予想を語りだした。
「これは私の個人的な考えなのですが……あの祭壇
は神物を祀っていたのではないですか?それが汚
れてしまいあのような形になってしまったと…」
「それはどう言う事かね?」
「ですから、浄化の神物だったのではないでしょう
か?たまたま反転してしまったと言うわけです」
確かにあり得ない事ではなかった。
では、もう一つはどこに?
そして、思い立った場所が一つだけあった。
それは、このゲームのパッケージにも書かれていた
場所だった。
パッケージの奥に小さな祭壇が描かれていたのだ。
それに気づいた時、実際の祭壇が出てきて驚いたも
のだった。
ペリーエ港。
そこに面した洞窟の中が描かれていたのだった。
どうやって気づかせればいいかしら……。
「最近で国に影の被害届けが来ているところはあ
るかしら?」
ティターニアが言葉を発すると、それに応えるよ
うに、調査団の一人が答えた。
「ペリーエ港が………」
「そこよ!きっとそこにも同じ物があるかもし
れないわ」
本当に勘としか言いようがなかった。
強いて言えば、パッケージの絵柄だからと言い
たいが、それをここでいっても誰も信じないだ
ろう。
もう、押し切るしかない。
「私をペリーエ港へ連れて行って!そうすれば
分かるわ」
「皇女様、それはなりません。あそこは昔から
このカストラール帝国をよく思っていない連
中が多くいる地域だ。そんな場所に行かせる
わけには…」
「私には騎士団がついているじゃない。それな
ら問題ないでしょ?」
問題大有りだと言わんばかりの大臣達の反対は
その場の全員の一致で、ティターニアの意見は
却下されてしまったのだった。
「もう一つの神仏を私が欲しいのよ、ダメかし
ら?」
いきなりの言葉に、その場の全員が唖然となった。
皇女のおかげで今回怪我人も出なかった。
それに、古代の神物は何をどうしようとも反応し
なかったのだった。
そして、壊れている。
そう結論づけられたのだった。
実際はまだその時ではなく、反応しなかっただけ
なのだが、実際に使いかたを知らないのはティタ
ーニアとて同じだった。
そしてもう一つが手に入った時、何が起きるのか?
もし、浄化の神仏なら、もしかすると最悪のシナ
リオを回避できるのではないだろうか?
そして、これを持つべき人というのは、黒の騎士
団長であるガゼルが最適であると言う事も、今は
ティターニアしか知らない事だった。




