神物の行方
調査団はこの場所を重視的に調べると、古代の神物
である、このベンダントを調べ出す。
そして、これが大昔に魔の者を封じ込めたアイテム
なのだと結論付ける事になる。
「これは……実に素晴らしい」
「しかし、なぜこのようなものがここに?」
「そもそも、この祭壇は何に使われていたんだ?」
その場で考察が始まる。
機械を通して構造をみる。
実に繊細にできており、落としたりでもしたら欠
けてしまいそうな程だった。
が、実際は違っていた。
頑丈で、分解出来ないほどの強度で作られた物だ
ったのだ。
まずは祭壇ごと持ち帰ろうとなって、荷馬車に運
び込むと、そのまま帰路に着いたのだった。
まず調査団の見解はこうだ。
祭壇にあったのは古代に作られた遺物である事。
長年の劣化はあるものの、何かの重要な物だとい
う事。
どう言うわけか、そこから出ていたモヤが消えた
ら、側にいるだけで暖かい気持ちになるという事。
モヤが出ていた時は、不快感しかなかったのが、
嘘のようだった。
そして、もう一つ大事な事があった。
これは、一つではないと言う事だった。
「一つじゃないですって!」
ティターニアが驚くのも無理はなかった。
それはゲームの途中で見つけたアイテムだった
からだ。
最初、主人公のマリアはこの調査に同行すると
いう選択肢は出てこないのだ。
3週してやっと、新たな選択肢が出てきたのだ。
そこでやっと古代の神物の存在が明らかになる
のだった。
なので、まさかまだあるとは思わなかった。
「であるからして……この世界のどこかにもう
一つ同じ類の物があると思われます」
陛下の前で堂々と言ってのける調査団のメンバ
ーに、少し戸惑いを覚えた。
「では、それは宝物庫にでも入れておくか?」
「はい、そのように……」
これはダメだ。
それは大事にしておく物ではない。
使ってなんぼのものなのだ。
「お父様、それはいけません。もし、それと同
じ物がもう一つあるのだとしたら、持ってい
ればなんらかの反応をするのではありません
か?」
捲し立てるようにティターニアが言うと、陛下
はうんうん、と頷いたのだった。
「では、どうする?」
「はい、それはガゼル団長が持つべきです。先陣
切って戦うような人です。きっともう一つも見
つけ出すと思いますので……」
これは嫌味ではない。
本当にそう思っているのだった。
ティターニアの後押しで、古代の神物はガゼルの
手におさまったのだった。
「これは皇女様が預かれば良いのでは?」
「いいえ、それはきっと、将来ガゼル様が必要に
なると思いますわ。これは私の勘…ですわ」
そう軽く言うと、クスッと笑った。
あまりに美しく、気高く感じたのだった。




