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真実と報告 3  

遅れる事数日後。

ティターニア皇女の体調が回復し、やっと村を出

発したのだった。


行きもそうだったが、野宿の度に川から魚を取っ

て来る皇女の持つ奇妙な道具が気になっていた。


「皇女様、それは…?」

「ガゼル様…えっとこれは電流を流す器具です。

 こうやって水の中で電気を流すと…魚が気絶し

 て水面に浮かぶんです」

「死んだのか?」

「いえ、ただ気絶しただけです。ピリピリして動

 けないだけなので、暫く放置しておくと逃げち

 ゃいますよ?」

「あぁ、そうだったな。捕まえてこよう」


川に入ると、ガゼルは水面に浮かんだ魚を掴んで

はかごに入れていく。


あとは串に刺して火を起こせば簡単に焼き魚が

出来上がる。


新鮮だからこそ骨もポロポロと取れて、食べやす

かった。


もちろん皇女が手づかみというのは、はしたない

と思うかも知れないが、ここは王宮ではない。


その場にあった所作というのもがあるのだ。


「皇女様と一緒だと新鮮なお魚が取れて、役得で

 すね!」

「ビオーナったら…煽てても何も出ないわよ?」

「いえいえ、事実を言ってるんです。だって、干

 し肉とお湯のようなスープが野営の定番だって

 いうのに、今はこーんな豪華になってるんです

 よぉ〜」


スープにも魚のエキスが入って、しかも具として

も出汁が出て美味しい。

焼き魚も塩を振るだけで美味しくたべれた。


「そうね、新鮮だからこそ、こんなに美味しいの

 よね……」

「意外です……てっきり野営の食事に文句でも言

 うかと……」

「そうね、でも…野営で王宮のような食事を求め

 ても無理でしょ?それは私でもわかってるわ」


ガゼルが意外そうに見つめて来た。

あまり見つめられると、恥ずかしくなってくる。


だって、今じっと見て来ているのは最推しなのだ

から。


テントは流石に上手く張れなかったので、手伝っ

てもらった。


見張りは交代でやる事になっていた。


「皇女様は、先に寝てください」

「私は大丈夫よ?」

「皇女様は病み上がりなんだから〜、団長も気を

 使ってあげてはいかがですか?」


ビオーナが言い出すと、それに追従するように他

の団員も頷いたのだった。


ガゼルもそれ以上は何も言わず、団員で見張りの

順番を決めていた。


ティターニアとて、ガゼルと一晩中一緒にいられ

るのなら、本望だと考えていた。


が、眠気には勝てずテントに入ると、寝てしま

っていた。


朝、ガゼルの話声に目を覚ますと、すぐに顔を

洗うと出てきた。


「おはよう、ガゼル様」

「あぁ、よく寝られたか?」

「えぇ、とっても…」

「それはよかった。すぐに朝食にしてから出発

 するからそのつもりで準備しておくように…」

「はい♪」


ガゼルは朝から機嫌のいい皇女に少し不思議そう

な顔をしていたのだった。

周りでは、その様子を眺めながらほっこりして

いた。


きっと、皇女の嬉しそうな笑顔が誰に向けられ

ているのか、わかっているからだろう。

こうして朝食後、すぐに出発したのだった。

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