後片付け 2
魔物の死体は骨だけになっており、近くには大き
な魔石が転がっていた。
このまま放置しておいたら、きっと近くの動物達
が荒らしていたに違いない。
調査に入ると、今まで出会った影の尖兵達とは少
し違っていた。
今までは狼の形をした黒い影で、切るとその場に
真っ黒な血を残して崩れ落ちてしまう。
だが。
今回はしっかり骨も残り魔石さえも残っている
それに、息をしていたのだ。
影の尖兵は息づかいなどしていない。
だからどこから来るかわからないのだ。
なのに、今回ばかりは違っていたのだ。
骨には切り傷以外にも噛み跡が残されており、熊
程の大型の動物が魔物化して、それを影に取り込
まれたと考えるのが正しいだろうと結論づけられ
た。
水も問題なく、飲める事が分かると村に伝達して、
家庭での生活用水としての利用が解禁されたのだ
った。
「さすが騎士様、助かりました」
「やっぱり王都の騎士様は違うな」
「この村の救世主様だな」
村をあげて歓迎されたのだった。
ただ、一人を除いて……。
夜になってもまだ眠っている皇女は、村の女医が
ついている。
たとえ、女医がついていようと、魔力枯渇なら治
しようがない。
自然に回復するのを待つしかできない。
眠っているティターニア皇女は美しく、今にも目
を覚ましそうだった。
「まだ、目覚めないのか?」
「騎士様……はい、なにぶん魔力は完全に空にし
てしまうと、回復が遅れてしまうと言われてい
るので……それに同じように魔力を持っている
者がいれば……どうにかできるのですが……」
「……すまない……我が騎士団には……」
「いえ騎士様が謝ることでは…村の為に頑張って
くれたのですから……」
ガゼルは歯痒かった。
自分では何の力にもならないと言うことに。
もし、ガゼルが貴族で、魔術が使える騎士だった
のなら……。
もし、今居合わせているのが、シグルドだったな
ら……。
悔しいが、すぐに対処ができただろう。
いや、そもそも皇女に無理はさせなかったかもし
れない。
そう思うと、今回の評価は素直には喜べなかった。
村では豪華な宴を催してくれた。
が、ガゼルは皇女のそばに腰を下ろすとただじっ
と眺めるだけしかできなかった。
「騎士様、食事を持ってこさせましょう」
「いや、俺は……」
「いいえ、しっかり食べて看病しなくては!看病
と言うのは結構重労働なんですよ?」
女医は笑うと、食事を運んできてくれたのだった。
ただ月明かりの中眺めると、あの暴言皇女とは思
えないほどに、落ち着きをはらっていた。
そういえば最近の彼女を思い起こすと、前の様な
横柄な態度は見ていない。
礼を持って接する彼女を少なからず、認めている
自分に気づいたのだった。




