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遠征先での問題   

ガゼルは遠征先の村に着くと、まずは現状の報告

を受けたのだった。


「では、この村には黒死病の患者が出ているとい

 う事ですか?」

「はい、半年前に黒い影のような魔物が襲ってき

 て、村の半数の男達は怪我を負いました。それ 

 から、村の女達も手足が黒ずみ、起き上がれな

 くなっていったのです。どうか助けてください」

「まずは物資を持ってきたので、その後で近隣の

 調査を始めます」

「それと……最近川の水が赤黒くなっているのです」

「水が?それは……ここは川が近いので物資に水は」


ガゼル達が運んできた物資に水は含まれていなか

った。

それに村の大半が動けない状態などとは聞いては

いなかった。


こんな事なら、途中で汲んでくればよかった。

だが、今更戻るにも距離があるし、外も暗い。


今から森へ戻るには危険過ぎる。


ふと、振り返ると皇女の姿が見当たらなかった。


「おい、皇女様は今どこにいる?」

「それでしたら、先ほど村の子供と一緒にあそこへ

 入って行かれましたが?」

「村長、あそこは?」


指さされた場所を聞くと、村長は目を伏せると、言

いにくそうにつぶやいたのだった。


「黒死病の患者を集めた場所です」

「なっ……すぐにいくぞ!」


ガゼルは慌てるように部下を連れて中へと急いだ。


まさかとは思うが、皇女の暴言はよく知られた事

だった。

こんな所でいざこざなど御免だと思ったからだ。


外からでも、住民の泣き声が聞こえてきている。

悪い予感が当たったのかとドアを開くと、そこに

は黒死病の患者などおらず、ただ何人もが泣き腫

らしていた。


「これは……一体……」


続いて入ってきた村長が驚くような顔でガゼルを

見上げた。


「なんという事だ……患者が……」


死を待つだけの病だったはずの黒死病。

だが、これは回復魔術師と浄化魔法が使えれば治

癒可能なのだ。


だが、それが分かったのは今から一年先の事だっ

た。

マリアが聖女として認められた時に分かったとさ

れていた。


「ティターニア皇女、貴方は一体……」

「ガゼル・トート卿。やっといらしたのですね……

 みなさん、聞いてください!この病は治るのです

 黒の騎士団がみなさんの病を治す為に私に治癒魔

 法を頼んだのです。」

「ティターニア皇女っ!」

「感謝するのは、私ではなく、黒の騎士団です。彼

 らでなかったら、治らなかったはずです」


あながち間違ってはいない。


聖女候補達の浄化魔法では影の尖兵は倒せても病ま

では直せない。

だが、これは治癒と浄化を併用する事で完治されら

れるのだ。


まだ、未知とされている治し方なのだ。


ここで、貢献を稼ぐのもいいかもしれない。

ガゼルはいつも自分の身分を負い目に感じている。

なら貢献を立てさせて身分を保証させればいいのだ。


本当ならマリアが受けるはずの勲章だが、ここはマ

リアには自力で何かをやり遂げてもらおう。

そう思うと、村人の感謝の対象が黒の騎士団へと向

くのは、必然だった。

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