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これからの計画

ティターニア皇女に誘われるまま、初めてのダンス

を披露する事になった。


練習はしたが、実際にパーティーで踊った事はない。

まさか最初の相手がティターニア皇女とは思いもし

なかった。


「どうかしましたか?」

「いえ……俺は……ダンスは初めてだったので……」

「そうなのですか?すっごく踊り易かったですわ。

 上手くリードしてくれたので……」


ティターニアは嬉しそうに笑った。

無邪気な笑顔は作り笑顔とは比べられないくらい

に人の目を引いた。


「あの……俺はこれで……」

「では、私も一緒に抜けようかしら?」

「いえ、それは……」

「ふふっ……ガゼル様が居ない場所に一人でいろ

 とおっしゃるのですか?」


あまりにもちゃめっけたっぷりに言うので、ガゼ

ルは動揺して困ってしまった。


これ以上は虐めても仕方がないと思ったのか、言

葉を訂正した。


「化粧直しに行くだけです」

「あぁ……なるほど……」

「一緒に抜けようと言う意味で捉えてしまったか

 しら?」

「それは………」


そんな言葉を素直に間に受けるのはガゼルくら

いだろう。


これは女性が男性を連れ出す誘い文句なのだと

前にデボラが言っていた。


だが、ガゼルは言葉の通りにとっている気がす

る。


「では、これで…」


それだけ言うと、ガゼルは本当に会場を出て行

ってしまった。


耳まで真っ赤にしながら去っていく後ろ姿を眺

めると、どうしても追いかけたくなってくる。


「本当に抜けちゃおうかしら……」

「それはダメだ。お前は何を考えているんだ?

 一緒に入ってきたフルール卿が探していたぞ」

「……そうだったわね」


そういえば、パーティーでのエスコートを頼んだ

のをすっかり忘れていた。


途中で、ガゼルの兄であるハニキス・トートの暴

言に苛立ってわざと目の前でガゼルをダンスに誘

った。


もちろん、踊ってくれるかは賭けだった。


トート卿からは全くマナーを教えられていないの

はわかっていたので、もしかしたら踊れずに断ら

れるかもしれないと考えていた。


だが、一応最低限のマナーは知っていたらしい。


兄のアルベルトはわざと、ハニキスに絡み嫌味を

言っていた。


その間にも、妹のティターニアは悠々とダンスを

踊っていた。


「さっきの黒の騎士団長だろ?傭兵あがりって聞

 いていたが、ダンスは踊れるんだな?」

「元平民は気に入らないですか?」

「いや、そんな事はない。だが、兄の方は気に入

 らないな…」

「それは同感ですわ。彼を私の守護騎士にできない

 かしら?」

「なに?守護騎士に?だが、身分が…」

「でも、功績は申し分ないでしょう?それに、たか

 が爵位を一個あげたくらいじゃ足りないと思わな

 い?」


前の功績はシグルドが持って行ってしまった。

だからと言って、もう一度与えるには元平民という

のがネックになる。


貴族達は絶対に反対するだろう。

だが、皇女の我儘ならなんとでもなるのだ。


そして、皇女の守護騎士となれば、なおのこと身分

が確立し、爵位を与えたとて問題にはならない。


「そこまでするほどの人物なのか?」

「えぇ、そうね。彼はきっと民の為に動いてくれる

 人よ。これからも、もっと大きな功績を立ててく

 れるわ」

「ふ〜ん。なら、そう辞令を出すように手配しよう」

「ありがとう。お兄様」


アルベルトはティターニアに約束すると、戻っていく。




このあと、セイクリット公国の王族を助けて国を頂く

という陛下の考えが実現していくのだが……。


それにはどうしても今、目の前に来ている脅威を振り

払う必要があった。


それは国中を占領している影の尖兵達だった。

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