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グッジョブ・ブレイバー  作者: 語屋アヤ
第一章 勇者は夕闇<ハザマ>に覚悟する
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第5話『いつからこの物語が剣と魔法のファンタジーだと錯覚していた?』★サシエ

 異世界で割った皿の数なんて覚えてねえ! と豪語してたらコック長に通算百枚記念と言われて出禁にされた。

 その日のうちに王様からのお呼び出しを受けて再びの謁見の間へご招待である。今度こそ怒られるかと思ったら、むしろ上機嫌で出迎えられた。


「お主にも立ち会う権利はあろう」


 と言われ他の貴族達と共に並ばされて、周囲からの視線が刺さる。イケメンへの嫉妬はよしたまえ。

 なんてことを考えているうちに、召喚初日の俺と同じく、セシルたんに伴ってそいつは現れた。


「ほう……」


 誰ともなしにそんな声が漏れた。俺とは到底比べるべくもないが、それなりに整った顔立ちをしている。

 新たな勇者が丁度俺のいる位置を通り過ぎようところで、


「キャー! セシルたーん! 今日も愛らしいよおおおお!」


 注がれる視線がナイフの如く鋭利になった。

 ああん? 何となく状況を察してもバックレなかったのは、セシルたんの晴れ姿を拝むために決まってんだろーが!

 王様がこっち見ながら咳払いしてる。のど飴をご所望か? 残念だったな、俺がペロペロするのは幼女だけだ。幼女愛好家(ベジタリアン)だからな!


「今度の勇者殿は女性かね」


 眼前に到着して膝を付いたセシルたん達に、気を取り直して国王が言った。

 耳を覆う程度の短髪で、胸は無いとは言わないが手の平に収まるサイズ感。

 着てるセーラー服とまだ幼さの残る雰囲気から、年は俺より一つ下ぐらいだろう。というかまたジャパニーズかよ。


「はい、ええと……呉乃(くれない)あかりと申します!」


 あかりと名乗った少女はあたふたとしながらも元気よく名乗った。


「ではお主が真の勇者足り得るか、我々に見せてくれ」


 二度目の勇者召喚。もう絶対に失敗できない。

 セシルたんも落ち着いているようでいて、かなり緊張している様子だ。


 わかるぞ。ここ至るまでで俺はすっかりセシルたんソムリエになったからね。ちょっと見ただけでセシルたんはすぐ丸裸さ。

 たっくんアイは透視力! いやさ大丈夫。くーまんは紳士なので、ちゃんと不思議な光がコンプライアンスを遵守するので衛兵案件ではない。


 フハハハ! 見える見えるぞ。何だったら毎日起きる時と寝る時には、セシルたんがいると思う方に一礼しているからな!

 死ねばよろしいかとだって? 俺は生きる! セシルたんとロリ婚するために!


「わかりました国王様。アカリ様、先程ご説明した通りにお願いします」


「う、うんっ」


「大丈夫だよ! セシルたん! 俺が付いているから!」


 俺の熱い応援と眼差しを、セシルたんは半目で受け取った。

 ああ、愛する人のエールでもセシルたんは完全に緊張を解きほぐせない。こんなにも彼女を追い込んだ者は誰だ! 俺ですね。知ってる。


「え、えと……?」


「あの人は突如不規則な音を出す置物だと思ってください」


「あ、はい……」


 あれは置物としていつだって部屋に置いておきたいという切り返しだね。

 きっとベッドには俺を模したぬいぐるみを置いて、毎晩抱いて眠っているに違いない。もう、言ってくれれば本物がいつだって抱き枕になってあげるのに。奥ゆかしい子だなあ!


「すーっ、はぁ……行きます!」


 セシルたんのオマケは深呼吸してから、一週間前に俺がここでそうしたように、ジョブドライバーを起動。魔石の映像をディスプレイに映し出しながら叫ぶ。


「転身!」


 彼女の声に反応するよう魔石が弾けて、足元に魔法陣が展開した。


≪Good Job! Braveeeeer!!≫


 激しくシャウトするような音声がドライバーから響き、魔法陣が高速回転を始め、湧き上がる光が彼女の体を包み込んだ。

 発光は瞬間的なものですぐに霧散すると、そこには鎧を纏った少女の姿があった。


勇者(ブレイバー)……?」


 彼女が装着したジョブの名はブレイバー。

 勇者を冠されたアーマードジョブ――装着する職業だった。


 それは一般的に連想する勇者やファンタジーの鎧とはあまりにかけ離れている。

 全身甲冑(フルプレートアーマー)とは違い、動きを阻害しないボディスーツ。

 スーツの各所には装甲パーツが取り付けられており、それが戦闘特化であることを知らしめている。

 そしてその色合いは、まるで太陽の輝きを連想させるようだった。


 フィクションでなら見慣れた近未来的なデザインの装甲は、けれど見たことのない言語のマントラや、アーマーの上に浮かぶ魔法陣といった意匠が施されている。

 それがどういった機能性を持つのか俺には知る由もないが、まるで己の力を誇示しているように見えた。


 髪も明るく変色し一部が伸びていて、瞳も綺麗に澄んだ青色(ブルー)

 足元の魔法陣から発生している力場が装着しているマフラーを靡かせる。

 絵に描いたような正義のヒロインがそこにいた。


挿絵(By みてみん)


「俺の知ってる勇者と違う……」


 俺は湧き上がる感情に任せて思わず言い放った。

 国王様ですら、まるで少年のように目を輝かせている。


 とはいえ、だ。これで重要な現実が一つ確定した。

 今日この瞬間、俺は正式に勇者の役目をもう一人の召喚者に奪われた。よっしゃ!!!!


Illust:Yum 様

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