第11話『真昼の大根RUN!!』
ダイコン。日本料理会においてメジャーもメジャーな、白くて太いアイツである。
ダイコンの起源は古く、確認されているだけでも古代はエジプトからニンジンやタマネギと共に人々から親しまれていた。
そんな彼が中世ヨーロッパ(笑)風異世界にも存在していたとして、何を驚く必要があろうか、いやない!
実際あーまあ、そんなもんかなー。程度で特に感慨はなかったのだ。
いきなり脈絡なく異世界召喚イベント起きたのに、今更ダイコン一つで驚くとかないない。
昼飯食べに行こうと城の中歩いてたら、漫画みたいなほっそい手足のついたダイコンとばったりエンカウントしてもここ異世界だから。あるあるネタですよあるあるー。
「ダダッ!」
「鳴き声安直過ぎだろーが!」
「ダーッ!?」
ダイコンマン(仮称)は逃げたした。
流石にねーよ。ここ一国のお城だよ? なんで魔物が闊歩してんの。
ていうか何故にダイコン。見た感じ土も付いてないし、頭の葉も途中でカッティングされてるので収穫後のダイコンだ。
収穫後の野生のダイコンマンが現れた! わけわからん!
と内心でツッコミながら追いかける。平穏な生活を送るには危うきに近寄らずは鉄則。
だが見た目脅威度低そうなので、まずは情報収集をした上で解決は兵士達に丸投げしよう。
「ククク……! ダイコン風情が人間様の力と足に敵うと思うなよ!」
自分より弱いとわかるなり、態度尊大になる小物イキリ野郎っているよね。
「ダダッダ!」
「残念そっちは行き止まりだダイコンマン」
「ダーッ!」
「っとお!?」
窮鼠猫を噛むというヤツか、逃げ場がないと悟ったダイコンは回れ右して、こちらへと向かってきた。安全距離があ!
「ダッ!」
身軽に跳び上がっての突進。しかしダイコンマンは小さく、狙いは真っ直ぐなので回避は難しくない。
「見える!」
頭にニュータイプ的なキュピーンマークを浮かべるイメージで身を左に振る。だがダイコンマンの動きにはまだ続きがあった。
「ダッダー!」
俺の眼前を過ぎる直前身をひねり、回し蹴りを放ってきおったのだ。
「あいたァ――!」
流石は魔物というべきか。受けた腕から、冗談みたいな細い足とは思えない力が伝わってきた。身体が浮き、背後にあった扉が衝撃で外れて共に床へと叩きつけられる。
「おのれ根野菜の分際で……」
これは警戒度を上げねばと、すぐに身を起こして周囲を警戒。すると、そこには水滴の滴る熟女の裸体があった。
まあ、たっくん評価制度での熟女だ。美の道理がわからぬ愚かな奴ら基準で言えば十代半ば程度の少女となる。
ついでに顔認識すると知り合いでもあり、見慣れたボクっ娘の見慣れない全裸姿だった。
状況を整理すると、ここは俺やあかりが寝泊りしているグラドニア客館。その一階にある大浴場の脱衣所だろう。それも女湯。
なるほど、これアカンやつや。