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セッションへの招待状  作者: gama
歓迎TRPG世界
10/20

3-2

 「おかしいと思ったのよ、こんな時期に入部してくれる人がいるなんて。それに、庭山君だっけ?」

 「はい」

 「彼の言動と挙動を見ていると、何かこっちとかみ合っている感じがしなくって」

落胆する藤田と庭山に、申し訳ないく頭を下げて謝る相馬。

 「ごめんなさい。ごめんなさい。部活勧誘だと言ったら来てくれないかと思って・・・」

 「いや、相馬君せいじゃないよ」

 「だね。我々が彼にきちんと確認し無かったのが悪いのだし」

 

 俺ってそんなに信用無いのか?。

いやまぁ、確かに部活なんて入る気なんて更々ないから、確かに来なかったかもしれないけど、でも相馬さんからの誘いならあるいは・・・。


 「悪かったね庭山君」

 「いえ・・・」

 「ごめんなしさいね、庭山君・・・」

 「いやいや、相馬さんが悪いわけじゃないんだから気にしないでよ」

 「でも・・・」

 「一応聞くけど、美術には・・・」

 「興味ありませんし、体験もしません」

 「そう、だよね・・・」

 重く沈み込んだ空気に、その場から立ち去りたいと思い椅子から立ち上がる。

すまなさそうにしながら部屋を見渡すと、先ほどまでは気づかなかった部屋の様子が次第に確認できるようになる。

美術部と銘打ってはいるが、美術室などでよく見かける備品はほとんど見かけず、スケッチブックと使い古された絵具、マーカーなどが置いてあるぐらいで、ほこりをかぶっている微震らしきものが隅の方に転がっていた。

美術部じゃないじゃんと思う庭山だったが、本棚に目をやるとそこには、デッサンや美術教本の中に混じって、大量のよくわからない本が陳列していた。

その中には、何か箱に入ってるら分からないものまで整頓されている。


 「すごい、本の数ですね。これ、全部美術の?」

 「あ、それはね」

相馬は、本棚からおもむろに一冊の本を手にして庭山に見せ、

 「TRPGという本なの」

 「TRPG?」

その言葉に、沈み切った3人は反応し、二人のやり取りを眺め、岡安は耳だけは二人の会話を聞いている。

 「そう、TRPG」

 「何それ?」

初めて聞く、言葉に不思議そうに表紙眺めていると、相馬から手渡されそれをまじまじと見つめた。

 「TRPGはね、だれもが主人公になれるのよ」

 「どういう事?」

 「その一冊には、無限の可能性と広大な世界、あふれんばかりの不思議と冒険。そして、その中では、だれもがヒーロー、ヒロインに」

 「無限の可能性と、ヒーロー」

 「そう、どんな願いだって、どんな事だって出来ちゃう。それが、TRPGなのよ」

 「へぇ・・・」

 相馬のその言葉に惹かれたのか、手元の本のページをめくると、そこにはぎっしりと書き込まれた文字の羅列が。

文字の多さに、青ざめる庭山。

 「無理」

本を畳み、相馬に返す。

 「どうして!?」

 「いや、無理無理」

 「何が無理なの」

 「あんなに多い文字、とてもじゃないけど読めない」

 「そんな。だ、大丈夫よ、ほら実際読む場所はこれだけだから」

 「いやいや、教科書だって読むの面倒くさいのに」

 「教科書よりは、簡単だし」

 「いや、いい」

 「ほとんどの所は、ゲームマスターが覚えれば良い所だか」

 「ゲームマスター?」

 「そう、ゲームマスター」

 「なにそれ?」

 「ゲームマスターというのはね・・・」

2人のやり取りに、業を煮やしたのか藤田が口割って入る。

 「ゲームマスターというのは、いうなればゲームの進行役なんだよ」

 「進行役?て、ゲームなんですかこれ?」

 「”テーブル・トーク・ロールプレイングゲーム”略してTRPG」

 「て、てーぶる・・・何ですって?」

 「テーブル・トーク・ロールプレイングゲーム」

 「キャラクターを作って、ゲームマスターつまり進行役の指示に従いながら、行動やセリフを回して行きながらゲームをやっていくんだ」

 「じゃ、それって、1人じゃできないてことですか」

 「基本は、4、5人で遊ぶのが一般的かな」

 「何か、面倒くさそう」

 「確かに、人も時間も準備もかかる。けど、その苦労をみんなとわいわい楽しくやっていけば、苦労も苦労と感じず達成感をね」

 「ふ~ん」

藤田の力説に、段々と冷めて来たのか、興味なさそうなあいまいな返事をして、そそくさと部屋から出ようとする。

 「失礼しました」

 「あっ・・・」

相馬が制止しようとするが、声をかける前に、扉が閉まり庭山は出て行ってしまう。

 「いちゃったか」

 「やっぱ、TRPGに関心をひかせるには至りませんでしたな」

 「仕方ないんじゃない?元々、何かに興味を持とうと思って伊奈そうだったし」

 「ごめんなさい、本当に」

 「いや、だから相馬さんが誤ることではないよ」

 「そうそう、まだ時間あるし」

 「はい・・・」


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