愛していると言われたい3
いつだって幸せそうだ。
二人が互いを想い合っているのは、誰がみてもすぐわかる。
彼らがいつ出会ったのか、それは自分がきっかけだ。
あの日俺は隊長に仕事を代わってもらった。
もちろん女の子に会うためにね。
あの時よく会っていたのは、
庇護欲を誘う潤んだ瞳に、ちょこまかと動くこリスちゃん。
最高なのは自分自身をよく知っている事。
俺の目に留まる為、同僚を利用して蹴落とす事も厭わない。
手段を選ばないところもよかったな。
本気になったら即終了の綱渡りような関係も、俺の勝ちで終わりだなと思っていたところだった。
「ジーニアス様!来てくれたんですか?」
近づいてきた侍女に
「君だぁれ?」
にっこり笑って終わりを伝える。
「え‥どういう … ?私は、特別 ですよね?」
なぜ彼女がそう思ったのかわからないけど、面倒になってきた。
「君、ただの侍女だよね?」
笑顔で言うと女の子は泣き出した。
面倒なのでほっといて歩き始める。
初夏の新緑が眩しいな!俺のかわいい小鹿ちゃん。次はあの子にしようかな?
こリスちゃんに意地悪されてたあの子を慰めてあげないとね。
ちょっとキツイ顔立ちなのにいつも怯えている、
かわいい小鹿ちゃん。
いつもこの辺りでお昼を食べていたような…?
見回すと木陰で座り込んでいる。
「ねぇ、君大丈夫かい?僕に話をきかせて?」
にっこり笑って覗き込めば、もう俺のものも同然。
そう思った瞬間。
「は?騎士様にお世話になることはありません。
ご自分の噂をもう少し管理なさった方がよろしいのでは?」
キツく睨み嫌味を言われ、
思わずポカンとしてしまった。
「え?まさか、俺に言ったの?
優しくしてあげるって言ってるのに、なに君。」
そう言って腕を掴み、強くひいた。
「痛いっ!!」
彼女の叫びを聞いて、
「何をしている!!」
あちゃー、真面目な隊長に見つかっちゃった。
どう言い訳しようか、隊長を見上げると、
恋に落ちる瞬間の二人の男女が目に入った。
「え‥?」
それは美しい光景だった。
二人とも別人のような幻想的な一瞬。
それを見て俺ははじめて反省した。
そろそろ女性と真面目に向き合わないとな‥。
俺も愛していると言われたい。
彼らのように、そんな相手を見つけられたらいいな、
今は心からそう思える。
しかし今までの自分を振り返り、それが遠い道程だとわかる。
はぁぁ 羨ましい!
反省します!!
副隊長からみた、二人の出会いの瞬間でした。