【登場人物紹介】
登場人物紹介は、読まなくても本編に影響ありません。
【主な登場人物】
【主人公】
黒羽武:この物語の主人公、表向きは関東軍憲兵隊の軍令憲兵だが、憲兵隊防諜班に所属している潜入工作員である。外地の満州からは、上司の命令で貴族院議員に届いた殺害予告の捜査のため内地に送り込まれた。素性には謎も多い。
【高平家】
高平政信:何者かに殺害予告状を送りつけられた貴族院議員、英国政府とのパイプを持つ華族であり、脅迫してきた容疑者を集めて祝宴を催した主催者。
高平節子:政信の妻、良妻賢母を絵に描いたような母親で、夫に甲斐甲斐しく尽くしており、子供たちも溺愛している。
高平和政:高平家の長男、ことしで貴族院議員の候補に立てる二十五歳となったものの、政治家より実業家に興味がある。
高平恵子:高平家の長女、書生だった永岡優馬と恋仲になるが、父親から交際を強く否定されており、妹と主人公の結婚話に嫉妬している。
高平彩子:高平家の次女、屋敷の下働きからモガと評されており、天真爛漫な女性で主人公の許嫁になる。
【招待客】※登場順 ※主人公を含めて七人
大坪田兼久:帝都不祥事件以降に陸軍統制派の軍門に下った貴族院議員、政信とは朋友と呼ばれた仲だったが、政信が軍部に阿る現内閣に反旗を翻してから袂を分かっている。
榊原三徳:前回互選で落選した貴族院議員、周囲には政信の選挙協力を得られず落選したと愚痴をこぼしている。政信から政治家に向かないと評されており、本人も政治より若くて美しい妻に執心している。
榊原朱美:三徳の妻で元歌劇団の女優、歳の離れた夫は彼女を溺愛しており、本人も表向き我儘に振舞っているものの、夫の再当選のために他の議員や華族会で顔繋ぎするなど内助の功も垣間見れる。
近藤貞治:地元の市警察署長、高平家とは十年前に催されたトライデント城の落成式で警備主任だった頃からの縁があり、政信から殺害予告の捜査を依頼されており、今回の祝宴が家主に恨みを持つ者が招待されたと知っている。
飯田良夫:地元の実業家、高平家が所有する城や土地の売却を持ちかけており、一帯の観光開発で一儲けを目論んでいる。長男の和政は売却に前向きだが、政信は首を縦に振らないので焦れている。
永岡優馬:高平家の書生だった帝大生、政信に長女の恵子との交際を反対されて、家を追い出されてしまった。署長の貞治は、結婚に反対される理由が永岡家の家柄に問題があると言う。
【その他】※あいうえお順
岩壁五郎:市警察署長の貞治の部下、甲府出身の私服刑事であり、主人公からは署長よりも鋭い見立てをすると評されている。
丸山寅吉:高平家の運転手、十年前の城の落成式から高平家に雇われており、運転助手の甚平の教育係も任されている。
吉田甚平:高平家の運転助手、運転手の寅吉とは地元の世間話で盛り上がっており、主人公にも気さくに話しかけるお調子者。
では、本編をお楽しみください!